Ja Rule/pain is love (2001)
 ラッパーのアルバムもバックトラックのアレンジが良くないと最後までもちませんね。この人は一聴典型的な今のアメリカ的ラップ・ブラックなのですが、良く聴くと凝ったアレンジをしていて、喋り倒しだけではなくメロディーを歌ったり、女性ボーカルの入れ方とかなかなか聴くに耐える音です。でも、ちゃんと「マザーファッカー!」とか言ってくれて笑っちゃいますね。「do I do」のラップ・カヴァー有り。
THE JACK SASS BAND/sassified (2009)
 THE SYSTEMのMic Murphyが70年代後半から80年代前半にかけて所属していたNYのショウ・バンド唯一のアルバム。未発表音源も含めたお宝発掘的な企画盤で、そのお世辞にも良い音質とは言えない自主制作的なクオリティの音源の中に、しっかりツボを押さえたモダン・ソウルがてんこもりに詰め込まれている。押入れの中から出てきた、いつ録ったかわからないカセットテープの中からビックリな名曲を発見した気分になれるような、嬉嬉懐懐な一枚。
Jaco Pastorius (1976)
 それまでは地味な楽器であったベース(特にエレクトリックベース)に一躍脚光を浴びさせた人が彼なのでした。このアルバムが発表されて、音楽を構成する上でのベースの果たす役割という概念が変えられてしまいました。すべてのプレイヤーの教則本のようなもので、以後さまざまなテクニカル・ベースアルバムが発表されても、この作品が根幹にあることは否めないようです。ハービー・ハンコックがサウンド面で大きく貢献。ドラムスは主にレニー・ホワイトが担当していますが、サム&デイヴによる唯一のヴォーカル曲ではナラダ・マイケル・ウォルデンの渋いドラミングが聴けます。プロデュースはなぜかボビー・コロンビー。
Jacob Magnusson/special treatment (1979)
 一発屋にもならなくて、消えて行った悲しきアーティスト。一曲目はすごくいいのですが、いかんせん、その他が今イチです。カルロス・リオス(g)がメンバーなんだけど、個性を生かしきれてないし。良く思うのですが、最初1発目だけ良いというアルバムがありますよね。で、なんで他も同じ良い曲を作ることが出来ないのかな、と。最初にレイアウトするくらいだから、自身も「つかみどころ」をわかっているはずなんですけどねぇ。
Jacob Magnusson/jack magnet (1981)
 ファーストである「special treatment」以来20年、この人の名前を聞くこともなかったし、まったく頭から消えていたアーティストだったのですが、こんなヴォーカルアルバムを出していたとは。しかも日本の企画によって、めでたくCD化されたのだからまったくもって素晴らしい国です日本ってやつは。しかもマイナーレーベルではなくてビクターエンタテインメントですからね。まずはファーストに比べてサウンドの変わりよう。ヴォーカル中心の大変POPな仕上がり、インスト物もカッコいいし一枚飽きずに聴くことができます。ただ、アイスランドの人らしく、良くはわかりませんが言葉が若干ナマッているような。また、ギャラの関係かヤコブ・マグヌッソン自身が中心にヴォーカルをとっておりこれがちょっとあまりお上手ではございませんです。やはり北欧AOR特有の少しクセのあるサウンドを残していますが、これもちょっとたまには毛色を変えて楽しむにはいいのではないかと。なにしろ、とりあえず歌物アリのAOR/フュージョンを買うなら充分これで「当たり」とおすすめはできる内容です。ソングライトにはPAGESの二人やJay Graydonの名が。バックミュージシャンも豪華ですよ。
THE JAMAICA BOYS (1987)
 すでにスーパースター・プレイヤーとなったマーカス・ミラーがブラコン・スタイルのソロ2作に続き発表したのが、グループ「TWENNYNINE」など当時同じ方向性で活動していたベテランドラマー、レニー・ホワイトやソウル・R&Bを愛しつつジャズのスピリットを持った新進キーボーディスト、バーナード・ライトらと組んだこのジャマイカ・ボーイズ。ここでのジャマイカとはニューヨーク・クイーンズ地区にある街のことでマーカスとバーナードが幼少期に住んでいた場所らしく、音楽的にはこの頃特有のカルさ漂うポップ・アルバムとなっています。つまりは名アーティストらが組んでこんなポップアルバムを出していたという歴史を感じるのにはいいけども、知らなくてもそれはそれでいいのではないか、程度の作品ですね。
James Ingram/it's your night (1983)
 クインシー・ジョーンズのアルバムで抜擢され話題になった彼がついにというかやはり同プロデュースにより発表された記念すべきファースト・ソロ・アルバム。マイケル・マクドナルドと共演したあの「YAH MO B THERE」が収録された作品です。とにかくクインシーが手がけた気合の入った一発目であり、バック・ミュージシャンの豪華さはそのまんま「愛のコリーダ」といっても良いでしょう。アップにしろスローにしろ楽曲の質が良く安心して聴ける一枚となっています。うーん。イイ声してますね〜。
James Ingram/always you (1993)
 かなりさわやかなバラードが多いので、個人的には苦手な部類ですね。その歌いっぷりは、アメリカ映画のサントラに収められてもおかしくないくらいの格調があります。雰囲気はいいのですが、いかんせんメロディーが頭に残らない。このタイプは「そこそこ良くできている」くらいではBGMになってしまう危険があります。
James Mason/rhythm of life (1977)
 ロイ・エアーズのアルバムでも顔を見せていたギタリスト/キーボーディストのワンアンドオンリー・アルバム。ソウル感溢れるインストと女性ヴォーカルの巧みな使い方が良い。現在のUKアシッド・ジャズやジャズ・ファンクはこのアルバムの真似事か、と思ってしまうほどその全てがここにあると言ったよう。しかしながら技術的でもなく精神的でもなく歌の良さでもない「音の雰囲気」だけを楽しむ音楽は、当時としては一人のプレイヤーに対する評価の対象にはならなかったようでその意味で「15年早すぎた」アルバムだったかも。唯一CD化されたいかにも英国好みな作品。
James Vincent/culmination (1974)
 カッチョいいなぁ。ジャンルを無視したギタリスト、ジェームス・ヴィンセントのこれがファースト・アルバム。発表は1974年ですが、レコーディング自体は71年〜72年であったそうで、確かに最初の「brain subway」からそんな時代のジャズ/ロックサウンドがゾクゾクするのでした。全体としてはその一曲目でヴォーカルが入る以外はインスト中心のsax,tp,flなどの管も絡むクロスオーバー。それも後のアダルト・コンテンポラリー路線とは対照的なかなりマニアックな音なのです。強いて言うならそのアレンジ力はかなりのモノなのに対しギタリストのアルバムとしてはプレイに際立つものがあまり無いところに評価が分かれてしまうのでしょうか。しかし、自分のような「音を聴く」タイプには70年代前半のインスト名盤!と言いたいところなんですけどね。ベースやドラムの音も、ハモンドオルガンやエレピも、そしてアルバムタイトルや曲名ひとつとっても時代を感じてしまいますが、当時としてはかなり先を見つめていたアルバムだったでしょうに。デジタル・リマスターとは言え、CD-Rメディアでの自身のサイトからの販売(再発)のみとは寂しい限り。海外サイトでカード決済を使って買うこっちの方としてもドキドキしちゃいますしね。興味のある方はどうぞ。ちゃんと届きます(笑)。
James Vincent/space traveler (1976)
 現在もマイナーで活動するギタリスト、J・ヴィンセントが76年に発表した「隠れた名作」と言いたい一枚。ジャズを基調としたテイスト、テクニックを持ちながら、そのサウンドはヴォーカル曲を中心としたファンキーなAORとも言えます。76年にしてこの質の高い作品がなぜ表舞台に立てなかったのだろうか不思議なくらい素晴らしいアルバムです。ゲストヴォーカルにピーター・セテラ、バックはハーヴィー・メイソンNDUGUのドラムになんといってもEW&Fのヴァーダイン&フレッド・ホワイト(!!)。確かにジャズ・ロックをやっていた頃のアースの香りがするリズムが感じられるナンバーもあります。同年代のギター・フュージョンアルバムと比べてみてもセンスの良さという点では一枚も二枚も上手であったと言えるでしょう。
James Vincent/waiting for the rain (1978)
 前作と変わらず気持ちの良いグルーヴ感で全編一気に聴くことの出来る極上のポップ・インストアルバム。ギターのセンスも良いのになぜメジャークラスの活動をしなかったのか不思議な人ですが、本人の意向はわからないとしても周りから客観的に考えると当時はギタリストのアルバムとしてはもっと派手なものが注目されがちだったですよね。こういうのは今の綺麗にまとまりすぎて味気ない音が蔓延している今でこそ正しく評価されるべきものなのかも。どこか当時のジャパニーズ・アーティストが作る音と共通したフレーズが出てくるのも面白い。
James Vincent/enter in (1980)
 そしてさらにAOR的雰囲気の高まった本作。録音も良くなりました。ジャズテイストを持つギタリストであり、曲を作り、ヴォーカルもこなすマルチアーティストとこのジェームズ・ヴィンセントをあらためて紹介しておきますが、いや、本当に気持ちイイです。この人の一番特筆すべきポイントは「メロディー(和音)巧者」であるという所。悪く言えばギターはうまい、ヴォーカルも普通に聴ける、しかしひとつひとつの個性はあまりない。何よりもメロディーとアレンジの妙を聴くべき人なのかなと。こんな音、意外とありそうで無かった、探していた音に出会った感じです。ケン・ワイルド、ボブ・ウイルソンのシーウインド・リズムが参加。純粋にアダルトコンテンポラリー好きにオススメ!
ホームページがあります→http://www.jamesvincent.net/
James Vincent/pure satisfaction (2001)
 インディー・アーティストとして復帰してから2作目となるこちらはヴォーカル・アルバムと言っていいくらい、歌ものに力を入れたアダルト・コンテンポラリー作。とは言ってもやはりギタリスト。彼のソロやバッキングがしっかりと前面に出ていて、まさにやりたい放題。仕掛けがあるような派手なナンバーはなく全体的には落ち着いていますが、良質のアダルト・ポップを聴きたい時に安心して買えるアルバム。国内では買えないのが難点ですねぇ。
James Vincent/mystery of love (2002)
 コチラでドーゾ。
JAMES WALSH GYPSY BAND (1978)
 70年代に早くもジャズやソウルのエッセンスを取り入れたホットな白人バンド、“GYPSY”のメンバーであったジェイムス・ウォルシュが「ジプシー」の名を受け継ぎ78年にリリースしたワン・アンド・オンリー作。美しいコーラスワークとシカゴやTOPを彷彿させるブラス・セクション、そして時にはストリングスも効果的に入るところなどプレAORと言ってしまうには申し訳ないくらいの完成度の高いアレンジメントに、ワン・アンド・オンリーにたまに当たるこれぞ入魂作だなと唸ってしまう。何と言ってもひたすらメロウネスにつきつめられた各楽曲のメロディーの素晴らしさ。これが当時は売れなかったって言うのだからなんとも。
JAMIROQUAI/emergency on planet earth (1993)
 アメリカから来る音楽は打ち込みばかりで食傷気味だった時にこの音は新鮮だったなあ。「too young to die」のサビなんかはスティーヴィー・ワンダー的でもあってかなり注目したものでした。このアルバムはアシッド・ジャズそのものですね。しかしながら10〜20代にもウケたのはJ.K自身がまだ若くてパワーがあったからでしょう。嬉しい音、UKより来たる。
JAMIROQUAI/the return to space cowboy (1994)
 サウンドを聴くと、かなりマニアックな部分もあって、なんでこのグループが日本でドームのような大きなところでライヴができるまで人気が出たのかが不思議だったですが(あ、失礼。根が正直なもので)、日本人の耳もかなり変わったというか、プロモーション攻勢に踊らされたのか、どっちなんでしょうね。いやあ、でもいいですよね、この音は。
JAMIROQUAI/travelling without moving (1996)
 聴きどころが多いです。さらに、音に磨きがかかって、ワールドクラスのバンドになったと言う証でしょう。1発目のヒット・ポップ「virtual insanity」から「cosmic girl」でつかみはOK!さらに気を緩めずにアフロ・ダンサブルな3曲目、そしてミディアム・スロー展開の4曲目への流れが素敵です。全体的にまず万人受けするポップな作りでありながら、バンドの個性を失わせていないところに好感が持てますね。メジャー化大成功です。
Jay Graydon/airplay for the planet (1993)
 アルバムタイトルをもうちょっとなんとかできなかったのかなと思いますが(エアプレイはエアプレイとして区切りをつけて欲しかったですね)、「after the love is gone」の新録は聴く事が出来て良かったですが、リズムの打ちこみ多用が少し気になります。ノスタルジックな気分に?いやいや、あの頃とはまた雰囲気が変わっているようですよ。
Jay Graydon/past to present - the 70s (2006)
 フラッとジェイ・グレイドンのサイトに入って発見し、思わず買ってしまった一枚。70年代から80年代にかけて録音されていた未発表音源集、と言うよりデモ録音集なのですが、エアプレイビル・チャンプリン、さらにスティーヴィー・ウッズやジェイ・P・モーガンら繰り返し良く聴いていたナンバーが収録されているだけに思わず「あー。。。」と唸ってしまう、それほどデモ音源と気にならないほどしっかりと聴ける作りになっています。竹内まりやが歌っていた“secret love”が出て来た時はビックリで、ここでのヴォーカルは作詞者でもあるマーク・ジョーダン。でも歌声がちょっと苦しそう。この人の声質にはこの曲は合っていないと言うのが正直な感想。コーラスやホーンも入っていない段階でこれから煮詰めていく前のテスト録音的な所がアリアリですが、それはそれでチョット面白い。とまあ、前半は懐かしい名曲の「当時に録音された(ココがミソ)」別バージョン(として楽しめる)集。後半も“SONYのジングル”やテレビのテーマなど初めて耳にする音源が集められていて、たっぷり20曲。何と言っても今ではほとんど聴くことのできない彼のハーモニック・ギターが再び堪能できるだけでなく、もう一つのジェイ・グレイドンであったあのシンセがバックに流れる曲を耳にできるのだから嬉しいじゃないですか。純粋に7〜80年代の良質POPを味わうアルバムとしても楽しめる内容で、デモ集とあらかじめ心得ていればこのクオリティなら十分OK。これで配送料含め23ドルなら安いもの、とちょっとノスタルジックに「昔」に浸ってしまった私なのでありました。
www.jaygraydon.com
Jay Gruska/gruska on gruska (1974)
 ジェイ・グルスカの1st。味わいのあるメロディーと本人の清楚なヴォーカルが最大の魅力でありつつ、やはりさりげなくアレンジにこだわっている所が嬉しい。やはりそこはマイケル・オマーティアンのプロデュースのなせる業か。一聴普通のピアニスト/SSWのアルバムに見せつつ、随所に繊細な工夫が見える、1974年作としてこのセンスが素敵なアルバム。ABC系のレーベルからの縁からか、ラリー・カールトンのギターやウィルトン・フェルダーのサックスなども聴けます。シカゴ、スティーリー・ダンらのフィーリングも漂うプレAORの良作。
Jay Gruska/which one of us is me (1984)
 「マクサス」のジェイ・グルスカ。しかしその前に製作していたファースト・ソロアルバムから約10年ぶりとなったこれが2nd。84年らしくいかにもなプログラミング・ビートで幕を開けますが、これは当時のPOPに合わせただけであり、後に続く曲はカルロス・ヴェガやマイク・ポーカロらのヒューマンなリズムが中心となっており一安心。メロディーラインやコードはマクサスのイメージにつながる「らしさ」があり大変気持ち良い。マイケル・ランドウのギターが効いた「Atlanta Calling」、極上のAOR再びと言う感じの「Cancun」など、80年代的なところはちょっとひとつかみというところで変わらず彼の独特の味が楽しめる作品。
Jaye P. Morgan (1976)
 正直、まー、こんなアルバムが出ていたとは知りませんでしたが76年という時代にデヴィッド・フォスターがプロデュースをしたアルバムということで、アナログ盤はそれこそ「幻」と言われていたそうですよ。ここでも日本の熱心な旧盤発掘作業によりめでたくCD化されたようですが、聴いてみてたしかに素晴らしいの一言。このサウンドはAORを聴く人なら皆号泣モノと言ったら言いすぎでしょうか。参加アーティストはあえて言いませんが心配いりません。みんな揃ってますから。とにかくその当時に彼らがセールスも何も考えず自然に音楽をしていた、そんな音作りに対する純粋さが伝わってくるんですね。主役のベテラン歌手については何もここで語れないのが申し訳ないのですが、この音だけでもファン必携の一枚と言えるでしょう。
Jean Carn (1976)
 すいません。フィラデルフィア・ソウルにはあまり興味がなかったのでご紹介するのもおこがましいのですが、この一枚くらいは。やっぱりこの泥臭さっていうか、ニューヨークやLAから送り出されるものと比べるとなんか生臭くて、もしもライヴアルバムだった時には「○△□オン・ステージ」みたいなタイトルがつけられてしまいそうな。。。冗談はさておき、これはそのフィリーソウルの歌姫ジーン・カーンのファーストですが、Dexter Wanselがからんでいるあたりけっこう渋くて良いです。フィリーじゃなくてフリー・ソウルとして聴くことができるナイスアルバム!
Jean-Luc Ponty/king kong (1969)
 エレクトリック・ジャズ・バイオリン先駆者ジャン・リュック・ポンティのフランク・ザッパ作品集。ザッパ自身が指揮を取りアレンジを行っている上、実際にギターでもレコーディングに参加している。つまりセルフカバー・アルバムを他のミュージシャンにスポットライトを当てて制作したような作品だ。もちろんバックもザッパ・ファミリーが中心となり、のっけからジョージ・デュークのエレピ・ソロがが炸裂するタイトル・ナンバーが強烈。この時期にデュークはJLポンティとのジョイントでライヴ・アルバムも出しておりそのコンビネーションはピッタリはまっている。しかしこれは69年作の一枚のジャズ・アルバムとしてどんなに斬新で先鋭的であったかと。ザッパの才能をあらためて思い知らされる一枚でもありますね。
Jean-Luc Ponty/aurora (1976)
 パトリース・ラッシェンの鍵盤が黒っぽいアクセントになっているためか、わりと純粋にジャズ・フュージョンしている本作。持ち前のスピードと疾走感は控えめではありますが、ライヴ・セッション的な身近さがありこれはこれでカッコ良い。ダリル・ステューマーのギターとの掛け合いやユニゾンもスリリング。この人の良さは曲にヴァイオリン・アーティストらしい貴高さがありつつ、変にクラシック指向にならず常にプレイが熱いところなんでしょうね。
Jean-Luc Ponty/enigmatic ocean (1977)
 なにしろ、聴く者の意識をただその音楽一点に集中させ、各人のプレイに酔いしれるのがクロスオーバーでもましてやフュージョンでもなく、このジャン・リュック・ポンティの表現するようなハード・ジャズ・ロックなんだろうと。組曲仕立てもありつつ、ただ早弾きを聴かすだけではなくヨーロピアンの血らしい深遠な響きを持つ彼のヴァイオリンに、目を閉じて全身を委ねてみるのも快感ですぞ。何と言ってもアラン・ホールズワースとダリル・ステューマーのツイン・ギターとスティーヴ・スミスら技巧師とのアンサンブルも素晴らしい全編スーパー・ハイテンション・アルバム。
JEFF LORBER FUSION (1977)
 クロスオーバー・ミュージックもギタリストが牽引して行った感が強い中、そっと現れた鍵盤主役の名グループで、“フュージョン”と言う新たなカテゴリが定着化されて行くきっかけにもなった。とてもアメリカ的な澱みの無いメロディー感覚と、ドラムス、ベースのリズム隊との見事なアンサンブルが爽快なデビュー作。ここから先の快進撃はご承知の通りですね。
JEFF LORBER FUSION/water sign (1979)
 まだこの手の音楽が「クロスオーヴァー」と呼ばれていた頃、いち早く「フュージョン」を名乗り、しかもバンド名にまでしてしまったのがこのジェフ・ローバー。これはアリスタ時代の代表作とも言える作品で、打ちこみなど一切使っていなかった頃のシンプル編成ながら、メロディアスかつテクニカルなサウンドがかっこいいですね。サンバを取り入れた曲などはニール・ラーセンとイメージがダブりますが、この人の節回しも独特で全然別物。好きですね、こういうの。
JEFF LORBER FUSION/wizard island (1980)
 そして、さらに強力にバンドとしてのグルーヴ感を高めたのが本作。親しみやすさだけでなく、各パートのテクニカルなソロと掛け合いなどスリリングなナンバーが続き、全体のアレンジも綿密な構成で仕上げられています。聴きやすさとカッコ良さを併せ持ったこれぞ「フュージョン」と言える作品。スローナンバー以外はどの曲もアルバムの一曲目に置けそうなものばかり。買って損なし。ケニー・Gがバンドメンバーとしてプロデビューを飾った事でも有名ですが、後のスムーズ・ジャズとはまた違った良いプレイをしてくれています。
JEFF LORBER FUSION/galaxian (1981)
 本作ではついにダンサブルなヴォーカル・ナンバーを作るようになり、80年代に展開されていく一連のジェフ・ローバーサウンドを予感させる作品。ヴォーカリストだけでなくマーロン・マクレインやディーン・パークスなどゲストギタリスト、シーウインド・ホーンズの導入など以前のアルバムよりもさらにPOPで豪華なサウンドになりました。この時期は各アーティストがどんどん進化しているのが手に取るようにわかって面白いですね。しかし、時代的な必然性からかこのアルバムを最後にバンドとしての活動を停止しジェフはソロ・アーティストとして「step by step」、「private passion」らファンキー・ポップなアルバムを発表する流れとなるわけです。
Jeff Lorber/step by step (1984)
 ソロ名義初作品となった「IT'S A FACT」からますますポップ化の一途を辿った80年代ジェフ・ローバーの象徴的作品。THE SYSTEMがプロデュースを行った「当時としては」最新、最強のデジタル・プログラミングによるファンキー・ポップの嵐のようなアルバムで、そこに白人であるJ・ローバーの快活かつデリケートなメロディーが乗ることによって、絶妙のバランスをもたらしている。ヴォーカル・ナンバーに耳が傾いてしまいがちですが、メロディ・メイカー/アレンジャーとしても評価の高いジェフとTHE SYSTEMとのコラボレーションを楽しむアルバムとして聴ける人でないとインスト物はちょっと辛いかもしれませんね。
Jeff Lorber/private passion (1986)
 80年代のジェフ・ローバーはこのアルバムにつきますね。キャリン・ホワイトとマイケル・ジェフリーズの男女ヴォーカリスト二人をフィーチャーした超ポップアルバム。白人である彼がフュージョンを進化させてダンサブル・ポップの世界に足を踏み入れるにあたって出されたひとつの解答とも言うべき作品です。とにかく曲が良い。キーボーディストが作るこの手のサウンドは自然とリズムよりも音の華やかさに重点を置くようになるのでいいですね。ミディアムな「back in love」、聴いてみなさいあーた。泣けますよー。
Jeff Lorber/west side stories (1994)
 心地良いシティ・フュージョンです。一歩間違うとTVの天気予報とかのバックグラウンドに使われてしまいがちな音ですが、そこはスリリングなキーボードソロあり、エリック・ベネイが歌うボーカル曲ありと、締めるところは締めて全体的に聴き応えのある作りになっています。湾岸クルージングにピッタリです。(^^;
JEFF LORBER FUSION/GALAXY (2011)
 復活ジェフ・ローバー・フュージョンの2作目。ジミー・ハスリップとの共同制作で演奏もジェフ、ジミーにサックスのエリック・マリエンサル、この顔ぶれにも馴染み深いヴィニー・カリウタのドラムスが中心となるレコーディング・メンバーだ。ジェフ持ち前のカチッと決まるタイトなフレーズが何とも痺れる。スムース・ジャズではない、これぞ、フュージョンであると言った軽快でスピード感のあるインストルメンタルが並ぶ。前作のヴォーカルナンバーを挟む構成も嫌いではないが、グループ名義のアルバムならばこんなインスト押しが一番だね。本来はそう言うグループだったし。ランディ・ブレッカーが1曲ゲストで参加。
Jeffrey Osborne/stay with me tonight (1983)
 基本的にはジョージ・デュークが80年代以降のブラック・コンテンポラリーをプロデュースした作品にはほとんど興味がないのですが、その理由はヒットチャート、つまり売れ筋を意識した何か媚を売るような音の作り方がハナにつくようになっていたからです。しかしその中でもこのアルバムは別物ですねー。まだそんなに売れ売れ意識があまりなさそうな感じで、曲の良さと共にアレンジひとつにもPOPながらアーティスティックな丁寧さがうかがえるんですよ。スローな曲にもアール・クルーのギターが入ったり、今のブラックと比べるととても贅沢な音作りをしています。うん、これは好き。
Jerome Olds/you lift me up (1980)
 名盤とまではいかなくとも、長く聴き続ける事のできる良いアルバムとはまずは曲の良さであることは至極当然。しかしそこだけではなく作品の完成度をはかる要素として音質と言う部分も少なからず存在する。レア盤の発掘物にはこの部分でローレベルのブツが多く、この作品も1980年作のわりにはかなりレンジの狭い音質になってしまっている。録音・ミックス段階で当初から意図的にそうしている場合もあるのだが、それが容認できるのはあくまでもレコーディングならではの加工された音によりその音楽に独特の雰囲気を生み出している場合。ダニー・ハサウェイ・フォロワーと思しきニューソウルの影響を多いに受けたブルー・アイド・ソウルな楽曲のクオリティはアレンジやバックの演奏も含めてかなり高いだけに、その内容にマッチしたもっとクリアな音で聴けたならこれは一時的な話題だけに留まらない正真正銘の名盤のひとつとして仲間入りをしていたかもしれない。労せずしてレア盤を耳に出来る時代の恩恵に感謝しつつも、いやいや惜しいなぁこれは。
Jerry Peters/blueprint for discovery (1972)
 70年代から80年代において、ブルーノート後期でのジーン・ハリスTHE WRITERSに代表されるプロデュースやバック・サポート、ソングライト等、どちらかというと裏方で渋い力を見せていたジェリー・ピータースが、そういった立場になる前に発表していた唯一のアルバム。もちろんこの時は堂々と自らが主役を張るために作ったつもりだったのでしょう。内容は彼の鍵盤がしっかりとフィーチャーされたニューソウル。多少ジャズの影響を強くしたダニー・ハサウェイのよう‥と言ったら怒られるでしょうか。曲作り、演奏、そしてヴォーカルも自分でと、その才能が遺憾なく発揮されたところは8分にも及ぶ力作“going in circles”でも感じることができますね。それでいてなぜ彼がその後アルバムを作ることなく裏方専門になってしまったのかは、おそらくそのヴォーカルにあったのかも。正直なところ彼の歌は一流とは言えません。うまさもなければ個性的な「味」もないんですね。それならば彼の曲は他の著名なアーティストに取り上げてもらったほうが良いと自分でも判断したのかもしれません。しかし私にとってはその非凡な音楽センスがあればヴォーカルの弱さなど打ち消してしまうくらい、このアルバムは訴えてくるものがあったのでした。バック・ミュージシャンも注目ですね。Jeffの親父がここで叩いてるよ・・・。
Jess Roden/the player not the game (1977)
 ブリティッシュ・ロック〜ブルーアイド・ソウルで熱いヴォーカルを聴かせてくれるジェス・ローデンの77年作。なんとレオン・ペンダーヴィスをアレンジャーに迎え、ジャジーな香り漂うホワイト・ソウル・アルバムとなっている。落ち着いて歌い上げるナンバーが中心だが、ガラッと雰囲気を変えたラストの“in me tonight”はフランシスコ・センテーノのベースやホーン&ストリングスを効かせたグランド・ナンバー。この高揚感がたまらず、続きが聴いてみたいところでアルバムを終えると言う構成が憎い。バックはジョン・トロペイ、ジェフ・ミロノフ、アンソニー・ジャクソンらNYセッションメンがズラリ。
JING CHI  Vinnie Colaiuta Robben Ford Jimmy Haslip (2002)
 心地良さばかりで商業的な意図から作られるサウンドとは対をなすミュージシャンズ・ミュージック。たまにはこんな音を聴きこんでみるのもヨイでしょう。ヴィニー・カリウタ(ds)、ロベン・フォード(g)、ジミー・ハスリップ(b)のトリオによるブルース・ジャズ・セッションアルバム。私にとってギター、ベース、ドラムスからなるトリオ編成は特にロックに関しては一番好きなスタイルで、古くはクリーム、BBA、またRUSHやPOLICE、日本ではピンククラウド(JL&C)などを好んで聴いていたりもしました。R・フォードのブルージーなギターを中心としてクセ者ヴィニーのドラムスとジミーのベースというトライアングルが織り成す硬派な世界を一聴あれ。
JODICI/diary of a mad band (1993)
 ジャケ写はもろ、若さタップリ・アイドルブラック4人組ってところなんですが、音を聞いてこれまた意外。一人一人のヴォーカルも、コーラスワークもしっかりとした実力派グループでした。この後、メンバーのK−Ci&Jo−Jo兄弟がユニットでグッと大人びたアルバムを出していますものね。このアルバムでスティーヴィー・ワンダーの「lately」がカヴァーされています。
Joe Sample/rainbow seeker (1978)
 当時、クルセイダースの事はほとんど知らなかったのですが、このジョー・サンプルのソロはFMで耳にして思わず買ってしまいました。このピアノにはブっとんだ覚えがあります。で、見事「melodies of love」はスウィート・ピアノナンバーとして人気曲になりました。でも、私が好きなのは「道草」です。ひねくれ者ですから。はは。
Joe Sample/voices in the rain (1981)
 このジャンルでピアノを堪能するアルバムとしての完成度で言えばやはり「虹の楽園」なんですけど、これもまあまあ好きなアルバム。どうも作品作品が段々と売れ筋狙い的に感じられていくのですが、ジョー・サンプルのジェントルなメロディーは変わらず素敵です。「burnin' up the carnival」でのコーラスはフローラ・プリムにジョシー・ジェームス、そしてポーリン・ウイルソンと豪華。なんといってもF・プリムのウニウニヴォーカルは存在感がありますね。 
Joe Sample/the pecan tree (2002)
 「虹の楽園」からもう20年以上。この人ももういいオジサンになってしまったのですね。大手レーベルを離れた彼が自由にやりたい音楽をやっているという事です。こう言うとクルセイダースの一連の作品や以前のソロ作はみんな商業的な部分に縛られて作られてきたのかと疑問になりますが、人はその時々での考えがあるものでそれはそれ、いいものはいいで私のようなお気楽な聴く側としては「まあまあいいジャン。別に」的スタンスでよろしいのではないかと。音は派手さのない落ち着いた雰囲気ですが、ハワード・ヒューイットのボーカル曲などもあるR&Bスタイルなピアノ・アルバムとなっています。
John Klemmer/hush (1981)
 コルトレーンの後を追うサックス奏者として60年代から活動をしていたジョン・クレマーの、今で言うスムース・ジャズ作品。持ち味のクールなブロウイングを最大限に生かすearly '80sサウンドで満たされる一枚。聴けばすぐにわかるこの頃のラリー・カールトンとリー・リトナーが参加も嬉しい。今、再現する必要のない音楽ですが、忘れたくない独特の雰囲気を持った大レーベルElektraらしいフュージョン作品。
John Lee & Gerry Brown/mango sunrise (1975)
 ラリー・コリエル率いるTHE ELEVENTH HOUSEのベース、ジョン・リーと、後にスタンリー・クラークと親交を深めるドラマー、ジェリー・ブラウンのリズム・ユニットによるブルーノート・デビュー作。フュージョンが確立されてきた時代の音で、ある意味素朴な、かつ黒人アーティストらしく気難しさのないファンキーなアルバム。ただもうひとつ押しが足らない印象。その中でも“magnum opus”は同時期のジョージ・デュークを聴いているような疾走感がありカッコいいですね。面白いのはオランダ録音と言う縁からかエリック・タッグがシンセで参加してます。
John Lee & Gerry Brown/still can't say enough (1976)
 引き続きZEMBU PRODUCTIONSのスキップ・ドリンクウォーター・プロデュースによる2作目はムトゥーメレジー・ルーカスにタワサ・アギーのヴォーカルまで加わるMTUME一派の参加やブレッカー・ブラザースデヴィッド・サンボーンアーニー・ワッツら管奏者までバック・サポートが大きく強化され、持ち前のファンキー・フュージョンを軸に、時折挟まれたメロウ・ナンバーがソウル好きにもアプローチする、よりエンタテイメント性を高めたアルバムとなっている。ただ、リズム・ユニットとしての強烈な個性が感じられないために、この二人の名が思うように広がっていかなかったのも事実でしょう。しかし、この頃はこういったカテゴリの壁を崩す音を作る事自体に意義があったわけで、ジャケ写やタイトルはそんな頭の固いリスナーに向けられたものだったのかもしれませんね。
John Scofield/loud jazz (1988)
 パット・メセニー的でもあり、ロベン・フォード的でもある。こう言っては失礼ですが、そんな音と言うと解りやすいでしょうか。旧友ジョージ・デュークを迎え、彼のリーダーアルバムの中ではかなりファンク色の強い作品となっています。デニス・チェンバース(ds)とゲイリー・グレンジャー(b)のリズム隊が強力にファンキーです。
John Tropea/tropea (1975)
 ニューヨークのセッションギタリストと言えば、この人も代表的な存在。しかも75年にして初リーダーアルバムを発表するんですから、その後のクロスオーバー・ギタリストブームよりも前にすでにNYでは注目されていたわけなのです。個人的にはデオダート楽団でやっていた時のチャカチャカなリズム・カッティングが印象的なんですが、このリーダー作ではもちろんのソロも含めて色々な味のある音を聴かせてくれます。そして一曲を除きすべてリック・マロッタとスティーヴ・ガッドの左右に分かれたツイン・ドラム!!主役には悪いがこれもまた聴き所。ヘッドホンでどうぞ。
John Valenti/anything you want (1976)
 好みによるところが大きいのでしょうが、スティーヴィー・ワンダーのフォロワーというアーティストの作る楽曲はだいたいそちらの方も良いモノだったりすることが多く、この人はフォロワーの中でも特に「なりきった」存在ではないでしょうか。特にメロディーライン、歌(発声)もそっくりである中に、親しみのもてる曲調といい、3部作よりもどちらかというとそれ以前、60年代までかかっている頃の、明と暗で言えば明の部分、それに黒々としたsoulと言うよりはpopなスティーヴィーに焦点を絞っているところも面白い。だいたいはスティーヴィーのフレーズを取り入れながらもそれはひとつの影響部分として消化し、あらためて自分の音を求めるアーティスティックな人が多いのですが。ジャケ写の意味シンな雰囲気とは対照的な爽快さが先入観ナシで聴いてもナイス。いよいよCD化されるようですね。
John Valenti/I won't change (1981)
 ソロ2作目となる本作は、なんと日本のみのリリース。それも当初からその意図で製作されたものではなく元々は本国での発売を予定していながら、それがお蔵入りしてしまったと言うことです。確かにひとつひとつの楽曲はそれぞれしっかりと作られていて、1stよりもポップでリスナーの間口を広げた親しみやすさがあり、これが本国リリースなしとは寂しい。しかし、Mike Piccirillo & Gary Goetzmanのコンビ作によるナンバーが大半を占める内容は、1曲単位では良くはできているのですが、すべて「〜風の曲」、「どこかで聴いたことがあるフレーズ」等がつきまとうものばかりで個性足らず。やはりそんな中でもJ・ヴァレンティ本人作の数曲が光るなぁ。80年代初頭当時の音、良いとこどりみたいなズルい(笑)アルバムですが、楽しめます。
Johnny Gill (1990)
 90年代を代表する人気ボーカリストのデビューアルバム。やっぱり、babyface作の「my,my,my」ですかね。あまり良いマスクとは思わないのですが、特に日本ではなぜかアイドル的売りこみの仕方をしていましたね。ここではしっかりとジャム&ルイスとベイビーフェイスがプロデュースをして盛り上げています。
Johnny “Hammond” Smith / gears (1975)
 ベテラン・オルガニスト晩年のレア・グルーヴ作。やっぱりたまに聴きたくなっちゃうタイプの音ですねーこういうのは。本作は全編、時代の寵児たる存在であったMizell兄弟のカラーで染め上げたフローティング・サウンド。一曲目から二人のヴォーカルが現れて思わずニヤニヤ。ただ、この兄弟プロデュース作ってみんな同じに聴こえてしまうことがなきにしもあらず。だから次の時代に移ったMizellサウンドがあったなら聴いてみたかったような…。ここでのジョニー“ハモンド”スミスはその名に反してエレピを多用していて、古くからのファンには異質の時代であったことでしょう(私はこっち系しか知らないのでなんとも感じませんが)。それでも「los conquistadores chocolates」や「fantasy」などでブリブリのオルガンを聴く事はできたりします。 これはJ・ハモンドのプレイと言うよりは、どちらかと言うとハーヴィー・メイソン&チャック・レイニーによる安心のグルーヴに乗って、マイゼル兄弟の作り出す独特のワールドを楽しむアルバムと言えるでしょうね。
Johnson&Branson (1989)
 元NITEFLYTEのHoward JohnsonとRegis Bransonとのヴォーカル・ユニット。ふむふむ、やはりこの年代だけあって特有のニオイがありますな。でもやはり基本的にはメロディアス志向のようですから曲によっては同じ80年代打ちこみソウルでもグッとくるサウンドだったりします。特にラストはベースやドラムも生音を使ったミディアムナンバーで、リオン・ウェアのback-VoやCharles Fearing(懐かしいお名前ですね)のリズム&ソロギターをゲストに迎えている佳曲で締めてくれます。なかなか!
Jonathan Butler (1987)
 今ではどうって事はない「スムース・ジャズ」ギターアルバムだったりするのですが、一発目の「lies」には当時ブっ飛び。ジョージ・ベンソン以外でここまでイカしたヴォーカルとのユニゾンでギターかましてくれる人はいなかったですから。南アフリカ出身でイギリスに渡り全世界デビューを果たしたという経歴と、なんと16曲収録という大サービスでかなり話題となった新進ギタリストでした。確かに、あの頃はこんなサウンドが新鮮だったんですよね。正確にはワールドデビュー2作目の作品です。
Jorge Dalto/chevere (1976)
 70年代後期のジョージ・ベンソン・グループにおける活動で名が知られたアルゼンチン出身の鍵盤アーティスト、ホルヘ・ダルトのファースト・ソロアルバム。ラテンの香りを発しながら、コテコテではなくソフィスティケイトされたセンスの良いアレンジはさすがベンソンに認められただけはありますね。疾走するソロ・プレイも良いのですが、ここではローズを中心とした鍵盤の持つ70年代特有の温もりを感じるサウンドそのものに身を委ねたい。奥方アデラのヴォーカルが哀愁漂う“time for some changes”〜“I only care for you”への流れが最高。
Jorge Santana (1978)
 一度見たら忘れられないこのジャケット(笑)。発売当時良く耳にしていたのはどこかジャパニーズ・ポップの雰囲気とダブる“love you,love you”。サンタナの弟がフュージョン/POP人気に乗ってポッと出てきた印象が何も知らない子供ごごろにありましたが、そんな彼がMALOのリーダーであった経歴を持つと知ったのはずっと後の事。これはNY録音でヴォーカルナンバー中心、それもMALOとはかなり対照的な市場意識を持ったポップス作で、やはり海の香りもしているのですが、ギタリストのアルバムとして期待した人には物足りなかったのかもしれませんね。高中正義している曲があったりしてその辺でも話題になったものでしたが。
Jorge Santana/it's all about love (1979)
 ヴォーカル曲中心と言う点では前作と同じなのですが、ライトPOP一辺倒という節操の無さから一転、ラテンファンクを強化して骨っぽい音をここではやっていて、彼の淡々としたギターも良くフィーチャーされています。MALOのギターがソロを出したと言えば、どちらかといえば本作の方がイメージが近いのかもしれません。アレンジはシンプルで派手さはなく、自然にわき上がる音を自由に表現している感はあるのですが、日本制作のような優等生的録音で、低予算を感じさせるのっぺりとした構成。これならもう少し曲数が欲しかった。
Judy Roberts/the other world (1980)
 ジャズ・ピアニスト&ヴォーカルと言う限られたくくりの中で聴いてしまうと、特に歌がうまいというわけではないし、では鍵盤奏者として特筆すべきものがあるわけではなく、では彼女の何が魅力なのかと言うとやはりバンド・スタイルとして作られるブラジリアン、ボサを中心とした広いポップ感覚を持つそのサウンドと、その「たいしてうまくない歌」が妙に良くマッチした全体の「雰囲気」でしょう。でも、スキャットを駆使したヴォーカルはそれはそれでとても味があるモノ。心地良く音を流したい時にはうってつけのアルバムです。
Judy Roberts/nights in brazil (1981)
 アルバムの中で必ずブラジルの音を入れてきた彼女でしたが、ついにここではタイトルにもある通りそれを前面に打ち出して来た形となりました。彼女のキャラクターとしてもそうした音づくりがビッタシはまる感じで、暖かく、ゆったりと流れていくメロウ・サウンドがとても心地良い。ナイロン弦ギターやブラジリアン・パーカッションもより強調され、そして得意のスキャットとキーボードとのユニゾン決めなどさらにブラジルへの思いがパワーアップされています。古くもなく作られ過ぎに感じる新しさもない自然な「ブラジリアン・フュージョン/ヴォーカルアルバム」。私好みの全体を通じて統一性のあるバンド・サウンド、70年代後半〜80年代前半特有の音として良作。
Jun Fukamachi/on the move (1978)
 今はもう、すっかりソロピアノ作品アーティストになってしまっている深町氏ですが、以前はこんなイカしたフュージョンアルバムも出していました。故リチャード・ティー、故エリック・ゲイル、スティーヴ・ガッドらSTUFFの面々と、D・サンボーン、R・ブレッカーのホーン、B・フィナティーのギター、アンソニー・ジャクソンのベースなどNYフュージョンスターを迎え、イキの良いナンバーだらけです。「departure in the dark」は圧巻!
Jun Fukamachi & NEW YORK ALL STARS/live (1978)
 「on the move」がちょっとした盛りあがりを見せ、ついにNYスター・ミュージシャン総動員でライヴをやってしまった貴重な記録。これがまた、みんな物凄い力の入れよう!!こんなにリキ入ったライヴはそうそうないのでは。スティーヴ・ガット叩きまくり、ブレッカー兄弟、デビッド・サンボーン吹きまくり、リチャード・ティー、スティーヴ・カーン、アンソニー・ジャクソン弾きまくり、最後は15分にも及ぶマイク・マイニエリの名曲、「loveplay」で締めてくれます。いまだ名盤との誉れ高いライヴ2枚組。
JUNIOR/JI (1982)
 ラジオから流れてきた「mama used to say」のカッコ良さにはブっとんだものでしたが、このアルバムを良く良く聴いてみるととても当時のAORテイストが溢れたポップなものでした。「too late」や「I can't help it」のメロディー、アレンジなどは白人シンガーに歌わせてもバッチリ合うほど。ジャケ写の笑ったJUNIORと、「mama〜」のファンキーなイメージからこのアルバムがこんなにアーティスティックなポップアルバムだとは想像できた人はいなかったんじゃないですかね。そこが黒人音楽・ソウルファンには少し物足りなかったのかもしれません。そういう点ではスティーヴィーの影響が少なからずあった人なのかもしれませんね。ここを見ている音楽ファンにはドンピシャの一枚でしょう。


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