Sadane/one way love affair (1981)
 80年代初頭に味のあるブラックアルバムがあった。Mtume/Lucasの全面的バックアップの元、世に出されることになったサダーンの1st。当時は全く売れなかったそうですが、ハスキーなヴォーカルに「どうだ、これが今のソウルなんだよ」と言わんばかりの黄金サウンドが乗っかった、エムトゥーメィ・ファミリー渾身のブラコン作と言えます。ゆったりとした流れの中に熱く歌い上げるタイトル曲に始まり、後はスローを数曲はさみつつのミディアム・ダンサー中心と言う構成。しかも一つ一つが皆違った雰囲気を持っており、全く飽きさせません。素晴らしいです。
Marc Sadane/exciting (1982)コチラ
SA DEUCE (1996)
 女性二人のユニット。一人はイッパツで黒人とわかるのですが、もう一人は一見アジア系にも見えますね。ミディアムスローな曲が多くコーラスワークもきれいにこなしています。ボビー・コールドウェルの名曲「風のシルエット」をサンプリングしていた曲もありましたね。
SAMUEL PURDEY/musically adrift (1999)
 90年代後半は正直な話音楽収集から離れていた時期で、こんな作品が売られていたとは全く気がつきませんでした。(青りんごチャンに感謝!)UK発の二人組ですが、70年代AORを今、忠実に再現してくれていて本当に嬉しい限りです。スティーリー・ダンに大きな影響を受けているようで、確かにそのようなのですが、一発目はいきなりホール&オーツやん!と言う曲に始まり、M,マクドナルドが参加した頃のドゥービーのような曲や、ヴォーカルの違うジャミロの様ないかにものUKアシッド的サウンドもあり、こんなん受けるのは日本のリスナーくらいじゃないの?と意味も無い心配をしちゃうほど徹底した音作りはある意味オタクとも言えるほどではないでしょうか。ここを見ている方には喜んでいただけるアルバムでしょうね。
Sarah Vaughan/brazilian romance (1987)
 →コチラでドーゾ。
Scott Jarrett/without rhyme or reason (1980)
 初期GRPから発表されたスコット・ジャレットのワン・アンド・オンリーアルバム。バックを固めるのは当時の花形NYトップ・ミュージシャンと気合の入った作りをしていながらも、全曲が自作曲であり、もちろん主役である彼の力みの抜けた自然なヴォーカルがバックに食われることなく前面に立つこの個性がありながら彼のアルバムが本当にこれ一枚だけとは。キース・ジャレットの弟と言う話題性だけでいきなり飛び出して来たわけでなく、小さい時から音楽家を目指し、シンガーソングライターとして地道に活動をしていただけにとても惜しい気がします。デイヴ・グルーシンらしいアレンジとともに、存在感がさすがな兄キースもピアノで2曲参加と言うのも聴き所。休日の朝に合うグッド・アメリカンミュージック。
SEA LEVEL (1977)
 オールマンブラザースバンド解散後、キーボードのチャック・リーヴェルらが中心となって結成されたグループの1st。元々音楽性に富むミュージシャンの集合体であったためここでもサザン・ロック側からフュージョンにアプローチされた音楽性を見せる事となる。アルバム冒頭の“rain in Spain”でこのグループの本質を紹介された感じだ。ヴォーカル曲はサザンロック寄りだが、この時代はフュージョンを意識したミュージシャンがいかに多かったかがわかる。
Seals & Crofts/the longest road (1980)
 ポップSSWデュオの実質的に最終アルバムとなった本作は、これまた名プレイヤーを惜し気もなく揃えたリッチな音の中、二人の世界が綴られて行きます。まずはチック・コリアのピアノ・ソロが強烈な“stars”で幕開け。ここでの粘っこいベースはスタンリー・クラークだ。グレッグ・マシソンの爽やかなピアノをバックにした美しいバラード“first love”、マイケル・センベロ作、もちろん本人も参加の“if and any day”はこの時代ならではのAORと、曲毎の質感の高さに嬉しくなる。70年代を駆け抜けたポップデュオ、ここに終焉はもったいないですね。
SEAWIND (1976)
 ハーヴィー・メイソンプロデュースによるファーストアルバム。ここで紹介できるハワイ出身のグループとしては一番の出世頭的存在ですね。音も確かに小さな島で収まるようなものではなく、当時としてはグローバルに活躍できるほどクオリティの高いものでした。一言、すばらしいです。言わずとしれたこのホーンズはやがてアメリカの音楽界でのセッション・スタジオワークにおいて引っ張りだこの状態に。
SEAWIND/window of a child (1978)
 いやー、ポーリン・ウイルソン若い!ヴォーカル曲も増えましたがそこはさすがというかなんというかCTI、ジャジーなグルーヴ感もさらに増しているようでかっこいいです。変に売れ筋狙いで軽快すぎだったり甘ったるいナンバーはなく、パワフルなポーリンの歌と統一の取れたグループのアンサンブルが心地よい。黒人が一人もいないのに今ではこれがフリー・ソウルファンにも受け入れられているようですね。これもまた70年代の名グループ。絶対に。
SEAWIND/light the light (1979)
 個人的にシーウインドはこのアルバムがベストだと思っています。プロデュースはあの魔術師プロデューサー、トミー・リピューマ。ジャズ的な部分もかなり残っており、カッコいいです。そして、何といってもあの名曲「follow your road」。ポーリン・ウイルソンの歌声ですよね。曲がさらにグレードアップした感じで、名盤です。
SEAWIND(4th) (1980)
 なんとジョージ・デュークをプロデューサーに迎え、ファンキーチューンで固めた人気作。当時はクラブでも良くかかっていたそうです。ただ、このアルバムを境にバンドとしてはパワーダウンしてしまったようで残念。と、言うよりも、ジェリー・ヘイやラリー・ウイリアムスがこの頃バッキングミュージシャンとしてかなり引っ張りだこ状態だったようで、しかたがなかったのかも知れません。
THE SECTION (1972)
 Danny Kortchmar(g),Russ Kunkel(ds),Craig Doerge(key),Leland Sklar(b)という後に名スタジオ・プレーヤーとなる白人4人のセッション・ユニットが72年に出していた1st。テクニックよりもアンサンブルで聴かせるポピュラー・インストの部類に入りますが、少しジャズのテイストを感じるのは懐かしい音色のC・ダーギが弾くエレピが効いているからか。そういえばマイケル・ブレッカーが吹いている曲も数曲ありそれらはモロ。小さなライヴハウスでこんな生音に身を委ねてみたくなりますね。
Sergio Mendes (1975)
 セルジオ・メンデス個人名義でアメリカのエレクトラから発売された、S・メンデス・フェイバリット楽曲カバー集とも言える作品。二人の女性シンガーをフィーチャーして、特にお気に入りなスティーヴィー・ワンダーは3曲、他にはダニー・ハサウェイ、ビートルズ、クインシー・ジョーンズ(リオン・ウェア)などもカバーしています。しかし、なんと言ってもこのアルバムの中で特筆すべきはデヴィッド・T、チャック・レイニー、ハーヴィー・メイソンら「WHO IS THIS BITCH,ANYWAY?」のレコーディング・メンバーを揃えその作者/プロデューサーであるベナード・アイグナーをも交えた徹底っぷりで“davy”“you been away too long”の2曲を演っているところでしょう。ブラジルらしさはありませんがセルメンらしいスマートなポップ集。音の随所にらしさが出ているデイヴ・グルーシンとの共同プロデュース。
Sergio Mendes and THE NEW BRASIL'77 (1977)
 単純にAOR化したセルジオ・メンデスとみられてしまいがちな本作ですが、聴き所は満載。なんといってもStevie Wonder作の「the real thing」がいいなぁ〜、とばかり言ってはいられない。スティーヴィーだけでなくMichael Sembelloの参加が効いていてギターのカッティングが軽快でノリがいい。Oscar Castro Nevesとの共作では一転キメ所バシバシのインスト(おそらくドラムはスティーヴ・ガッド)に。短いこのナンバーがアルバムの中盤を締めてます。全編を通して流れる女性ヴォーカルもシティ・ポップなアレンジと合ってとてもオシャレな一枚。
Sergio Mendes (1983)
 これも邪道の極みといったところでしょうか。セルメン80年代の復活作。グループ名義ではなく個人作とした今回は曲作りからアレンジ、バッキングと大きく関わったマイケル・センベロを中心に豪華サポート・プレイヤーの協力を得て、軽快なコンテンポラリー・ブラジリアンPOPに仕上がっていてとても楽しい、ここではオススメな内容。本来のファンはこんなもんセルメンではない!といったところでしょうが本人一人でプロデュースして作られたものであるのも事実。セルメンも進化し続けるアーティストであったのだ。
Sergio Mendes/brasileiro (1992)
 いきなり飛びこんでくるブラジリアン・パーカッションの波。その通り、これは特にリズムとパーカッションに重きを置いたアルバム作りをしているようですが(ジャケット画がまさに物語っていますね)、曲によって本国ブラジルとアメリカの南北ミュージシャンを使い分けて、曲作りもIvan LinsやHermeto Pascoalなどを取り上げバラエティ豊かな内容となっています。伝統的でありコンテンポラリーでもある、ブラジル音楽の全てがここに集められているような印象をうける作品ですね。アルバム後半も盛り上がる、大変気持ちの良い構成となっています。(これはこのWEBをご覧になられた方からおすすめをいただいたアルバムです。ご紹介いただきありがとうございました。)
SHAKATAK/jazz in the night (2000)
 シャカタクなんてFM放送のバックグラウンドだよなあ。。。「ナイト・バーズ」や「インビテーション」のイメージしかなかった私はずーーーっとそう思っていました。たしかにやはりそのような雰囲気があるのですが、この未発表リミックスやゲスト参加曲等を集めた企画盤はなかなか聴かせてくれます。ボズの「low down」、ビル・ウイザースの「lovely day」、ジョージ・デュークの「brazilian love affair」のカヴァー選曲もシブい。最後はEW&Fの「boogie wonderland」で締めるのですが、しっかりと女性コーラスがエモーションズしちゃってます。本物が歌っているのか?と勘違いしたほど。フィーリングがピッタリ私にジャストフィットしちゃいましたとさ。
Shanice/inner child (1991)
 シャニース・ウイルソン、この頃はまだ14歳くらいじゃなかったかな?この子に限らず、こんなティーンズアーティストがアメリカにはゴロゴロいるのでやはり音楽的な土壌が根本的に違うのでしょうね。最近はやっと日本も追いついて来た感じもしますが。「I love your smile」は今でも時々耳にする人気曲です。ナラダ・マイケル・ウオルデンのプロデュース。
SHADOW (1980)
 オハイオ・プレイヤーズから派生した3人組ブラコン・ユニットの2nd。リオン・ウェアの全面プロデュースにより1stとはうって変わり曲作りにも関わった彼独特の「リオン節」で隅から隅まで埋め尽くされている。軽快なダンス&ソウルな曲調が多いが、このメロディー展開はまさしくメロウ大王そのもの。こんな素敵なアルバムが埋もれてしまうんだから厳しい世界ですよね。
SHADOW/shadows in the streets (1981)
 ラストアルバムとなった3rd。こちらもリオン・ウェアプロデュース。前作の哀愁ブラコン路線から、エレクトリカル・ファンク色が濃くなった。アレンジ、特にシンセ等鍵盤の使い方など時代の流れに沿ったナンバーが多い中、しっかりと“piece a cake”のようなリオン節も忘れてはいない。あ〜、やっぱりいいなぁ。2in1でCD化切望!!
SHERBET/highway 1 (1978)
 オーストラリアのポップ・バンドがウェスト・コーストのミュージシャンにサポートされて作り上げたAORアルバム。音はコーラスを多用するところなどシーサイド・ドライヴィングに合う爽やかさで、サーフ・ミュージック的にも使いやすいAOR。その中でもシティ・ポップ風なミディアム“don't wait too long”や当時流行のギター・サウンドをフィーチャーしたナンバーなど何気に様々なカラーを見せる。静かな出だしから起伏に富む展開をする“(If I)breakdown”ではデイヴィッド・フォスターの“らしい”ドラマティックなシンセが響くなど聴き所多し。
Sherrick (1987)
 エンチャントメントの数作に大きく関わった事で知られるマイケル・ストークスのプロデュースによるシェリックのワン・アンド・オンリー・アルバム。これが若干25歳の歌声かと驚かされる表現力豊かで奥行きのあるヴォーカルが、デジタルとアナログを巧く絡み合わせた良質の80年代ソウル・サウンドに乗った好盤。しかし、いきなりベテランの域にある音楽にあまりにも若さがなかったのか、ヴィジュアルに訴える売込みができなかったのか、本国では売れなかったそうで。それが今日本と言う国で再々発されるのだからソウルの楽しみ方が根本的に違うのでしょうね。
SHOCK/nite life (1983)
 以前からジェフ・ローバー・グループのギタリストとして活動をしていたマーロン・マクレイン率いる白黒混合ファンク・フュージョンバンド。トッド・ラングレンのカヴァー曲のみゲストとしてベースにランディ・ジャクソン、そして、なななんとドラムにスティーヴ・スミスを迎えていました。しかしまったく話題にもならず(おそらく日本未発売)、CD再発の予定もなさそうな希少盤となっているようです。
SILK/tonight (1999)
 ヴォーカル・グループとしては多少地味な感のあるSILKですが、初っ端の短めなコーラス曲でガッチリとつかみを入れてきました。全体的にはバラエティに富んだサウンドで、比較的落ち着きのあるヤング・アダルト向けブラックと言えるでしょう。アルバム最後のインタビューはいらないなあ。よくあるけど、基本的にアーティストの喋り声とかイントロのナレーションは必要ナシ!ま、これは音楽文化の違いですからしょうがないけど、J−POPがこれを真似したら恥ずかしくって聴けたものじゃないっす。なっ、ゴス○○ーズ!
SKYLARK/2 (1974)
 デヴィッド・フォスターが在籍していた事で知られるスカイラーク、自分としてはこの2ndが好き。1stはストリングス好きなフォスターがすでにその顔を覗かせつつもブラック・フィーリングも併せ持ったフォーク・ロックで、比較的おとなしめでした。が、この「2」はその豊かな表情が哀愁味を帯び、力強い佳曲揃いなのです。やはり歌メロが良いアルバムというのは残りますね。後に好盤を一枚出しているCarl Gravesがメンバーとして参加。
SLAVE/the hardness of the world (1977)
 70年代後半のソウル・シーンを強力なファンク・サウンドで闊歩した大所帯バンドの2nd。デビュー時はかなり泥臭い音で閉めていた1stアルバムだったが、この2ndで思わず口ずさみ、ノレる快活なダンス&ソウル・バンドとして進路を採ったようで、楽しめる音になった。ファンク集団としてのまとまりが繰出されるサウンドに感じられ、各自のソロ・パートも重視するところなど玄人好み。2曲目の“the great American funk song”はおそらく往年の吉田美奈子ファンク・ナンバーのベースになっているのではないかと。それくらいクリソツ。
SLAVE/the concept (1978)
 ストレートにノレるソウル・サウンドに目覚めたかと思いきや、前作のラスト“volcano rupture”でのサイケデリックなインストでこのグループの奥深さを思い知らされた。さらに進化したこの3rdでは一聴売れ筋狙いかと思わせつつも、サイケな片鱗を見せていたこのグループのツイン・ギターが重要な役割を果たしている。女性コーラスを効果的に使って大衆性を高めつつも、パーカッション・インタールードがあったりロック・テイストなギター・ソロが飛び出したりと、それぞれが業師であるファンク集団の様相を呈してきた。ソフィスティケイテッド・ソウルからサイケなフレーズに急変するラストの“coming soon”はまたもややってくれた感アリのシメ方ですね。
SLAVE/just a touch of love (1979)
 初期のスレイヴ・ファンクのサウンド構築を指示して来たプロデューサーJeff Dixonが前作をもって離れ、この4thではA面をレコーディング・エンジニアでもあるJimmy Douglassに任せひたすらヒット・チャートサウンドを意識し、B面ではSLAVE自身が中心となってプロデュースを行い比較的オーソドックスなソウルを展開した。このアルバムに通じて言えるのは時代の流れに沿ったコンパクトな音になっていると言う事。各自のソロは控えめで大仕掛けなどは無く、メロディーの親しみやすさとノリで、ヒット性のある楽曲を増やしこのグループをさらにステップアップさせようと言う意図が見える。が、やはりそこはこの集団のこだわりか、こういった経路を辿るグループにありがちな「軽みに落ちる」ヘマをやらかしていないところはさすが。前作まではギターと鍵盤が目立っていたが、ここではベースがいい仕事してるね。ソウルはこうでなきゃ。
SLAVE/stone jam (1980)
 そしてこの5thアルバムはプロデューサーとしても手馴れてきたリーダーのSteve WashingtonとJimmy Douglasがガッチリと組み、前作で試されたコンパクトでエンターテイメント性の高いソウル・サウンド志向を引継ぎ、さらに粒揃いの楽曲が次々と繰出される痛快なアルバムとなった。このアルバムはついにSLAVEが頂点を極めたと言っても良い存在で、デジタル化により大所帯のバンド・サウンドが急速に衰退して行く80年代の、その手前に生み出された大きな遺産のひとつにこのアルバムも入るモノと言って良いでしょう。これだけ洗練されてきてもシンセやベースのソロなどメンバーそれぞれの存在感が素晴らしい。light&deepなブラック・アルバム!
SMAPPIES II (1999)
 楽曲として評価の高いsmapの曲を、そうそうたるアメリカのミュージシャンがカヴァーしたジャズ・フュージョンアルバム。smapを「オヤ?」と思って聴いていた人には出るべくして出たという企画でしたね。これはUとつく通り、カヴァー第二弾です。かなり、いいですよ。
S.M.V./thunder (2008)
 スタンリー・クラークマーカス・ミラー、ヴィクター・ウッテンと、そうそうたるワールド・ビゲスト・ベースプレイヤーが組んでアルバムが制作された。まさにベースのドリームチームだ。演奏の技量は当然のこと、音楽的にも広い視野を持ち、なおかつ皆がファンク/ソウルを芯に持つ黒人であるから当然1曲1曲のノリがいい。生で観たら鳥肌モノのプレイが惜しげもなく繰り広げられて行く中、三者三様の個性がぶつかり合うさまは快感の一言。もっとアーティスティックなベース・バトルが欲しかった人もいるでしょうが、この3人ならやはりこうなる、と納得される方が多いのでは。裏ジャケで3人が持っているのはみんなオーソドックスな4弦ベースと言うのも嬉しい。ベースはまず4弦なんですよ(笑)。大音量で楽しみたい一枚ですね。
SOLO/4bruthas & a brass (1998)
 表裏のコンセプトがとても渋いジャケットでおもわず期待をさせられたニュー・クラシック・ソウルの4人組。1曲目だけでも聴く価値はあります。ただ、その後に続く2曲目のイントロでズルッとコケる、みたいな。中盤になかなか良いミディアム・スローもあるので全体としては聴きごたえのある作品なのですが、もうちょっと曲順考えろよなー(怒)。
THE SONS OF CHAMPLIN/a circle filled with love (1976)
 オリジナルアルバムとしては代表作「WELCOME TO THE DANCE」から間を空けて発表された本作は元々持っていたR&B/ROCKのバンド・カラーからさらに多彩な色を見せる、このバンドの成長を感じさせるもので数曲は所謂AORに位置づけされるナンバーもある。シリアスなギターが感動的な“still in love with you”のようなインストが入るところなどはその現れだろう。そうは言っても、セッションシンガーとしても数々のアルバムに顔を出していたビル・チャンプリンの痛快なヴォーカルが「あー、アメリカ!」と単純に喜んでしまう私も居るわけですが。デヴィッド・フォスターのストリングス・アレンジも影響大。
THE SONS OF CHAMPLIN/loving is why (1977)
 リーダーであるB・チャンプリンのセッション・ワークやソロアルバム発表などで多忙になり、バンドが活動休止になる直前のアルバム。それにしてもメンバーはしっかり顔を揃えている、この結束力はたいしたもの。トム・スコット、アーニー・ワッツらホーン・アーティストのゲストは充実していますが基本的にはこのバンド「そのもの」のアルバム。前作で見せたメロウな部分は少し抑えて、持ち前のファンキー・ロックを前面に打ち出した内容となっていて、“big boss man”などは「どファンク」。この黒さは素晴らしい。痛快なアメリカン・ファンキー・バンドを堪能する一枚でしょう。
THE S.O.S BAND/III (1982)
 80年代のブラックで良かったバンドを勝手に決めさせてもらえば、このS.O.S.バンドだったと言えます。このバンドはどちらかというとこの後のジャム&ルイス色の強く出たプロデュース作に注目が集まるのですが、レアなバンド・スタイルでのDANCE/SOULで頑張っていた初期の作品もなかなか味のあるものでメロディーとアレンジに重きを置く私にとってはこれが「初期の代表作」としてあげておきたいと思います。1stも好きですけどね。
THE S.O.S BAND/on the rise (1983)
 今までのイメージからすると、アルバムの初っ端がスロー・ジャムで始まるというのはちょっとした冒険だったのではないかと。結果的にはジャム&ルイスが本格的にプロデュースを行ったこれからの3作品は、打ちこみサウンドが主流となっていった80年代BLACKの中でも「これはすごい」と感動させられたものでした。ジャムルイが携わったのはここでは前半のみで、前作までの路線を完全には捨てずに、シンセ・ファンク色を少しずつ強めていったちょうど変革期にあたる作品です。
THE S.O.S. BAND/just the way you like it (1984)
 ジャケットからも雰囲気が良く伝わってきますね。銀河です。初期の3作とは完全に対を成す哀愁の世界。ジャム&ルイスの名プロデュースぶりが堪能できる名盤ですね。スロー・ジャムで始まり徐々に盛り上げて行くこの余裕に満ちたニクイ作り。最初からラストの曲まで通して聴けるアルバムっていうのは貴重な存在で、最近の軽くてタルいBLACKにブチあたった時は彼らのアルバムを引っ張り出してしまったりするわけです。
THE S.O.S. BAND/sands of time (1986)
 今度は砂漠です。ここに、極まれりって感じですね。とにかく全編捨て曲無しの大傑作。限りなく5点満点に近い四つ星です。この頃のジャムルイは爆発してたなあ。「THE FINEST」はどこかJ・イングラム/M・マクドナルドの「YAH MO B THERE」だったりしますがここでアレクサンダー・オニール&シェレールまで参加してFlyte Tyme Productionsパワーを見せつけちゃってくれてますね。グループとしてはこの後ヴォーカルの顔であったMary Davisが抜けて、銀河も砂漠もないアルバムを出したりしましたが急速度で失速。ズバリ、80年代を駆け抜けていったバンドとなりました。
SOUL SURVIVORS (1974)
 再発により初めて手にした一枚。ブルー・アイド・ソウルと70年代前半という不勉強なところのアルバムなのですが、自分としてはまずニール・ラーセン参加で興味を持ったもの。しかしながら内容はギターフレーズの効いた(ソロではなくアレンジの一部としてこんなに印象的なギターは珍しい)“what it takes”や3曲目“city of brotherly love”などはモノホンのソウルと言える音。N・ラーセン節が堪能できる“start all over”では思わずニヤリ。フル・ムーンがイケるなら当然こっちもイケるでしょう。
SOUNDS OF BLACKNESS/time for healing (1997)
 ヴォーカリストだけで21人、バンドメンバーは11人という大所帯の黒人グループ。コーラスを効かせたヴォーカル物中心の構成で、流行りを取り入れたものあり、アカペラ物あり、アレンジ的にも大人数を生かしてかなり凝った作りでなかなか聴かせてくれますね。。。
SPEECH/down south produckshuns (2002)
 オーガニック・ソウルってなんやねん!ブラックにもいろんなカテゴリーがあるもんですな(笑)。アルバムタイトルからもある通り、スピーチのベースとなるアメリカ南部(まあ、カントリーですね)をコンセプトとして作られたとても人間臭いソウル・アルバムとなっています。さまざまなスタイルのソウルが一枚にまとまっていますが、メロディアスなナンバーもありかなり楽しめます。この手としては2002年最初のイチ推し作品ですね。
SPIN (1976)
 コチラでドーゾ。
SPLENDOR (1979)
 EW&Fメンバーのプロデュースによる作品は特に絶好調であった70年代後半良く発表され、代表的なのはラムゼイ・ルイス(prod.モーリス・ホワイト、ラリー・ダン)、ポケッツ(ヴァーダイン・ホワイト)、エモーションズ(アル・マッケイ)らであるが、このスプレンダーはフィリップ・ベイリーがプロデュースした新人グループ。やはり音楽性の高さはアースの影響大と言うべきものがあり、しかしながらアースほどの「大袈裟」な作りはしていない。フィリップ・ベイリーらしいコーラスワークの巧妙な部分を見せてくれるし、ホーンも効いた楽しいブラック・アルバムで、アーステイストをもったフリー・ソウルというところでしょうか。エンジニアとして有名なTommy Vicariがプロデューサーとしても名を連ねているところやJames GadsonやNathan Wattsらのゲスト参加も面白い。そしてリーダーであるロバート・ナンの曲作りのうまさも忘れてはならないですね。名曲揃いのおすすめ盤です。
SPYRO GYRA/morning dance (1979)
 いやあ、いいです。たまにはこんな壮快な音楽も聴かないと。「jubilee」の後半の展開なんてゾクゾクしますね。わかりやすいし。スパイロ・ジャイラはこの一枚しか持っていませんが、当時はキラ星のごとく現れて大注目されたバンドでした。
Stanley Clarke/school days (1976)
 出ました名盤!リターン・トゥ・フォーエヴァーのベーシストというレッテルを剥がし、より自己の可能性を探求し作られたこれぞ70年代のスター・ベーシストアルバム。今ではどうってことないのですが、タイトル曲ではうわっ。なんだコイツ的な意表をついた「黒人が思いつくロック」をやっちゃってくれましたし、同時期のジャコパスと比べて、非常にわかりやすい楽しむ作品を発表してくれたのでした。ここが、黒人と白人の違いだったのでしょうか。「life is just a game」ではビリー・コブハムとの壮絶なユニゾンを決めていましたが、密かにこの感動作の影の立役者はキーボードのジョージ・デュークだったのではないかな?他のアーティストには出せない味があります。アルバムをお持ちの方は良く聴いてみてください。
Stanley Clarke/modern man (1978)
 壮大なオープニングで始まる本作は、以前からの傾向であったロックへのアプローチをさらに強めた感のあるものとなっています。その中間的感覚は、当時逆方向から同じアプローチをしていたジェフ・ベックの参加によって大きな話題となり、70年代のベーシストとしてジャコ・パストリアスと同等に代表的な存在となりました。ジェフ・ポーカロも叩きまくっています。
Stanley Clarke/I wanna play for you (1979)
 私がリアルタイムでスタンリーを聴いたのはこのアルバムから。2枚組の大作で、曲構成も引き続きジェフ・ベックが参加したロックナンバーもありバラエティに富んだ聴きごたえのある内容。タイトル曲ではしっかりとジョージ・デュークが参加。インパクトのある展開を見せます。その後、二人はユニットとしてCLARKE-DUKE PROJECTネームのアルバムを発表。絶好調の時期を迎えます。
Stanley Clarke/rocks,pebbles and sand (1980)
 サイモン・フィリップスやチャールズ・ジョンソン等白人ミュージシャンを従えてのトータル・ミュージックアルバム。前作までとはまた違ったパワフルな演奏が聴けます。いかにもロック的な作品かと思いきや、ゲストミュージシャンも多彩で意外とメロディアスかつ劇的な組曲仕立てのナンバーもあったりして、なかなか楽しめる好作品です。
Stanley Clarke/let me know you (1982)
 今あらためて聴くと少し汗が出てきそうなブラック・コンテンポラリー/フュージョンアルバムです。ここでも自身のヴォーカルが大部分でフィーチャーされていますが、いや、前作以前に比べたらかなりうまくなっていますよ。お世辞にもうまいとは言えなかったのですがここではなんとか「聴ける」ようにはなっています(笑)。全体としてはひたすら明るくポップに。ヒット・チャートに色気アリアリな一枚。
Stanley Clarke/hideaway (1986)
 この前にジョージ・デュークとのユニット、CLARKE-DUKE PROJECTで2枚発表しているのですが、その時は万人受けをするヒット狙い路線でしたので、本作は一息ついて一転、イージーリスニングスタイルのBGM的フュージョンアルバムとなっています。ゲストもまた色を変えてスタンリー・ジョーダン、スチュワート・コープランド(POLICE)、ラリー・グラハム等が参加。独特の早弾きも聴けますが、比較的落ち着きのあるインストアルバムです。
Stanley Clarke/east river drive (1993)
 やがて映画音楽も手がけるようになり、さらに活動の幅を広げた彼ですが、リーダーアルバムとしては7年ぶりの本作では、そんな彼のスケールアップした姿が感じられる内容となっています。ソロの部分は、変わりのない独特の(悪く言うとワンパターン)クラーク奏法ですが、正解なのは、へたな自身のヴォーカルを入れなくなったこと。大人になりましたね。曲構成もカラフルで音楽的に内容の濃い作品です。
Stanley Turrentine/tender togetherness (1981)
 Mr.T、血迷うの図?ベテランサックス奏者が81年、ついにラリー・ダンのプロデュースによりEW&Fテイストのフュージョンを作ってしまったと言う問題作。以前にも時代の流れからかフュージョン作品は作っていましたがついにここまで来てしまったわけです。今では宇宙的と言うにはあまりにもレトロすぎるL・ダンのシンセはもちろんFred WhiteやRoland Bautistaなど、全編アースな音がてんこもり。4曲目で「after the love is gone」が流れて来てこれで決定的。こういった超スタンダードをインストでカヴァーすると、ややもすると有線のBGM的になってしまうのですがそうならない所はやはり本家がちゃんとアレンジ/プレイしているからかな。
STATE COWS (2010)
 スウェーデンの二人組によるAORユニットのデビュー・アルバム。まんまペイジスマクサスと言うようなつかみの“I've changed”で始まるこのアルバムは、けして中弛みする事無く最後までジャスト・'80sウエストコースト・サウンドの王道を再現している。スティーリー・ダンの模倣グループはこれまでにも幾度と無く現れてはいたが、それをも含みつつ当時の代表的な西海岸の音を全般的に、そして完璧に自らの音にしてしまった彼らは珍しい存在と言えるだろう。リアルタイムで聴いてきた我々には大変に喜ばしいグループの出現となり、また当時活躍していたグループのニュー・アルバムでも聴いているような錯覚に陥るほど素晴らしいクオリティとなっている。重箱の隅をつつくような難を言えばAORの忠実な再現のみで終わってしまっているところか。ノスタルジーに浸るだけのグループとならない事を願いたい。
THE STEELS/heaven help us all (1993)
 おそらく兄弟ではないかと思われますが、男女二人ずつの四人組コーラスグループです。内容はブラコン志向のPOPなゴスペルアルバムです。アルバムタイトルからもうかがえますよね。なかなか洗練されているので、知らない人が聴いたらゴスペルとは思わないかも。
STEELY DAN/katy lied (1975)
 バンドスタイルを保っていたころのスティーリー・ダンと言っても、ゲストミュージシャンが多くやはりレコーディングバンドなのだという印象が強いです。ドラムはJポーカロ、コーラスにM・マクドナルドが参加。この頃は曲が比較的万人に聴きやすいメロディー、アレンジなっていますね。
STEELY DAN/the royal scam (1976)
 セッション・ミュージシャンの技を活かし構築された新たな音世界。これまでの作品の中では一番アーバン・ポップなアルバム。適度にコンパクトな曲構成や親しみやすいメロディかつ気の効いたアレンジの中で、なんとも気持ちの良いヒネクレ方をするドナルド・フェイゲンのヴォーカルが乗る独特のサウンドは、現在までのAORすべてがこれを目指し、そして超えられなかった存在であった事が良くわかる。「AJA」のような至高の作品とはまた別の、ある意味「お手本」と言える一枚。
STEELY DAN/aja (1977)
 AORという狭いカテゴリーではなく、すべての洋楽ファンに聴いていただきたい、スティーリー・ダンの最高傑作。必聴です。当時は子供の耳ですから、理解をするのに時間がかかりましたが聴きこむにつれてその凄さがジワジワと伝わってきたものです。今となっては再現不可能な豪華バックミュージシャンにも注目。スティーヴ・ガットとウエイン・ショーターのからみが何回聴いても鳥肌もののタイトル曲といい、音楽史に残る名盤と言いたい愛聴盤です。
STEELY DAN/gaucho (1980)
 頂点を極めた「aja」後、綿密に練りこまれたアレンジ、構成とバックミューシシャンの確かな技術によって届けられた本作品。丁寧に作られたそんな玄人好みの音楽とはうらはらに、アルバム全体としては前作よりも地味な印象、という受け止め方をされてしまう結果となりました。たしかに、「aja」のような高揚感、「peg」のような爽快なアレンジと頭に残るメロディーといった曲がなく、一見派手さの無い後のD・フェイゲンのソロに通ずるスタイルをとった作りとなっています。収録曲も7曲と今では少なく感じられますね(ajaの時はこれが絶妙の曲数だったのですが)。
STEELY DAN/alive in america (1995)
 ライヴ再現不可能とされてきたスティーリー・ダンですが、やってくれちゃいました。正しくは再現不可能なのではなく、スタジオ録音された音と同じ音をライヴで再現することができないのであえてやらなかったわけなのですね。完璧主義者のドナルド・フェイゲンも歳をとって丸くなったわけですな。ベスト盤的要素もあるし、なかなか忠実に再現されているのでこれはぜひおすすめです。
STEELY DAN/two against nature (2000)
 もうここまでくるとライフワークですね。D.フェイゲンの「kamakiriad」に近い音でそのままソロ作としてもおかしくないほど。大きな感動もないのですが、ソロ活動をしてからの彼を好きになったファンにはよろしいのではないでしょうか。やはりここでも50度方向にうまくそらした展開を見せてくれていますし。なにしろ、声と音を聴くと一発でアーティストがわかる個性は貴重です。
THE ROYAL DAN A TRIBUTE (2006)
 10人のギタリストがスティーリー・ダンの往年の名曲をカバー。これがあなどるなかれ、さすが本国アメリカ制作のトリビュート盤だけにかなり聴きごたえのある内容で、アレンジも新たに解釈されたものと原曲に近いものとが半々、各ギタリストも力の入ったプレイをしています。ロベン・フォードアル・ディメオラといったビッグネームが顔を揃えているのも嬉しいのですが、個人的には“the fez”におけるJimmy Herringのプレイがゾクゾクきましたね。(ちなみにジェイ・グレイドンは“peg”ではなくここでは“home at last”をプレイしています)
 しかしなんと言っても全体を引き締めているのがヴィニー・カリウタの存在。彼が主役になっているアルバムと言っても過言ではないほどキメバシバシのドラミングを惜し気もなく披露しています。アーニー・ワッツのサックスもさすがの安定感で安っぽさ皆無。聴かせるトリビュート、おすすめ盤ですよ。
Stephanie Mills/stephanie (1981)
 80年代の女性シンガーここにも。自身の名前をアルバムタイトルとしよりメジャーPOP界でのステップアップを狙ったかのような意欲がうかがえますね。以前より親交のあったジェームス・ムトゥーメ&レジー・ルーカスの名コンビをプロデューサーに迎えレディブラックの王道を行くナンバーで綴られていきます。打ち込み主流となる前のアルバムですからここでもじっくりとあったかいソウルを楽しむことができますね。ムトゥーメ&ルーカスの曲ってこの頃のほうが良いと思うんですけど。。。
Stephanie Mills/tantalizingly hot! (1982)
 ムトゥーメ/ルーカスとツルんでアルバムを作っていた事で知られるステファニー・ミルズの82年作。ブラコン最盛期だけあってウケ狙いのダンス・チューンで始まりますが、やはりツボはヴォーカリスト然とした姿を見せつけるミディアム。どちらかというとムトゥーメ/ルーカスから離れた数曲に味がある印象。特にレオン・ペンダーヴィスがホーン&ストリングスをアレンジしたアシュフォード&シンプソン作の“keep away girls”とスパニッシュ・ギター的なイントロで始まるセルフ・プロデュースのバラード“'ole love”にこの人の真髄が現れているようで。いやいや、実力派です。しかし、ジャケ写が前作と比べると「狙ってる感」アリアリですね。
Stephen Bishop/careless (1976)
 この、のんびりとした雰囲気。リー・リトナーラリー・カールトンジェイ・グレイドンに、エリック・クラプトンまで参加。バックコーラスにチャカ・カーン!そうそうたるメンバーをバックにしても、ひょうひょうと自分の世界を築き上げる彼はただ者ではないですね。そのイメージから来る音とのギャップを楽しむのもまた良いかも。タイトル曲は彼の持ち味が出た一番の佳曲ですね。

Stephen Bishop/bish (1978)
 曲の素晴らしさからエリック・クラプトンにまで親交のあったメロディ・メイカー、スティーヴン・ビショップの2作目。TOTOの面々やアレンジにジーン・ペイジ、チャカ・カーンのバック・ヴォーカル等彼の魅力に嵌る豪華サポートはファーストと変わらず参加で、さらに彼のシネマチックな魅惑の世界が一枚に凝縮されています。どこか惚けていてユーモアたっぷりの歌詞にも、凡百のAORとは一線を画す存在と言えるでしょう。
STEPS AHEAD/magnetic (1986)
 マイク・マイニエリをリーダーに活躍したNYのフュージョン集団。サックスはマイケル・ブレッカー、リズムはビクター・ベイリー&ピーター・アースキン。学生時代、中学の時の同級生の女の子の通う専門学校で学際のバンドでベースが足りないということで1回だけの飛び入り参加をした時、このアルバムでの一曲目「trains」をやった思い出があります。フュージョンのコピーは初めてだったため、ビクター・ベイリーのこのフレーズを何度も何度も聴いて一生懸命練習しました。懐かしいですねー。あの頃の人たち、元気かな。名前は忘れてしまったけど、年上のドラムの人と朝までミュージシャン談義をした覚えがあります。ヴィニー・カリウタの好きな人でした。ここをもし見ていたら連絡ください。(って、見ているわけナイか)
Steve Eaton (1979)
 フォーキー・AORの部類で再評価されたスティーブ・イートンのセカンド。名うてのミュージシャンが参加しているのでAORとして広まっているようですが、やはりここではS・イートンの明るい日差しを注ぎ込んでくれるようなソングライティングに注目するべきでしょう。本人のアコギが時折アクセントになっているように全て人の手によるシンプルなアレンジと、あたたかなメロディーラインにホッとする一枚。
♪“took me by surprise”♪
Steve Ivory/the ivory touch (1994)
 歌の前にナレーションが入る、ここ数年増えてきた哀愁系ブラックです。「Ivory mellow madness」ってあーた(^^;。アメリカ発ですが珍しく日本人二人がプロデューサーとなっています。なんだこりゃ。サウンドはいたってシンプルでどちらかと言うとメロディーを聴かすタイプのようですが、本人はキーボードの他にドラムスもこなすようで、曲もなかなかですし結構イケますね。
Steve Khan/the blue man (1978)
 70年代後半のCBS系フュージョンは本当に名作の宝庫。これもその中の一枚に入るでしょうね。リトナー/カールトンというギター小僧にとっての二大スターの影でしっかりと力の入ったアルバムを作っていたこの人。確かにテクをひけらかせば単純に当時のファンは感動したのでしょうが、そうではなく「70'Sフュージョンを楽しむ」という感覚なら面白い存在。少しクセがありつつ味わいのあるコード進行も独特。今で言えばニューヨーク・オールスターズ的なサイドメンバーも大ノリの、素晴らしい時代を思い起こさせる一枚です。
Steve Kipner/knock the walls down (1979)
 これは名盤。まず楽曲が良い。たしかにこの頃のJ・グレイドンプロデュース作には傑作が多いのですが、書かれた曲、メロディーの良さがさらに押し上げてくる感じで、二人の才能がタイムリーに出会ってできた傑作と言えるでしょう。構成的にアルバム一枚通して聴く事が出来る(そういえば最近はそんなアルバムが少なくなってきていますよね)作りで、重厚感がありつつ、とても爽やか。
Stevie Wonder/music of my mind (1971)
 今でこそ、「歌う愛と平和の使者」のようなイメージが作り上げられていますが、私のスティーヴィーに対する思いはそのような清いイメージはどうでも良く、あえて無視をしています。一人のソングライター、シンガー、ミュージックパフォーマーとして、誰が何と言おうと彼は天才だと思いますし、その後に彼の曲をカヴァーするアーティストが21世紀になっても後を絶たないことがその裏づけでしょう。これは、セルフプロデュースを始めた初期の頃のアルバムですが、すでにアルバム・アーティストとして天才的な雰囲気が漂っています。
Stevie Wonder/talking book (1972)
 マイ・フェバリット・ソングを挙げろと言われたら、五指に入るのがこのアルバムに収録されている「you are the sunshine of my life」でしょうね。2分半程度の小さな作品ですが、その短さが絶妙だったのかもしれません。こんなに心に残るメロディーはなかなかないです。アルバムとしての完成度も高く、驚異の70年代と言われたその後のアルバムの序章的作品となっています。若き頃のデビッド・サンボーンも参加。
Stevie Wonder/innervisions (1973)
 この頃のスティーヴィーは明と暗がはっきりしていていいですねー。芸術的3部作と言われたその第一弾です。曲間をほとんど空けずに次曲に移る構成をとるのはスティーヴィーがメジャーにした方法でしょう。「don't you worry 'bout a thing」から「he's misstra know it all」へ続くラストの展開が心地良いです。
Stevie Wonder/fulfillingness' first finale (1974)
 こうして彼の作品を聴いていくと、やはり「愛と平和を歌う盲目の天才シンガー」なんて作り上げられたイメージはなんとかして欲しいものだと感じますよね。この頃の曲を聴けば、若く、音楽に対して貪欲で、とても人間臭い彼の姿が浮かんでくるのですから。そして、見事にこれもグラミー賞を獲得。
Stevie Wonder/songs in the key of life (1976)
 天才が、その才能を遺憾なく発揮した奇跡のアルバム。全洋楽、POPSファン必聴。間違い無く彼自身の最高傑作であり、私的にも、五指に入る名盤中の名盤だと思っています。当時小学生であった私には、すぐにこの作品の凄さは理解できませんでしたが、何回も聴けば聴くほどにその素晴らしさが伝わってきました。どの曲ひとつでも抜けていればアルバム全体が狂ってしまうほどの完璧な構成。へたな説明はいりません。文句無しです。
Stevie Wonder/hotter than july (1980)
 「キー・オヴ・ライフ」後に発表されたコンセプトアルバム「シークレット・ライフ」には賛否両論が集まりましたが、待ちに待った4年ぶりのオリジナルアルバムと言うことで、期待にドキドキしながら針を落とした記憶があります。録音も良くなり、よりポップ感が増して楽しめるアルバムとなっています。以後の作品のスタイルはここから引き継がれているようですね。「lately」は名曲です。
Stevie Wonder/in square circle (1985)
 80年代はMTV全盛で、音楽を楽しむ要素に視覚が加わった時代でした。スティーヴィー自身も時代の音を積極的に取り入れ、「パートタイム・ラヴァー」が大ヒット。洋楽に興味があまり無い人でもスティーヴィーだけは「首を左右に振りながら歌う人」と表現されるくらいにメジャーなアーティストとなりました。芸術的な雰囲気はもうすでにありませんが楽しいアルバムですね。
Stevie Wonder/jungle fever (1991)
 スパイク・リーの同名映画のサントラ盤ですが、オリジナルアルバムとしても聴く事ができるほど完成度は高いです。あなどれませんね。90年代ともなると、やはり打ちこみリズムを多用するようになってきましたが、いつものスティーヴィー節は健在です。知らないで聴けばとてもサントラとは思えませんよ。
Stevie Wonder/conversation peace (1995)
 若い時は悪態もついていたが、歳を追うごとに丸くなって良い人の典型みたいな存在として萩本のキンちゃんのような(古いか?例えが)、おバカな私はそんな姿とスティーヴィーがダブッちゃったりしたりして。いやいやいや、そんな事はいいとして、メロディー・メイカーとしての彼は全く衰えていません。一耳すれば一発でわかるヴォーカルといい、スティーヴィーはスティーヴィーであってやはり偉大であると再確認。
Stevie Wonder/natural wonder (1995)
 これはいい。ほぼ、ベスト盤とも言えるほどのラインナップで編集された2枚組ライヴ・アルバムです。「キー・オヴ・ライフ」からの曲が多いのも嬉しいかぎりで、「if it's magic」まで収録されています。60年代からは「涙をとどけて」や「マイ・シェリー・アモール」も。これだけ名曲がたくさんあるとベストは自分でセレクトして作ったほうがいいアーティストなのですが、ライヴばかりは自分ではムリ。これは、そんな私にもピッタンコな選曲で良かったですね。
Stevie Woods/take me to your heaven (1981)
 「fly away」の爽やかさ、アップな曲もファンキー、ダンサブルと言うよりひたすらPOPになっていて、外見からしてアメリカ黒人ではなく南米系の人ですかね。かなり、AORに近い仕上がりになっています。アルバムタイトル曲は特に良い仕上がりです。
STUFF/more stuff (1977)
 スタッフと言ったらこの2ndですねー。クロスオーバー・ミュージックというジャンルが確立されてきた頃の代表的なバンドですが、あらためて聴くとこれまた新鮮な、打ちこみサウンドが「普通の音」であるこの時代にとてもヒューマンなサウンドがあった、と再認識させられるアルバムです。いまはなきリチャード・ティーのエレピがなんといっても…。エリック・ゲイル、コーネル・デュプリーやゴードン・エドワーズのシンプルですが渋い音にスティーヴ・ガッドとクリストファー・パーカーのツインドラムと、今ではなかなか見られないブルージーなセッション・バンド。メロディーの良さも特筆ものですね。
SUNFIRE (1982)
 Reggie Lucasを中心としGAP BANDのリズムを担当していたドラマーRaymond Calhoun、ヴォーカルRowland Smithの3人グループによる言わずと知れた80年代初期のブラック・コンテンポラリー名作。エレクトリック・ファンクになってしまったMTUMEはあまり好きではなかったのですが、その前に相棒はちゃんとソウル寄りのアルバムを作ってくれていたのでした(「feet」のようなファンクもありますが)。ともかくダンスもバラードもブラコンのお手本のような作り。ムトゥーメ/ルーカスって元々はこっちの音の方が好きだったんだよね。マーカス・ミラーとアンソニー・ジャクソンがベース・ゲスト。アップ・ナンバーでもシンセベースが少ないというのも良い。
SUNRIZE (1982)
 アイズレー・ブラザーズが82年にプロデュースしたこのサンライズ、一曲目はいきなり'80s特有のファンクで萎え萎えになりそうでしたがサビの部分の展開でリポビタンDを注入されたかのごとく元気復活。しかしこのテイストで最後まで行かれたらさすがにヘトヘトかなぁ、と思いきや2曲目でガラッとメロウ・グルーヴに。こいつはいい。最初のファンクはあくまでも「つかみ」を入れるためでありこのグループの持ち味は本来この路線だったのか、と曲が続くつれて確信に。どこかAOR的なのはヴォーカルが黒っぽさを抑えてさわやかだからかな。カッティング・ギターが心地良い「I just wanna make sweet love tonight」が一番のお気に入り。懐かしさばかりに浸ってはいられないと考えつつも、やはり忘れてはならないこの時代、まだまだ資源はあるようですね。8曲38分弱と言う物足りなさも別の意味で泣ける(アナログ時代の音源だからしょうがないんですが)。
SWEET COMFORT BAND/breakin' the ice (1978)
 ブライアン・ダンカン率いるCCMグループの、とりわけAOR色が強いセカンド・アルバム。ドゥービー・ブラザースやボストンへのリスペクト、そして人気メロウ・バラード“I love you with my life”はそのまんまEW&Fの“暗黒への挑戦”であったりと、CCMでは普通になされている露骨なパクリ・フレーズがあったりしますが、それでも彼ら自身が持つ豊かな音楽性がかいま見られ、プロデューサーのボブ・ウィルソンを中心としたシー・ウインドの強力なバックアップもありアルバム全体として嫌味なく楽しむ事ができる。当時の音楽を良いとこ取りしたズルい作りながら、オリジナリティ溢れるバンドとして聴かせられているかのように錯覚してしまうほどそれぞれの音楽をモノにしているところは素晴らしい。
SWITCH/II (1979)
 数々のバッキング・クレジットでお馴染みのPhillip Ingramとファミリーから抜け出し、独自の活動を取っていたBobby DeBarge二人のヴォーカルが中心となったダンス&ソウル・ユニット、スウィッチの2nd。Jermaine Jackson,Joe Sample,Ed Greene,Greg Phillinganesら名うてのプレイヤーの力を借りるようになり、ミディアムからアップまで確実に1stよりもサウンドの質感が増している。モータウンのニュー・スター・グループとしての地位狙いながらも、単なるヒット・チャートへの色目使いではない音へのこだわりが感じられますね。
SWITCH/reaching for tomorrow (1980)
 一聴Bobby DeBarge色が強くなったようであり、実は鍵盤担当のGregory Williamsのアレンジや他のメンバー提供曲にもキラリと光るセンスの良さが感じられ、なかなか業師集団の様相を呈してきた3rd。ここでもJermaine Jackson,Paul Jackson Jr.にOllie E. Brownらのサポートを得て時代の流れにうまく乗るようにソフィスティケイテッド・ソウルを展開している。特にJ・ジャクソン提供のタイトル・ナンバーはファンキーな中にもメロウネスを秘めた1曲。アル・マッケイばりにP・ジャクソンJr.がカッティングをかますギターがイイ。ジェリー・ヘイのホーン・アレンジ提供曲などもあり、同時期のEW&Fへの意識はやはりあったのでしょうね。
SWV/greatist hits (1999)
 TLCがわりとガキンチョ向けの女性トリオだったりするので、私はどちらかと言うとこっちの方が好きですね。これはベスト盤なので当然と言えば当然なのですが、メロディーも、アレンジもなかなか聴かせてくれる良い曲揃いです。しかし、このお姉さん方、お美しい。最近は黒人女性もストレートヘアなのですね。
Syreeta/one to one (1977)
 スティーヴィーと結婚していた経歴のある女性、という事のほうが有名な彼女。その若き天才とのデュエットでも佳曲を残していたりしますが、これはリオン・ウエアの全面プロデュースによる3rdアルバム。ウーン。70'sフリーソウルですねー。「I want you」が好きな人ならこれもイケること間違いなし。チャック・レイニー、ジェームズ・ギャドソン、デビッド・T.ウォーカーらの王道バッキングとメロウ大王プロデュースに支えられた皆様ご安心の名盤です。


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