Ian Carr's NUCLEUS/out of the long dark (1979)
 トランペッターのイアン・カー率いるブリティッシュ・ジャズ・ロックグループのグループ名義としてはラスト・アルバムにあたる本作。ジャズ・ロックと言うよりはフュージョンにかなり寄った作りとなっているが、フレーズがクールだったり幻想的なアレンジであったりと、ヨーロピアン・フュージョンに良く表れる音の構築法に近いものがあり、やはりそこは近隣地域である英国発らしさが出ている。ポップに走っていったアメリカのフュージョンとは対照的な、じっくりと聴き込める当時として新感覚のジャズ・アルバムと言うことで。
Idris Muhammad/boogie to the top (1978)
 ネイティヴなセッションドラマーというとこの人もそうですよね。アシッドジャズ・ルーツ探求的に聴かれるようで再発ものもそんな好みに合わせて出されているようですが、自分としてはフランク・フロイドらのヴォーカルが入ったソウル・フュージョンをやっていたこの頃のアルバムが好きです。アイドリス・ムハマッド自身はすごく泥臭いのですがバックにクリフ・カーター、ウイル・リー、ハイラム・ブロックといったNY系の人々がサポートしてチョッピリ洗練されたところもあり聴きやすい。ジャケ写のサングラスがピカッと光っているところはなんともマンガ的で笑ってしまいますが。はは。
Idris Muhammad/you ain't no friend of mine! (1978)
 んで、KUDUというやはり泥臭いレーベルからFantasyなんて大手に移り立て続けに出されたアルバムがこれ。いきなり一発目からコーラスが「ディスコ。ディスコ。」なんですけど(笑)。曲のタイトルも「disco man」。とほほ。確かにファンキーさや音の洗練度の上がり方は前作と同じ年に発表されたわりにはそこはFantasy、音質も良くなってます。ハイラム・ブロック作で彼がヴォーカルも担当しているアルバムタイトル曲がまるで別物の仕上がり。やっぱりいいセンスしてますね。まあ、それはいいとしてIdris自身の民族的パーカッションを聴くならラストの「big foot」。
Idris Muhammad/make it count (1980)
 ほとんど全てをヴォーカルナンバーとした変身アルバム。時代的にも同じようなドラマーがたくさん居ましたので彼もその流れに乗ってしまったのでしょうか。プロデューサーのHerb Jimmersonのkey&arrが大きく影響を与えているようでとにかくそのPOPな内容はこれまでの活動から見て、やっぱりこうなったかと予想できたところではありつつも賛否両論だったことでしょう。確かにラスト“New Orleans”でのファンクを除いたら誰のアルバムなのかわからないほど、Idrisのドラミングは個性皆無。楽しいですけどネ。
IMPERIALS/one more song for you (1979)
 CCMと言えばご存知のMichael Omartianがプロデューサー&アレンジャーとなり、平均的クリスチャン・ポップ・グループからグッとクオリティの高いAOR/CCMグループと変貌をとげた本作。これと次作がRuss Taffの在籍したインペリアルズでの最高作と言えそうですね。歌詞はともかくそのサウンドは何も文句なし。バックはこの世界でもおなじみのAbraham Laboriel(b)、Paul Leim(ds)、Marty Walsh(g)など。しかし、“living without your love”はまるっきり“georgy porgy”ですな。
IMPERIALS/priority (1980)
 引き続きStormieとのコンビによるナンバーを中心としたM・オマーティアンプロデュース第二弾。自身のアルバムより佳曲揃いなんじゃないの?! バックもほぼ前作と同じメンバーで固められていますが、この時期はたったの1年でも録音技術も含め音の移り変わりが手に取るようにわかるもの。このインペリアルズもそれにもれずさらに洗練され当時としては最先端のポップで崇高な神の世界を歌い上げていたのでした。
IMPERIALS/stand by the power (1982)
 CCMの大御所グループの82年度作品。ジェフ・ポーカロとスティーヴ・ルカサーが参加している事で有名な盤ですね。メンバー4人揃って笑っているジャケは、一人一人の外見からもいかにもCCM、と言った清らかな雰囲気がありますが内容はなかなかの優等生AOR。それぞれハズレの無い曲が並びありがたい。しかしながらその声質からは、ルカサーのギターが効いたようなロック調のものよりはゆったり聴かせるメロウ系のほうが合っていると感じますね。ブルース・ヒバード作の“under his reign”、ジェームズ・ニュートン・ハワード作の“all for the asking”あたりはやはりGOOD!
INCOGNITO/tribes,vibes and scribes (1992)
 オシャレな音楽としてアシッド・ジャズがもてはやされた時がありましたが、これはその中でも代表選手ですね。この手のはコンピューターにはあまり頼らずにバンドサウンドの形態をとっていて、ヴォーカル曲が中心であるが、インスト物もかならず取り混ぜる、サウンドはR&Bとジャズ・フュージョンを掛け合せたような・・・といったスタイルで、インコグニートは特に洗練された音で人気を集めました。S,Wonderの「don't you worry ‘bout a thing」に惹かれて購入しました。
INCOGNITO/positivity (1993)
 サウンド形態は変わってはいませんが、曲がさらに良くなりました。「still a friend of mine」、いいですねー。MIDI全盛の中で、生楽器にこだわる音はいかにもUK的で雰囲気があって良いです。メロディアスで聴かせる曲が多くなった作品です。
INCOGNITO/no time like the future (1999)
 一曲目「wild and peaceful」のインパクトによって、久しぶりにインコグニートのアルバムを購入。今までにない雰囲気を醸し出しています。アルバム構成としては、かなりカラフルな内容になっていて、以前のアルバムのような統一感のあるグルーヴが好きな人にはややタルい所もなきにしもあらずですが、出す音の巾が確実に広くなってきているという事でしょう。今後も楽しみです。
INCOGNITO/adventures in black sunshine (2004)
 変わらないというのもまた、バンドやミュージシャンにとって大切な事であったりするのかもしれない。ヴォイス・オヴ・インコグニートとも言うべきメイザ・リークが戻ってきたというのもありますが、何と言ってもサウンド自体が以前、十年前くらいに一番良く聴いていた時のインコと全く違和感なく流れてくるのです。いや、むしろメロディーとアレンジは確実にグレードアップしているのに何も特別な意識はしていないかのような。「まだやっているの?」と言わずお試しくださいな。一曲目のイントロから「あー、やられちゃったよ」と漏らしちゃうくらいのナンバーがバシバシ続きますから。アルバムタイトルそのままにソウルを追い求め続ける永遠のジャズ・ファンクバンド。このままそのまま変わらず、ずーーーっと続けてください。
THE INGRAM KINGDOM (1976)
 後にINGRAMと改名するファミリー・グループのデビュー・アルバム。基本はソウル/ファンクですがそちらはオマケでどちらかと言うと紅一点Barbaraがフィーチャーされたフリー・ソウルなメロウ・ミディアムに魅力を感じる隠れ名盤。演奏力はたいしたもので、細かいアレンジのキメ・フレーズがカッコ良しの一言。“she's all alone”のようなブラック・フィーリングをあまり感じさせないスローなど多彩なサウンドを持ちつつも、方向性が渋すぎて当時としてはあまり万人向けではなかったのかも。そこら辺は後のINGRAM名義アルバムを見てもおして知るべしですね。
♪“what else can I say”♪
INGRAM/would you like to fly (1983)
 フィラデルフィアのソウル/ファンク・ファミリー、イングラムの3rd。前作から5年以上の間を空けて作られた本作は、より洗練されたアーバン・ファンクの香り漂うクールな仕上がり。イングラム・ファミリーのインストルメンツによる演奏も練りに練られた構成により定番のディスコ・ソウルからミディアム/スロー、インストルメンタルまで飽きさせない内容。しかし、製作年代からするとあと3年早くても良かったような。そんなアナログ感に満ちた都会的でありながら温かみのあるアルバムです。
interpretations 〜celebrating the music of Earth, Wind & Fire〜 (2007)
 →コチラでドーゾ。
INTRO (1993)
 なかなかこのINTROっていう奴らもあなどれなくて、今聴いても10年前のアルバムとは思えないクオリティの高いアルバムですね。コーラス面でテク効かすって感じではなくて、あくまでもヴォーカル・グループなんですが、曲が良いので飽きずに最後まで聴かせてくれます。良いグルーヴしてますよ。出したアルバムがこれと次の2作だけとはちょっともったいないですね。やっぱり解散したのかな?アーティストの近況とかってあまり興味ないので調べてないんですが。
INVISIBLE MAN'S BAND/really wanna see you (1981)
 Burke・brothersによるTHE FIVE STAIRSTEPSの進化形バンド、INVISIBLE MAN'S BANDの2nd。サウンド・スタイルはさすがに80年代向けになってはいるが、あまり大掛かりなアレンジはせずにあくまでもファミリー・グループ内での音作りで小じんまりとした印象。それでも泣きのイントロから始まるタイトル曲はホーン&ストリングスも入る華やかなダンス・ナンバーであるし、ソロ活動も行っているケニ・バークの重厚なベースが利いた“rated x”もしかりでツボを心得た、さすがはベテラン・ソウル兄弟の作り出す音楽かなと。ただし選曲に散漫な印象があり、グループのカラーを掴み難いところが残念。
Ira Watson/shining star (1982)
 ソングライティングから楽器までこなすCCM系マルチ・プレイヤー/ヴォーカリストのワンアンドオンリー・アルバム。黒人らしくモダン・ソウル調の曲も挿まれるが、どちらかと言うと女性コーラスを強調したAORがこのアルバムの全体像となる。なんと言っても本人のヴォーカルがとても優しいのだ。そこはやはりクリスチャンミュージックのアーティスト然としたところであろう。ラストはしっかりとゴスペルで締めていて、メロウでありつつ芯が一本通った作りとなっている。
THE ISLEY BROTHERS/3+3 (1973)
 リズム隊3人が加わり、新たにバンド・サウンドとしての転換点となった一枚。なんと言っても「that lady」!私としてはアイズレーはリアルタイムで聴いてはいなかったのですが、なるほど、このリズムはTOTOの曲にもあったような・・・そうか、ここからパクッたか。ギターの音色が時代を感じさせますね。
Ivan Lins/love dance (1989)
 LA録音で歌詞はほとんど英語という、ワールドマーケットを強く意識して作られた本作。コアなファンからは当然ながら受け入れられにくいものなんでしょうね。いかにもアメリカ!というような80'Sアレンジをバックに歌えば「こんなのイヴァリンじゃない!」と感じられてもしかたのないところ。しかしこれはこれで当時の彼自らが意図するやりかただったのでしょう。プロデュースはスチュアート・レヴィン&ラリー・ウィリアムス。

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