Gabor Szabo/high contrast (1971)
 実質的にはガボール・ザボとボビー・ウーマックのコラボレーション・アルバムと言える作品。(全7曲中4曲がウーマック作。本人もリズムギターで参加) ジョージ・ベンソンのヴァージョンで一世を風靡した「breezin'」のオリジナルが収録されているアルバムとして有名。弾き口はベンソンと比べるとややルーズなのですが、フレーズそのものの原型は確かにこちらにあります。これがまた当然と言えば当然ながらシンプルな講成でありつつ、ストリングスが入ってくる所で懐かしくもあり、やはりあの「ブリージン」なのでした。白人ヨーロピアンであるザボがとてもファンキーに、見事に黒っぽくなっている様はジャケのイメージも、ハンガリー出身であるという事実も全てぶち壊してしまっていてとても痛快。ジム・ケルトナーのドラミングもカッコ良い3曲目のジャム「fingers」は特にオススメ。1970年と言う時代に音楽における異文化の融合がここにもあった。アルバムタイトルはおそらくそこから来ているのかも。まさにクロス・オーバー。リアルタイムではなかった一枚でしたが、今、リマスターで聴けるとは幸せ。プロデュースはトミー・リピューマなのでした。はは、そうだったのか。
Gabor Szabo/macho (1977)
 ボブ・ジェームズのプロデュースによるクロスオーバー花盛りの時代に作られた本作はルイス・ジョンソンのファンキーなベースも楽しめますが、どことなくザボの素朴かつエキゾチックなギターとはミスマッチの印象。一曲目のようなノリの良いハード・ファンクよりも2曲目以降のミディアムな方が渋い音色を生かしていたりします。BJの他E・ゲイル、アイドリス・ムハマッドハーヴィー・メイソンらスタープレイヤーに囲まれてどうしてもザボが「やらされている」といったイメージを持ってしまう「時代」の一枚。
THE GAP BAND (1979)
 どこか笑えるこのジャケット。ギャップ・バンドのファーストアルバムです。しかしすばらしいですこのグルーヴ感は。もちろん打ち込みなんてない頃のソウルバンド(まあ3人組なので今で言うとユニットなのかな)ですから、ギターやベースを生かしたコテコテのやつですね。でもでもでも!カッコいいです渋いです。おっAORかと思わせるようなアレンジの曲もあったりして、ビル・チャンプリンあたりが歌ってもバッチリはまりそう。独特のギャップ・グルーヴはこの後2nd,3rdもしっかり引き継がれていきます。とても好きなバンドのひとつ。
THE GAP BAND/II (1979)
 GAPはどこか不思議なんですよね。基本的にはディスコサウンド的ブラックなのですが、バラードとかに白系POPSの香りがするのです。これって、歌い方もそうなのですが、スティーヴィー・ワンダーの影響をかなり受けているようです。「you are my high」はインパクトのあるバラードでした。
THE GAP BAND/III (1980)
 ディスコティックサウンドと、ミディアムバラードのバランスのとれたスタイルがGAPの良さ。ここでもミラーボール系はガンガンに、チーク系はメロディアスにしっかりと決めてくれます。スティーヴィー・ワンダーを思わせる歌も健在。
THE GAP BAND/IV (1982)
 名曲「early in the morning」。良くFMでかかっていたものです。この人達がなぜお気に入りかというと、アレンジのセンスが抜群に良いところですね。もちろん基本的にはファンク/ソウルバンドですが、変に小難しいアーティスト性とかがない親しみのもてる音のわりには、ところどころ懐の広さを見せ付けてくれるアレンジがあったりしてニヤニヤさせられちゃうわけです。そこがゴマンと転がっているB級ソウルバンドとは一味どころか二味以上違うところですね。
THE GAP BAND/V jammin' (1983)
 実はGAPの中で一番好きなアルバムです。オープニングにインスト曲を持ってくるところなんかセンスがいいですね。例によってバラエティに富んだ曲構成で、「カッコイイ&楽しい」一枚です。「I’m ready」がいいですね。GAPもここまでのアルバムならいいと思います。
THE GAP BAND/testimony (1994)
 確かに、チャーリー・ウイルソンが歌っているのですが、正規のギャップ・バンドのオリジナルアルバムとしては、ちょっと違うのではないかなと思われるアルバムです。落ち着いたR&B中心で全然ギャップらしくない雰囲気なんですよね。それはそれでアルバムとしては悪くはないですけどね。これならチャーリーのソロアルバムのほうが出来が良かったかも。 
Gap Mangione/suite lady (1978)
 ピアニストでフリューゲルホーン奏者、チャック・マンジョーネの兄がこのギャップ・マンジョーネ。それこそ二人とも60年代からジャズ・ミュージシャンとして活動はしていたようですが実際のところは弟のチャックが「feels so good」を大ヒットさせ、兄ギャップも注目されたということでしょう。これはラリー・カールトンのプロデュースによるフュージョン作品ですが、どちらかと言うとカールトンのギターやグレッグ・マティソン、ジェフ・ポーカロ&ロバート・POPS・ポップウェルらのまさしく「夜の彷徨」サウンドばかりが目立って肝心の主役がどこかに行ってしまっている印象。タイトル曲のピアノ・ソロにようやく彼の存在感が。しかしジョー・サンプルを聴き慣れた耳には物足りないところかな。「もうひとつの夜の彷徨」的にコレクションとして持つには面白いですね。まんまな曲もありますから。
GARY/inner city blues (1994)
 打ちこみ中心のセルフ・プロデュースアルバム。マーヴィン・ゲイに強い影響を受けているようで、サウンドの随所にそれがうかがえます。もちろんカヴァー曲もあり。じっくりと聴けますが、これといって特筆すべきものがないのがちょっと寂しいですね。
Gary Bartz/music is my sanctuary (1977)
 長い活動の中で一番話題になるのがやはりスカイハイ・プロダクションとの音楽製作、ということになるのでしょう。この人の場合はミゼルにまかせっきりではなく自身が曲を作っていますので、ジャズミュージシャンがソウルと融合したレア・グルーヴを自分のスタイルとした代表的な存在のひとり。間にチョコチョコ入ってくるヴォーカル、コーラスがいいですよね。なんとシリータ・ライトもゲスト参加。MtumeBill Summersの二大巨頭がパーカッションを担当、James Gadson、David T. Walkerなどバック陣も見逃せません。
Gary Herbig (1988)
 LAを中心に70年代からAOR,FUSIONなどのサポート・プレイヤーとして広くその名を見ることの出来たSAXプレイヤー、ゲイリー・ハービッグのこれがファースト・リーダーアルバム。この人の音はスッキリとした清涼感がある中にも渋いフレーズがあり好みなんです。80年代後半のレコーディングながら打ち込みを使わずほとんどがハーヴィー・メイソンのドラムとは嬉しい。グレッグ・マティソンprod.の2曲、ビル・チャンプリンのヴォーカルナンバーが良いアクセントに。こういったインストアルバムに入るヴォーカルナンバーはクオリティの高いものが多いですね。
Gary Ogan (1977)
 レオン・ラッセルのバックアップの元製作されたSSWの1st。曲作りやヴォーカルだけでなくドラムス、ギター、ベース、鍵盤等のイストルメンツもこなすマルチ・プレイヤーらしく、そんな彼が同じスタイルの音楽界の巨星スティーヴィー・ワンダーに大きな影響を受けていた事が一聴瞭然。さまざまな色合いの曲調とメロディーが詰め込まれたポップ・アルバムですが、メロウな中にもちょっとヒネくれた方向に進むメロディーなどはスティーヴィー・マナーに則りつつもやはりこちらは白人パフォーマーの作るソレ。垣間見えるフォーキーな清涼感も爽やか。
Gary Ogan/let go the heart (1982)
 プロデュース、アレンジ、インストルメンツ等すべて自身で行った、セカンドながら本人をして「my very first independent album」と評する、まさに100%ゲイリー・オーガン、彼の本質がストレートに表された作品。シンプルかつ聴けば聴きこむほど味わいのあるメロディー・ラインがいかにも白人らしいアメリカン・ポップ・ロックからメロウなAORまでにしっくりと馴染む、良質SSWセルフ・アルバム。
Gene Dunlap/it's just the way I feel (1981)
 セッション・ドラマーと言うにはあまりにも地味な活動歴であったジーン・ダンラップ。それでもいまだにアルバムを出し続けているのはしぶといの一言。これはそんな彼のファースト・アルバムでフリーソウル・ファンには人気の一枚。これまた地味な女性ヴォーカルグループ、Ridgeway Sistersをフィーチャーした70年代の香りを残すソウル・アルバムとなっています。ドラマーの作るクロスオーバー/ソウルは鍵盤アーティストのそれに比べると一枚落ちるものが多いのですが、タイトル曲はなかなか良い雰囲気だし、ジノ・ヴァネリの“surest things can change”を取り上げるところは素晴らしい。
Gene Dunlap/party in me (1982)
 ファーストから約一年程度の期間で立て続けに発表された2nd。アーティスティックなジャケットから一変、彼の身体の中に作られた家の中で黒人達がpartyをしていると言う(なんじゃそりゃ)俺の音楽で盛り上がってくれよと言わんばかりの楽しげなイメージが、このアルバムを物語っているわけなのかな。一曲目のタイトル・ナンバーからいきなり80年代初期特有のダンス&ソウルの世界。やはりこの路線を辿る人は多かったようで、多少バック陣もパワー・アップ(アール・クルーもしっかり弾いてくれていますヨ)。この後出される無機質ビート傾倒作で単なる流行追いのダッサイ人になってしまった彼ですが、ここまでなら許してあげましょう。
Gene Dunlap/tired of being a nice guy (1982)
 この人、何処へ行っちゃったのかな、と思っていたら、最近またニューアルバムをリリースしたようです。まだ聴いていませんが(^^;。ジャズ畑の黒人ミュージシャンがBCMへ走るのは珍しくないのですが、ここまで売れセンを狙って売れなかった人もいないのでは。かなり、当時のプリンスっぽいサウンドでビッグを目指していますが、あらあらあららってところです。
Gene Harris/astral signal(1974)
 エレクトリック・ソウル/ジャズに傾倒して行ったBN-LA時代の作品。スライやCCR、シカゴと言った往年の名グループ・カバーが連なる中、そっと挟まれるジェリー・ピータースによるグルーヴィーなブラックが際立つ。そんな中埋もれる事のないG・ハリスのピアノも存在感はさすが。ニューソウルとジャズの両者がバランス良く手を組み合っている良作。ハーヴィー・メイソン、チャック・レイニー、デヴィッド・Tらバックも鉄壁。
Gene Harris/nexus (1975)
 良く言うレアグルーヴ、ニューソウル色を強く打ち出したジャズアーティストによるサウンドが、クロスオーバーの出現と共にニョキニョキと芽を出し育って行ったこの時期、ジーン・ハリスもその潮流に乗った人でした。その道でブルーノートと言えばマイゼル兄弟が代表的ですが彼が出会ったのはジェリー・ピータース。これはこの二人がガッチリと組んで作っていたBN後期において二作目にあたる作品で、J・ピータースカラーの良く出たPOPなアレンジの中にもハリスの攻撃的なソロが見事に融合しています。このタイプのアルバムとしては珍しくジャズとしても立派に成り立っている一枚ではないでしょうか。これならいつかはスティーヴィーのカヴァーでもやりそうだなと思ったら・・・(笑)。
Gene Harris/in a special way (1976)
 この人のここらへんのアルバムもジャズ・ファンから見たら邪道系の作品と言う事になるのでしょう。自分のようなジャズをろくすっぽ聴かずにここまで来たものとしてはヴォーカルも入るエンターテイメント性を押し出したクロスオーヴァー/ソウルはとても楽しめてしまうわけでして、アーティストを良く知らなかった事が逆にこの時代の音を素直な気持ちで聴ける・・・災い転じて福となるなんてそんなオーバーな。まあ不幸中の幸いだったりするのです。1曲目であれ?この雰囲気はと思ったら作者はスキップ・スカボロウ。アル・マッケイのカッティングとヴァーダイン・ホワイトのちょっとルーズで跳ねるようなフィンガー・プレイが聴こえてくるのもなるほど。この、今で言うとスムースな音作りはラムゼイ・ルイスを多分に意識したものだったのかもしれませんね。
Gene Harris/tone tantrum (1977)
 この路線での数作で方向性をまかせていたジェリー・ピータースとのコラボレーションもこれが最後。そのピータース作が2曲、いずれも当時においてはコンテンポラリーなブラックミュージックで楽しい。そしてアル・マッケイ作“peace of mind”は優しいメロディーが意外なミディアムナンバー。いや、なんといっても本作で語られるのが“as”のカバーだが本家でのハービー・ハンコックのソロに勝るとも劣らない、いやいや超えているとも言わせてしまうプレイを聴かせてくれる。パッパラパッパッパ〜のフレーズがすぐに誰だかわかるドナルド・バードも嬉しい参加。愛すべき邪道系ジャズ、ここに極まれり。
George Benson/breezin' (1976)
 「トミー・リピューマ マジック」って言うのがありまして、この人の手にかかると、ガラッとアーティストが垢抜けてしまうわけなんですよね。このアルバムによって、今まではオーソドックスなセミアコ・ジャズギタリストだった彼が一躍脚光を浴びるわけです。歌う名ギタリスト、ジョージ・ベンソンのスター街道はまさに、このアルバムから始まりました。
George Benson/weekend in L.A. (1978)
 「メローなロスの週末」。わはは。時代を象徴してますねー。これは引き続きトミー・リピューマのプロデュース、レコーディング&ミックスにアル・シュミットというワーナー黄金コンビによるライヴ盤の名作。ニール・ラーセンの「windsong」などカヴァー曲もあり、これまでのベスト盤的選曲ではなくオリジナルアルバムのような構成でライヴであるというのがミソです。バックでも弾いているロニー・フォスターが提供した「we as love」はメロディーがどこかジェフ・ベックの「哀しみの恋人達」のよう!?それにしてもジョージ・ベンソン。この後はブラコン界でも大活躍をするのですがとにかくギターとしても名手です。弾いてるなぁー。
George Benson/give me the night (1980)
 “夜をちょうだい”って言われてもなあ(笑)。当時流行った「クインシー・ジョーンズ-ロッド・テンパートン」ラインにうまく乗って作られた売れセン意識バリバリのPOPアルバムです。しかし、ギタリストとしての個性、力量もあるし、歌もうまいし、曲も良くできていて、ハマったなあ。これ。
George Benson/20/20 (1984)
 クインシー・ジョーンズ的に当時の最高峰プレイヤーを一堂に集結させ、ひたすら豪華なサウンドを求めるやり方も限界は来ていましたが、ここでも書ききれないほどのメンツを揃えながらしっかりと時代に合わせ、進行形の音を作ってしまうのはさすがと言うべきか未練タラタラと言うべきか。一曲目はメロディ・ラインが素敵なグッド・チューンですがアレンジはしっかりと「80年代」。しかしそれに染まりすぎることはなくスタンダードのカバー“beyond the sea”も収録したりとベンソンのメロウな世界をギターと共に堪能できる安心の一枚となっています。マイケル・センベロはここでも良い仕事をしているなあ。タイトル曲はなんとランディ・グッドラムとスティーヴ・キプナーの共作で、プログラミングとハネるヴォーカルがGOOD。
George Benson/irreplaceable (2003)
 最新作は完全なるヴォーカルアルバムで、上記の「ギヴ・ミー・ザ・ナイト」的ブラックコンテンポラリーとは当然の事ながら全く雰囲気が異なりますが、今の時代にしっかりと対応したR&Bとなっています。ドラムのみプログラミングであとは生楽器を使うまさに「今のブラック」ですが、そんな音の上にヴォーカルとギターのユニゾンが重なると「ああ、ベンソンはここでもベンソンだった」と感じますね。そんなゆったりとした中でラストはリチャード・ボナとのかけ合いという聴かせどころもあったりします。しかし、裏ジャケはまさに「ギターを持った渡り鳥」ですね。
George Howard/a home far away (1994)
 黒人のソプラノ・サックス奏者です。ソプラノというと、やはりその高音ベースの音色からどこか上品なイメージがあるものですが、このブラック・フィーリングたっぷりのサウンドはいいですね。ケニー・Gよりもこちらのほうが断然好きです。本人によるヴォーカル曲や、JOEのバックグラウンドヴォーカルが入る曲などもありますが、基本的にはインスト中心の構成となっています。
Gerald Albright/dream come true (1990)
 しょっぱなの「my,my,my」カヴァーは見事。ガッチリとつかみを入れてきた感じでやってくれましたね。黒人らしくR&B調をバックにきれいなフュージョン・サックスを聴かせてくれます。そのままヴォーカルナンバーにしてしまってもいいくらいの気の利いたアレンジでなかなかセンスがよろしいようで。
Gerald Albright-Norman Brown/24/7 (2012)
 もはやベテランとなったサックスとギターの人気プレイヤーがユニットを組んだ。さすが、王道のスムース・ジャズ。しかしただ耳触りが良いだけでなく、それぞれのプレイが実にキャッチー。実に聴き応えのあるものとなっている。ただBGMに流すだけではもったいないだけの音を持っていて、各人のソロもいぶし銀であるとともに、じっくりとその曲の流れに身を任せたいAクラスのスムース・ジャズ。ブラザース・ジョンソンの“tomorrow”のカバーもいいね。
Gilberto Gil/a gente precisa ver o luar (1981)
 私のご紹介する作品はそれぞれのアーティストの中でも、いわゆる邪道系、その人のファンにとっては「ちょっとコレは違うでしょう」みたいなものが多いのですが、これはそのミュージシャンと言うよりサウンドのスタイルで音楽を選ぶ私としてはしかたがない事です。ジルベルト・ジルの数多い作品の中でもこれはかなりアダルト・コンテンポラリー的なもので、「palco」なんてもろEW&Fだったりして面白いです。CD盤としては唯一ブラジルのワーナーから再発されていますのでお暇ならドーゾ。
GLAD (1978)
 CCM系の名グループ、これが1st。一曲目からPAGESの1stにも似た雰囲気でアレンジとメロディーとのバランスがいいですね。メンバーによるコーラスが多用されたり、どこか崇高なイメージを持った曲を挿むところはやはりCCM特有の部分も見れますが、全体としては一本調子にならず飽きさせずに全曲聴き通せる良質のバンドです。後半の三部講成(trilogy)がかなりの力作!
GLAD/captured in time (1982)
 固いルックスが少し引いてしまいそう(ジャケ引きの典型的パターン)ですが、演奏力はさらにアップ。彼らのもう一つの持ち味はコーラスで、爽やか系AORサウンドを基調としつつ、聖なる世界もしっかりと伝えているようです。とにかく、アレンジのセンスの良さは特筆モノ。誰々風と言えなくもないのですが、ここまでの音を出してくれれば文句ナシ。
GLAD/no less than all (1983)
 時代も83年ともなれば、もうこの手の音はCCMの方々に頑張ってもらうしかないわけで…。確かに1曲1曲は前作や1stに比べるとかなり新しくはなっていますが(特に鍵盤)、それでも2〜3年は「(良い意味で)遅れた」サウンドは今では嬉しい限り。リズムがちゃんと人の手によるAORが聴きたい!と言う方にも自信をもっておすすめできるアルバムです。ヴォーカルが清々しすぎるところに好き嫌いが分かれそうですが‥、しかたがないねそれは。
Glenn Jones/here i am (1994)
 1曲目は合格。これでつかみはOKですね。打ちこみと生ドラム録音の曲が半々でアレンジもさりげなく渋い味が出ていて(サックスなんかも使っちゃってます)意外と好感のもてるアルバムです。ルックスはけっして「カッコイイ」という部類の人ではなく、それよりも、センスの良いアダルト・ソウルを求めている時にはこの人がズバリはまりそうです。
GONZALEZ (1974)
 70年代のブリティッシュ・ファンクバンドとしては、AWBココモらと共に代表格となるユニット。白黒混合のセッションメンがファンクを軸にその名の通りラテン・フレイヴァーをふんだんに効かせ、時にはジャズ・フュージョン的なインストも見せるマルチ集団。英国発の都会的かつ繊細さとラテン・ファンクの躍動感が融合し、一貫してノリの良さで押してくれるのも気持ち良い。コテコテの本場モノではなく、あえて薄味を好む方向け?日本でも最近雑多な音楽性を持つバンドがいますがここら辺がヒントになっていそう。
Googie and Tom Coppola/shine the light of love (1980)
 既に60年代からキーボード奏者としてNYを中心に活動していたトム・コッポラとその夫人であったグーギーのヴォーカルをフィーチャーした夫婦ユニットの唯一作。なんとプロデュースはジェリー・ピータースだ。その名前はクレジットで良く目にするも、プロデュース作としては珍しいところだがアレンジとコーラス・ワークにこだわりを見せる所はさすがに長きにおいて培った裏方職人芸的で思わず唸る。明快なNYサウンドに確りと対応するトムのエレピに、なんと言ってもエンジェル・ヴォイスであるグーギーのヴォーカルの存在感。各自のキャラクターが実に良くブレンドされ、なんともハッピーな充足感に満たされるアルバムとなっている。それを一目で表すアルバム・ジャケットと言い、この時代のアルバムは良作の宝庫ですね。
Greg Mathieson/west coast groove (2004)
 アルバムタイトルといいジャケット画といいベタさ満開という感じなのですが、サウンドはどちらかというと爽やかさ重視のスムース・ジャズ的ピアノ・キーボードアルバムといったところです。本人のイメージからこちらのコーナーで紹介しましたがインスト中心、しかもかなり心地良い雰囲気の構成となっていますので以前のロック的なハードセッションをお好みの方にはちょっとタルいかもしれません。ビル・チャンプリンの歌うヴォーカルナンバー2曲は古きよき時代のAORを醸し出すものでこの作品のグレードアップに貢献。エブラハム・ラボリエル親子のベース、ドラムス、ヴィニー・カリウタ、マイケル・ランドウらが参加。
Greg Phillinganes/signficant gains (1981)
 70〜80年代のセッション・キーボーディストとしてスタジオで活躍した彼の、ファーストリーダーアルバム。冒頭の「girl talk」では渡辺貞夫が参加。ジョージ・ベンソン、パトリース・ラッシェンがコーラスだけ(!!)で参加の曲もありと、とても豪華かつ落ち付いたポップアルバムなんですが、派手さがなくて売れなかったのでしょうね。私としては好きなんですが。最近CD化されたようですが、これには驚いた。日本は凄い。
Grover Washington Jr./skylarkin' (1980)
 この人のアルバムって全体的に音が渋くて、テクも効かすんだけどそんなのどうでも良いくらい心地良く流れていく曲が多いので「WINELIGHT」あたりを紹介すれば、はい・こういう人ですみたいなところがあるんですが音と節まわしでグローヴァーだろとわかってしまう個性は素晴らしいですね。エリック・ゲイルとリチャード・ティー(うわー主役を含めみんな故人だ。寂しー)のスタッフコンビにラルフ・マクドナルドと、NYリズムの中でゆったりといつものグローヴァー節が流れていきます。GAP BANDの「open your mind」をカヴァーしていて、私もGAPのファーストの中では一番好きな曲だったので嬉しかったなあ。
GRP christmas collection (1988)
 当時のGRPに所属する代表アーティストによるクリスマス・ソングのカヴァー集。チック・コリアリー・リトナー、マイク・イーガン、トム・スコットデビット・ベノアらがそれぞれ一曲ずつカヴァー曲を収録しています。かなりイイ企画で、その後続編も発表されました。シーズンにはピッタリですね。静かなクリスマスを過ごしたい人はこれをBGMに流してみてはいかがでしょう。


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