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新旧問わず、最近ハマっているアルバムを紹介します。




SPIN (1976)
 
 何だか良くわからないが聴いてみたら当たりだった。そんな小さな喜び、ありますよね。ところが、当たりはずれにドキドキしながらアナログやらCDやらを買ってしまうのも良いけど、なにしろ「はずれ」が溜まってきてしまうのもなかなかの苦痛で、部屋が狭くなるー、と買い取ってもらうのも「はずれ」だからタダ同然だったりして、それを考えると今の世の中そんな余裕もなくなってきているわけで…なーんてシメッぽい話になったりしますが、それならせっかくこんなHPをやっているのだから、偶然「当たり」を見つけた時はここまでお越しになられた皆様にご紹介しておかなくてはならないだろうと思うわけです。

 このSPINと言うグループ、なかなかメロディアスなホーン・セクション入りのフュージョン・グループで、調べてみるとかろうじてオランダのグループであった事が。なるほど、一聴重厚感があるインスト・バンドのように聴こえますが、線が細くてどうしても軽く、いや、良く言えば軽快なのはそのせいかと。

 オランダのインスト・グループと言えばFRUITCAKEの存在がありましたね。あれは「軽いの極み」。しかしこちらは1976年作なのが幸いしてオープニングに象徴されるようなTOP的なファンク/ロックも意識させつつ、ハービー・ハンコック調の“beautiful queenie”に強く見られるNYサウンドっぽい洗練も感じられる音で、演奏が荒削りな分をうまくグルーヴ感で聴かせるクロスオーバーにしている所がイイですね。そして、メロディーのつけ方、特にギター・ソロのフレーズなどはアメリカ音楽に影響を受けた当時のジャパニーズ・フュージョンにも共通するところのある、やっぱり北欧の持つ香りのするメロディーなのです。

 演奏技術で聴かすわけではないこの手のグループは、ヴォーカル・ナンバーのひとつも入っていれば少しアルバムのグレードが上がったかな、と個人的には思いますが、とにかく駄曲らしいものがないので潔く全曲インスト押しで正解だったのでしょう。

 その筋の外盤屋さんから買ったので、ヒドイはずされ方はしないだろうとは思っていましたが、音は本当に思った以上。録音も76年にしてはクリアで、さすがARIOLAレーベルだなとその点でも感心しました。しかし、なにしろメンバーの名前と担当楽器がチョロッと書いてある程度のクレジットしかないもので、さっぱり正体がわからない。サックスとトランペットの管を加えた、ドラム、ベース、ギター、キーボードの6人組で構成されている、それで情報はザッツ・オール。結構聴いている人はいるのだけど、その点ホームページやブログで紹介し辛かったグループだったのではないのでしょうか。まだまだこんな埋もれたグループが山ほどいるのだろうなぁ、と今後も「当たり」探しの日々が続くのでしょうね。やれやれ。(09/12/18)


●SIDE・1●

01. GRASSHOPPER
02. SPINNING
03. EXCENTER→
04. SEA AND SEASONS

●SIDE・2●

01. LITTLE BITCH
02. SUNDAY AFTERNOON'S DREAM
03. FLAT TYRE
04. BEAUTIFUL QUEENIE


◆PERSONNEL◆

Rein van der Broek (tp,fl-h)
Jan Vennik (reeds,fl)
Hans Jansen (key)
Hans Hollestelle (g,syth)
Jan Hollestelle (b,syth,p,violoncello)
Cees Kranenburg (ds,perc)


※record only (Ariola-Eurodisc 27021 XOT)



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