新旧問わず、最近ハマっているアルバムを紹介します。





Azar Lawrence/people moving (1976)
 
 このエイゾー・ローレンスはマッコイ・タイナー・カルテットのメンバーとして活動歴のあるサクソフォン奏者。70年代にプレスティッジから3枚のリーダー・アルバムを制作していますが、その後は目立った活動もなく、一線から退いてしまったようです。これはその3枚の中でも最後のアルバムとなったもので、良くも悪くも時代の流れに乗ったソウル/フュージョンに彼がアプローチした一番ポップなアルパム。個人的にはこのA・ローレンスに特別な思い入れがあるわけではなく、思わず購入してしまった動機はスキップ・スキャボロウのプロデュース、1976年のプレスティッジ盤、下記に示したバックアップ・アーティスト、そして“can't hide love”。これらのキーワードが揃えば当然「買い」だったわけです。音の方も予想通りの、やはり、とニンマリしてしまう作りで、レア・グルーヴ傾向を推し進めていった同時期のblue noteそのまま。そのプロデューサー自身の作であるA面2曲は繊細さとファンキーさを併せ持ったソウルジャズで、申し訳ないですが主役のサックス・プレイよりもアレンジに聴き入ってしまいます。続く“kickin' back”はプレスティッジ繋がりでパトリース・ラッシェンの曲として有名。(彼女ももちろんキーボードとヴォーカルで参加しています!)B面1曲目がアルバムタイトル曲で、なるほど確かにA・ローレンスの一番熱いプレイが聴けるセッション的なナンバーとなっていますが、ちょっと息遣いの荒さが目立つのが残念。そしてなんといってもの“can't hide love”(しつこいって?)。このイントロの忠実さは嬉しいの一言。サックスが入ってああ、カヴァーだったのだなと。それほど永遠のインパクトを持った曲ですねこれは。さらにジェリー・ピータース作の“canticle for the universe”が、曲としては一番カッコ良さを持った、フュージョンではなくクロスオーバーなナンバー。実はこれが最高のお気に入りだったりします。ラストは再度EW&Fの“gratitude”で静かにクロージング。こんなカヴァーを持ってくるのもS・スキャボロウならでは。

 参加アーティストから見ても音の安定感は間違いないこのアルバム、リーダー本人の知名度がないためにマイナー扱いになっているのが残念ですが、これも個人的にはCD化に耐えうるものだと思ってます。しかし現時点でその気配もないのですから今後も難しいんでしょうね・・・。(2008/1/26)



SIDE 1

01.THEME FOR A NEW DAY
02.THE AWAKENING
03.KICKIN' BACK

SIDE 2

01.PEOPLE MOVING
02.CAN'T HIDE LOVE
03.CANTICLE FOR THE UNIVERSE
04.GRATITUDE


Produced by Skip Scarborough

Azar Lawrence (ts,as,ss)

Paul Jackson (b)
Harvey Mason (ds)
Skip Scarborough (key)
Patrice Rushen (key,vo)
Jerry Peters (key)
Michael Stanton (key)
Lee Ritenour (g)
John Rowin (g,syth-programming)
Mtume (perc)
Ernie Watts (as)
Oscar Brashear (tp)
Chuck Findley (tp)
George Bohanon (tb)
Cheryl Barnes (vo)
Josie James (vo)
Michael Wright (vo)

and others...




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