THE BAKER BROTHERS/in with the out-crowd (2005)
 Dan Baker(中央)、Richard Baker(右)の兄弟とChris Pedley(左)による怒涛のジャズ・ファンクトリオ。これは臨場感の良く伝わってくるライヴアルバムで、ギター・ベース・ドラムスを中心とした骨太な音についついヤラれてしまいます。このバンド、70年代のジャズファンク/ロックの香りを感じさせつつ、ただ懐古主義的なものではなく叩きまくりのドラムスと黒っぽいギターがソロをとるハード・ジャムセッションの中に時おり挿まれるキーボードやサンプラーがやはりUKアシッドな今の時代のバンドであることを主張しているようです。またこの3人に加え、ホーンセクション(ここではHornicationと呼んでいますが)が入り音を厚くさせている所もやはり今風。どことなく懐かしいようで、実はありそうでなかったバンドなのでした。とにかく爆発的なパワーに踊らされてしまうのはライヴで本領を発揮するバンドたるところです。実はこの3人来日していたのですね。自分は行けなかったのですが、実際に行かれた方はその模様を是非教えていただきたいものであります。
Barry Miles/fusion is...(1978)
 アル・ディメオラ初期のアルバムで鍵盤サポートをしていたのが記憶にあるくらいであったが、実はそれ以前からリーダー作を出していたほどのアーティストでした。アコースティックなジャズ・カルテット編成ではあるがそれぞれの曲が違った表情を持ち、一曲目はディメオラ・セッションの流れを汲むラテンともインディアン・ジャズとも取れるエキゾチックな“tandoori”から始まり、ウォーレン・バーンハートのような暖かみのある“follow me”と続き、ギターとシンセで爽やかに、自然に囲まれた朝の風景を浮かび上がらせる“sunrise”、そしてラストはマイルストーンズ風にB・マイルスのピアノが疾走するハイテンションなジャズ・セッションと、多彩な曲調の中にも主役である彼の鍵盤がボケる事なく存在感を持ち続けている。アーティストとして「フュージョンとは・・・」の答えを出したかったであろう事がうかがえる力作。
Barry White/the right night and barry white (1987)
 ストリングスをきかせ、女性コーラスを多用する独特のゴージャスサウンド・マスター、バリー・ホワイト。この持ち味はひとつの個性としてよろしいのではないかと思うのですが、とりあえず毎回毎曲、イントロの時に自分のナレーションを入れるのはやめたほうがいいと思うぞ。このおかげで人前では聴くことが出来ないアルバムになってしまったのでした。喜んで聴く人は日本人ではなかなかいないだろうなあ。 
BAUTISTA (1977)
 これまたご紹介コーナーに迷うアーティストで、EW&Fのギターとしてアル・マッケイとともに有名な人なのでブラックのコーナーにしようかな、とも考えましたが本人は南米系の人かな? これは彼のファーストリーダー作で、プロデュースはウェイン・ヘンダーソンと、元クルセイダーズでジャズ畑の人。アルバムを聴けばどちらかと言うとAOR的でもあったりけっこう爽やか目のグルーヴだったりするのでした。とにかくこの人の持ち味はリズム・カッティング。フリーソウル的な曲でもラテンタッチの曲でもひたすらチャカチャカと刻まれるギターが心地良いですね。サウンドの多面性志向は確かにアースに共通するところです。
BAUTISTA(Roland Bautista)/the heat of the wind (1982)
 前作から5年程度のブランクを空けて発表された2nd。この時はアースへの再加入やクルセイダーズ・メンバーとしての来日など日本ではかなり名前が知られていた頃で、まさに満を持したようなアルバム発表でした。内容はドラム・ベース・キーボードとのユニゾンをきめるジャズ・ロックなタイトル曲をはじめ、フリー・ソウルやファンキーものも含めバラエティに富んだ内容。ギタリストのアルバムとしてもバティスタの様々な音が聴け、持ち味のリズム・カッティングはもちろんソロ・プレイも楽しめます。引き続きプロデュースはウェイン・ヘンダーソン。内容は決して悪くないのになかなか評価されない盤のひとつ。
Beau Williams/stay with me (1983)
 ボー・ウイリアムスが80年代に残したメジャー数作の中では、ダントツに人気の高いこのアルバム。表情が豊かで力強いヴォーカルが存分に生かされた魅力あるナンバーが並ぶ中、なんといってもスティーヴ・フェローンやリッキー・マイナーのリズムが参加したタイトル曲、今ではなかなかお耳にかかることのできないゾクゾクするカッティング・ギターがオープニングの“SOS”などは極上。70年代ソウルにも繋がるオーソドックスな作りではありつつ、本人の歌はもちろんアレンジ、サポート・ミュージャンにいたるまで三ツ星のA級品。
Bell & James/in black & white (1981)
 アルバムタイトル通り黒白デュオの3rd。LeRoy Bellはギターとドラムス、Casay Jamesはキーボードとギターなどもプレイしているようですが多くはJ・ポーカロやC・ヴェガ、N・スチューベンハウスらのシンプルで無駄がなく、かつ要所でキメている一流のバッキングに乗ってPOPサウンドを展開しています。タイトルそのままの、ファンキー過ぎず、しかしながらダンサブルでもあり、黒と白が綺麗に溶け合った音ですね。“wind and rain”や“radiation”などの優しいナンバーが挿まれている所もこのデュオの特徴と言えそう。
Ben Sidran/the cat and the hat (1979)
 ポップスとジャズの境目に位置する音楽性を持ったシンガー、ベン・シドランの本作はマイク・マイニエリとの共同プロデュース。スティーヴ・ガッド、エイブラハム・ラボリエルら名手のサポートにより、79年と言う洗練度が最も良い意味で高まった時代らしい音になっています。ヴォーカルそのものは微妙な人ですが、「Mr,小粋」がさらに磨かれたよう。フュージョンっぽいインストを挿む構成も好きです。
Benard Ighner/little dreamer (1978)
 コチラでドーゾ。
Bernard Wright/'nard (1981)
 弱冠17歳における黒人ピアニストのデビューアルバム。ジャケ画像も若いです。典型的な80年代NYジャズファンク中心の構成で年齢云々は抜きにしても充分質の高い音を聴かせてくれます。まあ、それにはグルーシン&ローゼンのプロデュース力と曲作りにバラエティ豊かなアーティストが協力をしてくれているというのもありますが。後に親密な付き合いとなるマーカス・ミラーやこの世界でも活躍を始めるデニス・チェンバースがしっかりとサポート。
Bernard Wright/funky beat (1983)
 路上でブレイクダンスをするジャケットや、アルバムタイトルからとてもとてもストレートに本作品を表現していますね。この2作目ではNYファンクをさらに進化させたヒップポップへのアプローチを行っています。今聴くととても懐かしい雰囲気があるし、時代の音と一言で言ってしまえばそれまでなのですがヒップポップ創世記にあたるこの時代に、彼がいち早くその種のブラックミュージックにアプローチをして見せた事は評価できるのでは。この試みにサポートしたのはやはりレニー・ホワイトマーカスと共に後、ジャマイカ・ボーイズを組む流れとなるわけですね。しかし、そういった意欲が見られるのもアルバムの前半のみで全体としてはブラコンテイストのナンバーあり、トリオ編成のジャズありとまだまだ「自己紹介」的な内容なのが…。しかたがない事なんですけどね。
Bernie Chiaravalle/mystery of love (2005)
 この人は90年代からマイケル・マクドナルドのアルバムで弾いているギタリストで、自身も最近はインディー・レーベルでコンスタントにアルバムを作っているようですが、これはその2ndにあたるもの。全編ヴォーカル曲としており、1曲のみM・マクドナルドとの共作曲が収録されている。全体を通して一言で言えばじっくりと耳を傾けられる大人のグッド・アメリカンミュージック。ギタリストではあるが、それよりは歌作りなんでしょうね。質は高いがセールスにはこだわらないと言う、インディーらしい自由さが感じられます。
Bill Cantos/who are you (1995)
 AORが一番AORしていた、一番愛され聴き継がれていたあの頃のサウンドを忠実に受け継いだ感のある好作品。90年代半ばにしてこの懐かしさは心地良いです。絶頂期の代表アーティストが次々と別路線へ移行する中、良くぞ出てきてくれました。スティーリー・ダン的な一曲目や、マリリン・スコットがボビー・コールドウェルとのデュエットでイエロージャケッツの作品をカヴァーし人気を博した「daddy's gonna miss you (show me your devotion)」を取り上げるなど、王道を行くベーシックAORを求めていた人には是非おすすめですね。
Bill Champlin/single (1978)
 プロデュースはデビッド・フォスター。いやー、ムサくるしい髪型&ヒゲ!シカゴのヴォーカルになった時はだいぶスッキリして痩せたのでビックリしましたが。サウンドはフォスター色が当然の事ながら強くてカッチョいいです。ステキ!個人的には次作の「runaway」よりも好きですねぇ。同時期にやはり同プロデュースでタヴァレスのアルバムが発表されましたが、収録曲がちょっと似ていますので、こちらと聴き比べるのもおもしろいですね。
Bill Champlin/runaway (1981)
 ソロ・デビューの前作に引き続きデビッド・フォスターのプロデュースですが、今回はより本国ウケを狙ったアメリカン・ロックを全面に打ち出した痛快な内容となっています。前作でのR&B的なファンキーさは影を潜め、白人マーケットを強く意識したわかりやすいサウンド作りをしたと言う点で、方向性としては間違っていなかったと思います。しかし、日本では圧倒的にこちらよりも「SINGLE」の方が評価は上。私もそのひとりですが。
Bill LaBounty/this night won't last forever (1978)
 どこかで聴いた事のあるようなタイトル曲。なるほど、この人が原曲の作者だったのかと少しニヤニヤ。アルバムの完成度としては「BILL LABOUNTY」ほどではないのですが、様々なアーティストに楽曲を提供、ヒットを出し、またカヴァーアーティストも多い彼のメロディーセンスはなかなかのものです。AORというよりアメリカンポップスの色合いが強い作品で、派手好みの方には向かないと思いますのでご注意のほど。
Bill LaBounty (1982)
 そのサウンド、歌声と、ルックスとのギャップがあまりにも大きすぎて戸惑ってしまうアーティストとして不本意な話題のなり方をした人ですが、確かに私としてもクリストファー・クロスを抑えて堂々のギャップ度NO,1です!! しかし、音、特にメロディーはとても良いですよ。チャック・レイニー、スティーヴ・ガッド、ポーカロ&ルカサーのバックに、ディーン・パークスの渋いギターソロが聴ける曲もありますが、基本的にはBillが作る楽曲の良さを堪能するべきアルバムであると思います。曲の質を重視する方にもおすすめです。
Bill Meyers/the color of the truth (1990)
 80年代以降のEW&Fサウンドになくてはならない裏の立役者が彼だったと言えるのではないでしょうか。一曲目、いきなりのイントロでもわかる通り、プログラミングを駆使したこの頃のアースの音の中で、特にインパクトのあるアップ・ナンバーではアースそのものではなくほとんどこの人の音で作られていたんだな、と実感させられます。ジェフ・ポーカロ、ニール・スチューベンハウス、マイケル・ランドウらウエスト・コーストのセッションメンが参加してヴォーカル曲中心のポップ・アルバムとなっています。
Bill Meyers/all things in time (1996)
 彼やデヴィッド・フォスターなどの白人キーボーディストの登用によりラリー・ダンがEW&Fを離れることになったのかどうかは推測の域を出ませんが、それほどアースの音の中で重要な位置を占めていったことは事実でしょう。そんな白系センスの積極的な導入が逆にアースの持っていた雰囲気を壊していってしまったような気もしますがそんな事は後の祭り。このアルバムの中でもそんな彼の独特のフレーズがいたるところに顔を覗かせます。今回は前作のようなポップな部分は薄れ全体としてはスムース・ジャズ的なインストルメンタルアルバムといったところですね。
Bill Summers/feel the heat (1977)
 ハービー・ハンコックのアルバム参加からヘッドハンターズ結成に発展したメンバーの中でパーカッションを担当していたのがこの人。満を持して発表したこのソロ・アルバムではなんとヴォーカル・ナンバーを中心としたソウルな作り・・・と思いきや後半はパーカッショニストの本領発揮とばかりに南米〜アフリカンなサウンドにシフトして行き、EW&Fの“runnin'”ばりなアル・マッケイ作“Brazilian Skies”から“check it out”らの流れはサマーズのコンガ、乱れ打ちの展開に。聴く者の的が定まり難いアルバム構成ながらもパーカッショニストのリーダー・アルバムらしい躍動感のあるサウンドが溢れています。スキップ・スキャボロウのプロデュースらしい黒人音楽の魅力をマルチに伝える好盤。ヘッドハンターズ繋がりで重厚骨太ベースのポール・ジャクソンが参加も嬉しいですね。
Bill Summers and SUMMERS HEAT/on sushine (1979)
 ハービーとのセッションが代表的なジャズ・ファンク系パーカッショニスト、ビル・サマーズが自己のバンド(summers heat)でもアルバムを出していたのですが、ここではウケの良さげなソウルサウンドで勝負をしていますね。しかし、サマーズ自身のソングライティング力があまりなかったようでバンドの仲間たちが曲を寄せ合い、本人は歌もほとんど歌わずパーカッションとアレンジ、プロデュースに専念。聴き触りの良い音ですが逆にアーティスト性という点でこれは致命的だったかな。
Bill Summers and SUMMERS HEAT/call it what you want (1981)
 プレスティッジからMCAにレーベルが変わり音も打ち込みが一部ありーの、当然ながら新し目の80年代前半ソウルになってきました。パーカッションひとつとってもそれまでにはなかったような音が入ってくるんですから、この時代って年々前進、進歩が手に取るようにわかって面白いですね。このアルバムではサマーズが結構曲作りに参加をしていて、 ファンクありバラッドありのバラエティに富んだブラック幕の内を食べさせてくれます。ノリがいい。
Bill Summers/the essence of kwanzaa (1997)
 さて、かなり間を開けて今の時代の音として発表されたこのアルバム。おおー、summers heatのようなPOP感とは対照的なファンク、しかもジャジーな部分も取り入れた、腹にズンズン響いてくる骨太ブラックをやってくれました。しかし、ジャケからも伝わってくる通りここでのテーマはアフリカのようで、曲名もほとんどが「ujimaa」、「kuumba」、「imani」などそれらしいものばかりです。アフリカン&ラテン&NYブラック融合サウンド。さすがパーカッショニストですね。
Bill Wolfer/wolf (1982)
 フィニス・ヘンダーソン「call me」の作者が、実はこの人だったのですね。本作でもフィニスをゲストとして、セルフカヴァーしています。プログラミングなど、ほとんどBill一人で作られたようで、白人ですが、ブラコンのような仕上がりになっています。コンピューター・プログラミングミュージックのはしりみたいな人でした。
Bill Wolfer/and it rained all through the night (1989)
 前作が当時少なかったプログラミング・ミュージシャンという話題性と、親しみやすいホワイト・ソウル的なヴォーカルナンバーなどもあったことから多少のヒットがあったようですが、今回はグッと落ち着いて癒し系のBGM的アルバムになってセールス的にも失敗したようです。やはりシンバルやスネアの音(打ちこみ)が今ではかなりチープに聴こえてしまいますね。
♪“and it rained all through the night”♪
Billy Cobham/spectrum (1973)
 次から次へと繰り出す手数の多さでは天下一品、当時最高峰ジャズ・ロックドラマーのファーストアルバム。とは言ってものっけから飛び出すBコブハムの乱れ打ちとは裏腹に、拍子抜けするほどファニーなのはギターでチョーキングをかましているかのようなフレーズが独特のものを持つヤン・ハマーのムーグと、ロック畑で表現が限られてはいるが、それがこの場では強烈なアイテムとなっているトミー・ボーリンのおかげか。今、もしもこのようなアルバムが再び世に出たとしてもその意義を評価するリスナーは少ないのでしょうが、この時代ではほとんどのドラマーが彼に憧れたのだろうなぁと、その変態的スティックさばきは快感だったりするのです。
Billy Cobham/crosswinds (1974)
 組曲仕立てのside−Aと、タイトル曲を含めた単品ものの計4曲。1970年代のフュージュン、ロックなどはこうした大作ものが多かったですね。個性の塊のようなビリーのドラミングと、MPS時代のジョージ・デュークらしいキーボード・バッキングがスリリングです。フュージョンというジャンルが徐々に確立されつつあった頃の音ですね。
Billy Cobham/a funky thide of sings (1975)
 アナログ・ディレイを多用した効果がとても時代を感じますが、いかにもドラマーの作るアルバムらしさに溢れ、好んで聴く人は限定されてもビリー・コブハムと言うひとつの「個性」を楽しむにはこれもまた良しかなと。最大の聴き所は旧友ブレッカーズと共に吹き込んだ“some skunk funk”。本家でのドラムス、ハーヴィー・メイソンとの対照を楽しんでもいいかも。
Billy Cobham/B.C. (1979)
 あらあら、こうなっちゃったのね☆ビリー・コブハムは。というような感想でございます。70年代後半はフュージョン・バブル的な頃で、とにかくヒットを狙う音作りをするアーティストが多かった。黒人の場合は、ソウルとの融合など。でも、POPになってもこのドラムは変!(いや、いい意味でね)。個性が強すぎて、売れセン狙いでもどこか気持ち悪くなってしまうわけです。これが彼らしいのですが。プロデュースはウェイン・ヘンダーソン。う〜ん。妙に納得。
Billy Cobham & NOVECENTO/drum n voice vol,3 (2010)
 コチラでドーゾ。
Billy Griffin/systematic (1985)
 スモーキー・ロビンソンが離れた後のミラクルズでリードシンガーを務め、80年代からソロとして数作アルバムを出していた彼の3rd。A面をメロウ大王リオン・ウェア、B面を70年代後半から80年代前半の僅かな間にスタンリー・クラークなどジャズ・フュージョン系のアルバムに参加していた鍵盤奏者トッド・コクラン(“バヤーテ”・トッド・コクランなんてクレジットでしたネ)がプロデュースを担当。この時期特有のプログラミング・ビートの中に、ひとクセあるプロデューサーたちの思惑が絡むアーバン・ソウル好盤となっています。“If I ever lose this heaven”のカバーはこれまでのイメージを覆す新解釈のアレンジが面白く、リッキー・ローソンエイブラハム・ラボリエルらが参加したバラード“Easy thing to say”が挿まれる所もいいね。
THE BLACKBYRDS/city life (1975)
 ワシントンD.C.のハワード大学で音楽講師をしていたドナルド・バードが、その中でも優秀な学生を集めて作ったジャズ・ファンクバンド。デビュー作だけはD・バード自身がフラック・ミュージックを取り入れていく案内役となったマイゼル兄弟にプロデュースを任せたが、2作目からはバードがプロデュースしている。初期こそ泥臭いファンクが中心だったが、この3作目は「city life」と言うだけあってかなり洗練されてきている。各メンバーがそれぞれ曲作りを担当したヴォーカル物がほとんどだが、それとは別にアルバムのラストに配置されたマイゼル兄弟作のインストルメンタルがやはり別格の出来。バード作の“happy music”では彼のトランペットも聴く事ができる。メリー・クレイトンやデビュー間も無いパトリース・ラッシェンらがゲスト参加。
THE BLACKBYRDS/better days (1980)
 デビュー当時を含む70年代はかなりジャズ・ファンクしていたのですが、80年代に移り発表された本作はかなりアップテンポなディスコサウンドとなりました。ジョージ・デュークのプロデュースですが、そんなに彼のカラーは濃くなく、むしろかなり時代を感じさせるレアグルーヴの典型的ディスコサウンド・バンドを狙った音づくりをしています。この頃の黒音好きにはかなりイイ線行っているかも。
BLACK SUGAR (1997)
 コチラでドーゾ。
THE BLISS BAND/dinner with raoul (1978)
 ジェフ・バクスターの強力なプッシュにより待望の全米デビューを果たしたとされる英国5人組POPバンドの1st、ありがたいリイシュー。まず、感じ取れるのはリーダーであるポール・ブリスのスティーリー・ダン/ドナルド・フェイゲンからの多大なる影響で、その忠実な「そっくり」さ。今の時代にもそれらしい人は居ますがこれは1978年という本家も旬の時代であったところがミソ。前述のJ・バクスターの他、マイケル・マクドナルドやキース・クヌードスンらドゥービー・メンバーがゲスト参加。S・ダン・クローンとは言えど全編通してそのイカしたPOPセンスが嬉しい一枚。
THE BLISS BAND/neon smiles (1979)
 さてそんな露骨な「そっくり」ミュージックは当時まったくセールスにならず、これではイカンと奮起し作られた2nd。特定のアーティストからの影響に偏らず、ポール・ブリスのPOP感覚がより開花されたと言えそうなカラフルな音色を楽しめるアルバム。エイミー・ホーランドのカヴァーでヒットした“how do I survive?”は彼女が歌うのもニヤニヤなM・マクドナルドライクの素敵なナンバー。清廉なバラード“someone else's eyes”やコーラスがズバリはまった“Chicago”など、より音の巾を広げつつマーケットを意識した作りはそのまんまスティーリー・ダンであった1stと対照的すぎてしまったところが逆にマイナスであったのかも。どちらにしても追随型アーティストの典型ですね。1st、2nd共に音としては素晴らしいのが惜しいのですが。
Bob James-David Sanborn/double vision (1986)
 ご存知鍵盤とサックスの大御所がタッグを組んで作られたスムース・ジャズ・アルバム。どちらかと言うとD・サンボーンの細やかなブロウを際立たせるようにしていて、B・ジェームスは脇役的な立場を取っているよう。さりげなくマーカス・ミラーのソリッドなスラッピングが一聴凡庸と捉えられがちなスムース・ジャズにスパイスを与えている。ベテランの二人だけありサウンドの安定感はさすが。まぁどんなシチュエーションでも安心して流せる音ですね。
Bob Mintzer/source (1982)
 中村照夫のプロデュースによる日本製作盤ながらバックはウィル・リードン・グロルニック、ランディ・ブレッカー、ヒュー・マクラッケンなど当時のNYを代表するプレイヤーで固め、極めつけは2曲でジャコ・パストリアスまでが参加したフュージョン黄金期の隠れた良盤。ボブ・ミンツァー自身はサックス等リード楽器を主とするプレイヤーですがここではAOR風のヴォーカル曲まで披露。とかくバックメンの話題性に目を奪われがちですが全曲がミンツァー作となっていて彼の広い音楽性が現れたアルバムとなっており、バラエティ豊かな楽曲のそれぞれが粒よりで聴き応えアリ。
Bobbi Humphrey/satin doll (1974)
 クロスオーバーなフルート奏者というと他の楽器に対して思い浮かべる人があまりいないんですけど、中でも一番黒々としたサウンドを聴かせてくれるのはこのボビー・ハンフリーかな。と、言うよりそれというのも全てはラリー・ミゼルのなせる業なわけなんですけどね。一発目のムチャクチャかっこいい「New York times」でもうガッチリつかまれて、チャック・レイニー&ハービー・メイソンのグルーヴに乗せられていく。フルートがこんなにクールなアルバムってなかなかないですよね。ジャケットの赤ん坊と彼女が音とは対照的な母性的優しさを表していますが。
Bobbi Humphrey/fancy dancer (1975)
 一時代を築いたマイゼル兄弟アレンジ&プロデュースによるブルーノート最終作。一発で感じ取れるその独特な音空間は、ここでは一曲目の“uno esta”のようなラテン・フレイヴァーが香るナンバーから始まるようにさらに巾を広げています。彼らの持ち味が一番良く出た“you make me feel so good”ではB・ハンフリーのクールなフルートとヴォーカル(コーラス)とのからみがgood。リズムはH・メイソンとC・レイニーが全曲担当し、タイトルナンバーはジェリー・ピータース作だったり、スキップ・スカボロウも鍵盤で参加していたりと、この時期のブルーノートを堪能できる鉄壁の布陣。
Bobbi Humphrey/tailor made (1977)
 エピック移籍第一弾として届けられた本アルバムはマイゼル・ブラザーズとも関わっていたスキップ・スカボロウのプロデュースとなった。なるほど、BN時代・マイゼルサウンド特有の浮遊感を残しつつ、スカボロウのクールなブラック・フィーリングが加味されたレア・グルーヴ感たっぷりの好アルバムである。彼女の欠点はフルートのソロがワンパターンであまりテクニカルでは無いところでそんな中下手にJAZZを追及してしまうとポロが出る。そんな点でもこのブラック/R&B押しなサウンドは好都合だったのかもしれない。
Bobbi Humphrey/freestyle (1978)
 ブルーノートからエピックへの移籍は、そのままクロスオーバー/ジャズから「フュージョン」への音の変遷と言う事ができますが、とりわけBN時代の黒々としたクールなサウンドに高い評価が集まりがちなレア・グルーヴ・ファンからすると、CBS系を中心としたさらに大きなレーベルに移ってからのアーティストは劣化の一途を辿る、と言う事になるのでしょうか。しかしながら本作はリチャード・ティー、エリック・ゲイルやスティーヴ・ガッドらのスタッフ・サウンドにガッチリと固められ、ボビーのクールなフルートは少しも劣化などしてはいません。ラルフ・マクドナルドのプロデュースなので能天気な“if you want it”のような楽曲がそのようなイメージを持たせてしまうのかも。リチャード・ティー好きにも十分に楽しめる一枚。
Bobbi Walker (1982)
 アルファ・レコードの米国会社から製作・発売されたBobbi Walkerのワン・アンド・オンリー作。録音はどこかジャパン製作のような優等生的クリアな音質で、アレンジもLeon Pendarvisが行っているからか、聴き馴染みのあるサウンドになっている。Nathan East,Ricky Lawson,Jeff Mirnovといった名バッキングにJoe Sampleまで参加しているサービスぶりですが、肝心の主役がこれといったキャッチ・ポイントのないヴォーカルなのが惜しい。あまりにもソツなく出来上がりすぎている、いかにも日本人向けな女性ヴォーカル・アルバム。“come back lover,come back”や“saturday night”あたりは結構イケてますけどね。
Bobby Caldwell (1978)
 ボビー・コールドウェルなら、まずこのファーストを聴かなきゃウソなんですよ。人気スタジオミュージシャン、もしくはプロデューサーがバックにいるかどうかで人気が左右されたこの時代に、堂々とアルバムの完成度だけでAORの代表的地位に君臨してしまった名盤です。ジャケット画からしてすべてが完璧です。
Bobby Caldwell/cat in the hat (1980)
 デビュー作のインパクトが強いと、2作目は得てしてパワーダウンしてしまう事が多い。これもそのクチでした。全体としてはAORとしてソツなくまとまっているのですが、「風のシルエット」や「スペシャル・トゥ・ミー」などのような頭に残るメロディーの曲がなくて、小粒な作品になってしまいました。ジャケ写もちょっとイヤですね。
Bobby Caldwell/heart of mine (1989)
 AORって、こんなサウンドを好む人々に支えられてきたのでしょうね。そんな風に思ってしまうくらい、良くも悪くも優等生的完全AOR作品と言える作品です。時が経ち「cat in the hat」よりも録音技術が良くなってよりきれいな音で聴きやすいです。個人的にはもう少し毒っけがあってもいいのではとも思うのですが。
Bobby Caldwell/timeline (1998)
 サブタイトルに「アンソロジーpart,1」とありますが、今後part,2も作るの?20年後ですか。はは。もうすでに完璧なベスト盤となっているようですのて、これ以外にベストはいらないでしょう。「風のシルエット」のニューバージョンが収録されているのはとても嬉しいですね。
Bobby King (1981)
 元々はライ・クーダーとの共演で知られるR&Bシンガーであった彼が世の流行に乗り(?)、またはワーナー・ブラザーズという大手の意向にしかたなく従ったか(?)、マイケル・オマーティアンのアレンジによりスッキリと爽やかなAOR/SOULとして出されたデビュー・アルバム。AIRPLAYの二人の参加により日本ではその筋のファンに知られたようですが、どちらかというと下地はその外見からもうかがうことができるように(笑)R&Bシンガー。そんな人が白人プレイヤーの大々的なバックアップを受けてしまったら、そりゃあ頑固なソウル・ファンからは受け入れ難いところがあったでしょう。しかし、そんな穿った見方は抜きにして彼のハイトーン/ファルセットボイスと軽いアレンジが見事にマッチしている心地良さはAOR好きならOK。リズムはエイブラハム・ラボリエルとエド・グリーンが担当。
Bobby Lyle/the genie (1977)
 このアルバムと言うより、本作を含むUK・EMIのMasters of Funk&Soulシリーズが気に入っちゃったのかも。なかなか嬉しい再発なんですが、う〜んCCCDなんですね、これが。さてこれは今ではすっかりスムース・ジャズなピアニスト、ボビー・ライルの1stソロ・アルバム。プロデュースはこの頃精力的に活動(し過ぎてクルセイダーズをやめちゃう事になる)していたウェイン・ヘンダーソン。ヴォーカルも入るファンキーさがありながら、70年代後半らしくドロくさいところもあるクロスオーバー・ジャズな音が懐かし嬉しいですね。ほぼ全編に刻まれるローランド・バティスタのリズム・ギターが気持ち良い。全体の統一感が無いので好き嫌いは分かれるでしょうが、自分としては好みなバラエティの豊かさではあります。まずタイトルトラックの一曲目は素直にクロスオーヴァーでカッコ良い。「night breeze」もBGM的ながらメロディーが印象的。どこかジョージ・デューク的(声質も)でファンキーな「magic ride」など、何かいろいろとやってくれちゃったりしてますが、ラストの短いピアノソロ「I didn't know what time it was」を聴くと、この人はアコースティックピアノが一番カッコイイのかも、なんて思ったり。暑苦しい彼の顔を中心に持ってきたジャケのイラストを担当したのは長岡秀星。これまた懐かしい!なんで目玉がギロギロ浮いているのか???な所に時代を感じます。余裕があればどうぞの一枚。
Bobby Lyle/the best of bobby lyle (1993)
 少々マイナー系アーティストになってしまった感のあるボビー・ライル。これは彼が1977年から1979年にかけてキャピトルから発表した3枚のアルバムからのベストです。ピアニストとして確りとした実力を持ちつつも、フリー・ソウル的フュージョンの黒っぽさ溢れるスタイルはこの人の味・かな?ハーヴィー・メイソンを迎えた「new warrior〜star traveler」はあのジェントル・ソウツを彷彿とさせるスリリングなナンバーで思わずニヤニヤしちゃいますね。
Bobby Lyle/ivory dreams (1989)
 さて、時は80年代後半。ボビー・ライルもスムース・ジャズ・ピアニストになっていたのでした。初っ端から心地よいピアノサウンドが楽しめます。元々ソウルを感じさせる人でもありましたが、一曲だけヴォーカル入りナンバーもありこの曲だけはノーマン・コナーズ・プロデュース。この時期特有の、それはそれは気持ちよい雰囲気で満たされているのですが、フレーズがどれもどこかで聴いたことのあるような? 聴き流す音楽というのはやはりたいした評価にはならないようですね。むしろ後半のスリリングなジャム・セッション的ナンバーがカッコ良かったりしますが。。。
Bobby Mcferrin&Chick Corea/play (1992)
 グラミー賞まで獲得して、一時はジャズ界のスーパースターだったボビー・マクファーリンですが、最近はどうしちゃったのでしょうか。確かに、楽器的なヴォーカルといえば、アル・ジャロウがすでにその唱法を確立しつつポップ路線で大成功していましたし、今いちリズム感と音程において首をひねってしまう部分があったのでした。やっぱり一時の人で終わってしまったのでしょうか?
Bob Weir/heaven help the fool (1978)
 グレイトフル・デッドのギター/ヴォーカルだったボブ・ウィアーのソロアルバムですが、著名なスタジオ・ミュージシャンと作ればこんなに垢抜けてしまうのだ、という見本のような作品。バッキングの細かなワザや音の安定感はデヴィッド・フォスター、マイク・ベアード、マイク・ポーカロらのクレジットを見れば納得、しかしその中で本人ボブのギターも負けじと存在感を出しています。AORと呼ばれるほどお洒落になりすぎない、程よい洗練度でそれまでのファンにもうまく新しい一面を見せる事に成功したアルバムなのでは。元々は同じフィールドで活動していたビル・チャンプリンの参加もイイですね。
THE BRAND NEW HEAVIES/original flava (1994)
 アシッド・ジャズなるものが日本でも受けていたようですが、その中でも割と人気のあるのがこのグループ。生楽器のスカスカ感がいいですね。インコグニートよりもどちらかというとjazz寄りのようですが、「never stop」のようなヴォーカル物をもっと増やしていたらさらに売れていたのでしょうね。
BREAKWATER (1978)
 70年代後半という、さまざまなジャンルの音楽が壁を取っ払う大きな展開を見せていたこの時期、とても魅力的な作品が次々と発表されていた頃でもありますがこのブレイクウォーターもそんな中で密かに生まれていた隠れ名盤。基本はフィラデルフィア発の黒人を中心とする8人バンド(白人1名)ですが、サウンドが爽やかでAORに近い仕上がり。デュークス(bugatti&musker)作のナンバーなども扱うくらいですから、ゴリゴリのブラックとは対極の位置にあるフリー・ソウルであるのは想像いただけると思います。そんな素敵な「中途半端さ」が日本人にはウケるのでしょうね。こいつはいいです。
BREAKWATER/splashdown (1980)
 そんなブレイクウォーターの2作目。一曲目から意表をつくシンセな効果音。25年ほど前に考える近未来的な、つまり「スペース」的な音から始まる作りや、3曲目の「release the beast」のような'80sファンクなどからファーストよりもかなりブラックを意識した、いやせざるをえなかった事が感じられます。ジェリー・ヘイを中心としたホーンの多用やギターカッティングなどはEW&Fの影響大かな。しかし、後半はまたブレイクウォーターらしさが戻る展開に。AOR寄りのメロウなフリーソウルが好きな人にはやはりこちらで一安心、といったところでしょうか。
THE BRECKER BROTHERS (1975)
 様々なアルバムでサポートしていた兄ランディのトランペットと弟マイケルのサックスの兄弟ブラス・ユニットが満を持してデビュー。二人はもちろんバックメンも白人が中心なのにこんなにもファンクしているのかと“some skunk funk”から続く衝撃は今もなを「クロスオーバー名盤」の一つとして挙げられる一枚。ブラス・ロックの流行で下地は出来ていたものの、管楽器がここまで攻め込んでくるものはありませんでしたね。ファンキーでありつつ、やはり白人らしさも滲ませるジャズ・ファンク・ロック。あぁ、アメリカ。あぁ、ニューヨークな問答無用の名作。
THE BRECKER BROTHERS/heavy metal be-bop (1978)
 ヘビーメタルという言葉がまだ日本で認知されていない時期のアルバムだったので、タイトルが今イチわからなかったのですが、後でわかってなるほど。一言で、ハードアメリカンロックとジャズのクロスオーヴァーだったわけです。軟弱なBGM的フュージョンをぶっ飛ばすほどの激しさがここにはあります。当時としては画期的サウンド。
THE BRECKER BROTHERS/detente (1980)
 一転、ヴォーカルを大きくフィーチャーしたポップな問題作となったこのアルバム、ジョージ・デュークが全面プロデュースをしていて、「また、アーティストをぶっ壊しやがったあの野郎」なんて悪く思った人も多いかもしれませんが、G・デューク自身はあくまでも全体のプロデュースとバッキングで参加しているわけで、アレンジを含め実際の曲作りはしていません。ですから当時のブレッカーズがこういったファンキー・ポップなアルバムを作りたかったと考えていたのは推測ができますね。頂点は前作ですが、彼らが参加していたAORなどのアルバムはもともとこんなポップな作品が多いわけですからこれはこれで許してあげてください。
THE BRECKER BROTHERS/straphangin' (1981)
 “リターンズ”する前のブレッカーズ第一時代としてはラスト・アルバムとなった本作。ファーストでの衝撃的な登場からハード・ロックとの融合、対し前作「Detente」でのソウル/ブラック・ミュージック寄りなアプローチと、様々なスタイルで類稀な管ユニット・サウンドを展開してきた彼らが最後に選んだのは80年代のフュージョン。しかし、そこはやはり彼らの事、バックの演奏共々テクニカルかつスリリングなプレイで爽快に吹き上げてくれています。とりあえずやる事はやっちゃったかなぁ、感アリアリのフレッカーズ・ミュージック、ひとまず終了。
Brenda Russell (1979)
 数多くのアーティストに楽曲を提供している、黒人SSWのソロとしては1stにあたる本作。ソウル/R&B色はほとんどなく、個性的かつ起伏に富む魅力的なメロディーラインを生かした良質なアメリカンポップスの傑作。頭の“so good so right”から静かに始まる、大人の耳に耐えうる良盤。その「泣き」のメロディーが究極の域に達した名曲“think it over”収録。
Brenda Russell/love life (1981)
 彼女の良さはなんと言ってもソングライティング。下記のブルース・ロバーツもまた違った雰囲気で素晴らしいソングライターですが、作る曲が良いというのは私にとってはアーティストとしてはかなり重要な要素かも。TOTOラーセン・フェイトンバンドらのバッキングもひたすらAOR。ジェフ・ポーカロファンにも嬉しい全曲叩きの一枚です。
Brenda Russell/two eyes (1983)
 トミー・リピューマ&アル・シュミット・ワーナー黄金コンビにより届けられた彼女の3rd。個人的には「love life」よりもデビッド・フォスター全開の「It's something!」が収録されたこちらの方が好きです(Lalah Hathawayらカヴァーも多い名曲ですね)。曲の良さも相変わらずながら、結構元気でイキの良いナンバーが多いんですよね。これぞ女性シンガーソングライターとも言うべき耳に残るメロディーライン。あ、そうそう。歌もうまくなってます。前作より確かに。
Brian and Brenda Russell/word called love (1976)
 後にソロ・シンガーソングライターとしてその名を高めることとなるブレンダと、その元夫であったブライアンとの黒人女性&白人男性による異色ユニット。ヴォーカルも二人がデュエットしているものの、主役となるのはやはりブレンダで、ブライアンはその低音ヴォイスを面白味のあるアクセントとしているようで比較的控えめ。アルバムはあのスカイラークに提供した名曲“you remind me of a friend”をそのデヴィッド・フォスターのアレンジにより焼直した“please pardon me”によって幕開け。他にも数曲アレンジャー/プレイヤーとして参加しており彼のストリングス好きを感じるアルバムとしても楽しめる。音の傾向としては黒と言うよりは白系で、ちょっと変化球なデュエット・ポップス。
Brian Auger & Julie Tippetts/encore (1978)
 ワーナーに移り77年に発表されたオブリヴィオン・エクスプレスの「happiness heartaches」に続き出された本作は、60年代のトリニティ期に共にしたジュリー・ドリスコール(ティペッツ)との再会アルバム。当然ながらソウル・エッセンスを多分に含んだジャズ・ロックのオブリヴィオン・エクスプレスとは違った味であり、つまりはブライアン・オーガーがサウンド面で、ジュリー・ティペッツが全曲ヴォーカルで、「アンコールに応えて」再びタッグを組んだアルバムを作った、と言うことなのでしょう。英国の白人でありながらハービー・ハンコックやジミー・スミスに影響を受け、さらにR&B/SOULにも強く惹かれる個性的でグルーヴィーな音を創り出していたB・オーガーと、ジャズ・スピリットも持ちながら力強く、声質は白人ロック/ポップのそれ、そのままであるJ・ティペッツ。目指すものはわかり易くても、実際はなんとも形容し難い独特の音楽感がある二人のアルバムは確かに魅力たっぷり。アル・ジャロウのナンバー2曲でアルバムの最初を飾り最後を締めていますが、彼の当時やっていたジャズやソウルを基としつつどこか白さも漂う音楽が二人にとって理想的なものであったと言うことなのでしょうか。アニマルズの「悲しき願い」やジャック・ブルース、ミルトン・ナシメントなどをカヴァーしていますが、やはり何と言ってもB・オーガー自身が書いたオリジナル・ナンバーがブリブリのオルガンとともにグルーヴしていてカッコイイ。まぁ、素直に70年代ポップ・アルバムの懐かしさを楽しんでも良し、なのです。
Brian Auger's OBLIVION EXPRESS/closer to it! (1973)
 ブライアン・オーガーを中心としたUKジャズ・ファンクの元祖的グループ。今のアシッド・ジャズなんてほとんど彼らのやってきた事の焼き直しではないかと感じてしまうほど、73年にしてこの内容はなかなか無いと嬉しくなってしまう。しっかりと歌ものが大部分を占め、“inner city blues”のカバーまでやってしまうのでした。早々とカテゴリー無視のスタイルで音を作り始めた姿勢に脱帽です。しかし、難を言えばこのB・オーガー、ヴォーカルがあまりうまくないんですね。忘れられないメロディーがあるわけでもなく、とにかくこのいかにも英国な音全体を楽しむ「ムード・オンリー・バンド」とはちょっと意地悪な言い方でしょうか。アシッド・ジャズって今も昔もそこの所は変わっていないと言う事かな。だから“light in the path”のようなオーガーのオルガン弾きまくり的インストの方が引き込まれちゃったりするわけなんですが。
Brian Auger's OBLIVION EXPRESS/happiness heartaches (1977)
 レニー・ホワイトを迎えた本作は、元々のジャズロックに加え洗練されたブラック・フィーリング豊かなヴォーカルナンバーを中心としたどちらかと言うとソウル寄りのアルバム。メロディアスなヴォーカルの中でもオーガーの弾くオルガンの(でしゃばりすぎているくらいな)存在感がしっかりと感じられる、これこそクロス・オーヴァーといえる内容。素敵です。
Brian Auger/here and now (1984)
 イタリア録音によるブライアン・オーガーの84年作。歌ものを中心としたポップなアルバムで、現地のプレイヤーと共に作られただけあって、軽いヨーロピアン・フュージョン/ポップになっています。持ち前のオルガン・サウンドはやや薄れてしまい、キーボードやシンセを多用してしまいました。いささか軽すぎるサウンドとその点は彼のファンからすると評価の低いところなのかもしれませんね。ビル・ウルファー/フィニス・ヘンダーソンのヴァージョンでおなじみの“call me”をカバーしています。
♪“call me”♪
Brian Elliot (1978)
 エリック・ジェイコブセンの売り込みによりメジャー・レーベルからのデビューに至ったとされるブライアン・エリオットのワン・アンド・オンリー作。一聴やさ男のシティ・ポップスと言った感じですが、元々はジャズ・ピアノを演っていた経歴があるそうで、音楽的下地はしっかりと持っているよう。なるほど洗練度とメロディー&アレンジのセンスはなかなかで、ブルース・ロバーツよりは都会的、ランディ・クロフォードのアルバムに聴けるような70年代後半のワーナー・ポップ特有の香りがここでもうかがえる。とにかくサポート・プレイヤーが豪華なので日本でもいまだに人気があるのでしょう。どちらかと言うとヴァレリー・カーターの声がコーラスで聴けるのが嬉しかったな。
THE BROOKLYN,BRONX & QUEENS BAND (1981)
 THE BBQ BANDの記念すべきファーストアルバム。タンス・フロアが盛り上がり系のナンバーばっかりでカッチョイイ〜。同じフレーズのリフをこれでもかとたたみかけるこのスタイル。いつまでも踊っていられる??それでもリズム隊が時々キメフレーズをかましてくれるのでその場所にあわせて体を動かすのが楽しみになってしまうのです(この感覚、わかってもらえますよね?)。しっかりとスローナンバーも取り入れてお休みタイムを作っているところもニクニクしぃ。80年代初期のダンス系ブラックを代表するバンドのひとつですね。
BROOKLYN DREAMS (1977)
 アルバム冒頭の“music,harmony and rhythm”がまんま、このグループを表していると言える、フィリー・ソウルへの憧れを隠さない3人組白人ヴォーカル・ユニット。優雅なストリングスも加えた芳醇なサウンドの中、パワー・コーラス&ハーモニーでブルー・アイド・ソウルを展開する数少ないグループの1stアルバム。懐かしくも豊かであったアメリカ音楽界の懐の広さを感じる良盤。
BROOMFIELD (1987)
 ユージン・ワイルドやディー・ディー・ワイルドらを輩出したブルームフィールド・ファミリーからAl BroomfieldがBROOMFIELD名義で出していたファースト・アルバム。87年作ながらメロディアスなナンバー満載で本人の情感たっぷりのヴォーカルと共にアップからミディアム・スローまでアーバン・ブラックな好内容となっている。“good times”ではギターとのユニゾン・スキャットまで飛び出す、ただアダルトなだけのクワイエット・ストームとは一味違う一枚。
THE BROTHERS JOHNSON/look out for #1 (1976)
 ベースとギターの兄弟ファンキーユニットといったようなジャケットのイメージなのですが、もちろん言わずと知れたボス、クインシーに見出されて現れた二人。ゴリゴリのファンク・ソウルのはずが、デイヴ・グルーシンやリー・リトナーハーヴィー・メイソンといったクロスオーヴァー・フュージョンで活躍するミュージシャン達にサポートされたサウンドでそこらへんのファンクとは一味も二味も違った味わいとなっていたのでした。
THE BROTHERS JOHNSON/right on time (1977)
 クインシー・ジョーンズの秘蔵っ子とうたわれて颯爽と登場したブラジョン。元祖ではないですがチョッパー・ベースと言えばこのルイス・ジョンソンでした。クインシー的POP感覚の味付けも効いて、フュージョンアルバムとしても少しはイケそうです。「strawberry letter23」のカヴァー収録。
THE BROTHERS JOHNSON/blam!! (1978)
 うおー!これこれ。「ain’t we funkin’now」。前作まで多少おとなし目だったブラジョンが本領発揮した超ファンキーアルバム。ルイス・ジョンソンかっこいいです。聴くべし!ミディアム・ナンバーはさりげなくデビッド・フォスターなんかも顔をのぞかせていたりして。曲数は少なく物足りないのですが、まさにブラジョン最高期と言えるでしょう。
THE BROTHERS JOHNSON/light up the night (1980)
 クインシー・ジョーンズ・プロデュースとしては最後のアルバム。サウンド・ブレーンとしてクインシーが当時最も良く起用していたロッド・テンパートンのカラーが強いサウンドで、軽快な中に二人のグルーヴ感溢れるプレイが小気味良い。ファンキーでありながら、あまり黒々とはしていないフュージョン的なインストルメンツを持ち合わせた所は従来通りで、次作の「winners」へ繋がる洗練されたブラック。何気にマイケル・ジャクソンが参加しているところはご愛嬌。
THE BROTHERS JOHNSON/winners (1981)
 私的には好きなのですが、まったくもって評価の悪かったブラジョンのAOR的作品。クインシーの手を離れ、セルフプロデュースとなったのですが、J・ポーカロ、J・ロビンソン、S・ルカサーら白人系のリズムを導入し、結果的にどちらのファンからも受け入れられなかったようです。やはり、彼らのファンはゴリゴリのチョッパーファンクが好きなのですね。
THE BROTHERS JOHNSON/kickin' (1988)
 「winners」までならAOR-POPファンにも隠れた好アルバムということで評価できるものであったのですが、今作はリズム・プログラミング、つまり「打ちこみ」を使った80年代特有の一聴オーソドックスなブラック・アルバムになっているところが時代の流れに合わせて作られているようで、実はこのユニットの「節操のなさ」を露呈してしまった残念な結果となってしまいました。やはりこの兄弟はジョージのチャカチャカファンキーギターと爆発的なルイスのチョッパーベースが魅力だったはず。このような個性豊かな二人でさえも変わらざるをえなかった80年代後半のアメリカ音楽界の流れというのは、私にとっては許しがたいものがありましたね。
The Bruce Cameron ENSEMBLE/jet away (1980)
 コルネットとフリューゲルホーンを操る新鋭ジャズ・ホーン奏者ブルース・キャメロンのどちらかと言うとフュージョン寄りなアルバム。そのグループ名の通り、バンド・サウンドに重きを置いているようであり、キャメロンのソロが主役とは言えそのプレイは曲によってはいささか控えめだ。パトリース・ラッシェンも鍵盤とヴォーカルで参加しており、さらに“VOCAL CONCEPTION”と言う4名のコーラス・グループを起用。曲を構築する上でのヴォーカルが作用する力に視点を当てている。それにしても一枚通してセンスの良さが際立つ、素敵なアルバムですね。
♪“I can dream”♪
Bruce Hibbard/never turnin' back (1980)
 CCMのアーティストが作る「AOR」はやはり品が良く、理想的なサウンド作りをしているものが多く安心して手を出すことができますね。このアルバムもどれもこれもがすべて「良心的かつ理想的AOR」で占められていて、へたにAORベストを作るよりはこの一枚でいいのではないでしょうか。ほら、ジャケットでも言っているじゃないですか。ドライヴのお供にどうぞって(笑)。ラストは「暗黒への挑戦」のカヴァーでしめくくります(ウソ)。まあ、そんな冗談はおいといてこの手が好きなら捨て曲なしの★3つ盤ですね。気持ち良し。
Bruce Hornsby/hot house (1995)
 これもひとつの理想的なアメリカン・ミュージックとも言うべきスタイルをもったSSW/ピアニスト、ブルース・ホーンズビーが旧友パット・メセニーのサポートを得て製作した良盤。ジャズとフォーク・ポップのフュージョンとも言えるサウンドと、題材がユニークで面白みのある詩、そして彼のやさぐれた歌が絶妙なバランス。様々な音が入り混じりつつAORと言うにはそこまで軽くない、ルーツをしっかり持ったポップスを聴きたい人におすすめ。
Bruce Roberts (1977)
 彼の曲の何が素晴らしいかと言うとそのメロディーライン。とてもとてもアメリカなのですが、例えばすべてが映画の中で流れていてもおかしくないほど、ハートに染み渡るって言うんですかね。つまり、まず基礎となるメロディー作り(アレンジメントはおいといて)を丹念に行っている、というか、彼の中から自然に湧き出てくるものなんだろうけれども。そこにアーティストを感じるんですよ。アルバムの売上を考えるわけでもない、何々風をやりたい、パクりたいというのでもない、シンガーソングライターの本質を見たアルバムです。後に名コンビとなるキャロル・ベイヤー・セイガーのサポートを受け満を持して送り出されたファーストアルバム。日曜の朝にでも聴いてみては?
Bruce Roberts/cool fool (1980)
 ニューヨーカーである彼のメロディーとロスのサウンド・クリエイターとの融合により作られたアメリカン・ポップの良い雰囲気を感じさせる好盤。ファーストよりもサウンド面でパワーアップといったところ。Leland Sklar(b)やEd Greene(ds)なんて懐かしい名前も見られますが、ルーサー・ヴァンドロスがアレンジ&コーラスで参加した「s'good enuf」(keyはD・フォスター)やドナ・サマーと共作によるバラード「all through the night」なんて名曲ですね。とってもアメリカンですがのほほんとしてていいなぁ。
BRUFORD/one of a kind (1979)
 ビル・ブラフォード、アラン・ホールズワース、デイヴ・スチュワート、ジェフ・バーリンの4人が織り成すUKジャズ・ロックの王道バンド。曲がいい〜。良すぎ!変拍子があればプログレなのかい!みたいなものではなく、その変則的なリズムもとても綺麗に、そして痛快に流れていきます。そしてテクニカルな中にも暖かみのあるアレンジ・アンサンブルに意外にも楽しくノセられてしまう。一枚通して聴き続ける事のできる、やはりこれも70年代的フィール・フリーな名作と言えるでしょうね。
Bunny Brunel/touch (1979)
 フレットレスベースの名手、バニー・ブルネルのデビューアルバム。これも70年代後半の名盤と言いたい。フランス人らしい繊細なメロディーラインが印象的ですが、内容は女性ヴォーカル(Nicol Brunelという事は妹かお姉さん…、奥さん!?)がフィーチャーされたアップ・ナンバーが一曲目に来たり、フレットレスらしい独特の音色でメロディーを奏でるスローナンバーや超絶的な早弾きなどかなりバラエティに富んだ構成。チック・コリアをゲストに迎え当時はフュージョン全盛でしたから話題性もありましたが、どうしてもジャコと比べられてしまうのでしょうか。カテゴリに囚われない音楽性がとても気持ちよく聴けてしまい個人的にはとても好きなアルバムなのですが。
Bunny Brunel/Ivanhoe (1983)
 チック・コリアハービー・ハンコックスタンリー・クラーク、トニー・ウイリアムスら大御所をスペシャル・ゲストに迎えた2nd。フレットレス・ベース・プレイヤーでありながら難解さも技巧のみの追求でもなく、どちらかと言うとジャズ・ロック寄りの痛快なフュージョンをやってくれるものだから嬉しい。前作に続きニコル・ブルネルの美しいヴォーカル・ナンバーもあったりしながらも、カラフルな音楽性と共に主役のベース・ソロもたっぷり。全編これは紛れもなくベース・アルバムで、キューンと響くハーモニクスも健在ですゾ。チック、ハービーも単なる顔見せではなく力の入ったソロを聴かせてくれます。さすがフュージョン最盛期に生み出されたアルバムは違いますね。
BY ALL MEANS (1988)
 プログラミングによるバックトラック作りが主流となった頃に生まれたアーバン・アダルト・コンテンポラリー・ユニットの傑作。音作りの中心はキーボードとリズム・プログラミングのJimmy Varner。それに紅一点のLynn RoderickとBilly Sheppardがヴォーカルをとる3人組ユニットである。ほとんどがミディアムでエレガントなメロディーとアレンジ。その中で繰り広げられるヴォーカル・ワークにひたすら身を委ねたい。特にサビの部分に印象的なフレーズ多し。夜限定。
BY ALL MEANS/it's real (1992)
 ジャケがイヤラシイですねー。男2女1のヴォーカルグループなんですが、とてもエッチな雰囲気です。たっぷりとアダルティーな気分になってください。と、言っても曲はまともですよ。アシュフォード&シンプソンの「ain’t nothing like the real thing」収録。
Byrne and Barnes/an eye for an eye (1981)
 当初はロバート・バーンの2ndとして出るはずであったが、同じくマッスル・ショールズ・スタジオでソングライター契約をしていたブランドン・バーンズと組み、彼が楽曲制作上大きくかかわる事からデュオ名義のアルバムとなったそうな。確かにほとんどがB・バーンズとの共作で「blame it on the night」よりもさらにメロウ、かつキメのフレーズに力強さ(メロウにはメロウなりのって言うのが、あるでしょ?)が加わった。シンプルなアレンジの中にもハートに染み渡る、押さえどころをしっかりと持った極上のAOR作。誰々のプレイが、なんて人には用のない楽曲そのものを楽しむ方向けのアルバム。CD再発盤のこちらはボートラ2曲付きですがこれがまた良いんだ。
Byron Miller/git wit me (1990)
 本来は結構骨っぽいベースを弾いていたミュージシャンなんですけど、時代の波に流されたか、リーダーアルバムでは打ちこみ系のR&Bになってしまいました。旧友ジョージ・デュークももちろん参加、他にはスタンリー・クラークジョージ・ハワード、カーク・ウエイラム、フィル・ペリーなど豪華なミュージシャン陣ですが、音の方は多少地味めの作りです。 


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