Wade Marcus/metamorphosis (1976)
 ソウル界の名アレンジャーが70年代に一枚だけ制作したアルバムは、ジョー・サンプル、リー・リトナー、ハービー・メイソンら名手を擁し、ソロイストをフィーチャーしたトータルなインストルメンタル・アルバムとなっている。ウォーターズのコーラスを起用してブラック・フィーリングは十分に感じられるがL・リトナーやJ・サンプル、ジェロム・リチャードソンらのソロに重点がおかれているところからソウル・フュージョンをプロデュースしたアルバムと言っていいだろう。音の傾向はかなりクインシー・ジョーンズを意識しているようで、ストリングスとホーンを惜しげもなく使うアレンジがゴージャスな“journey to Morocco”や“poinciana”はこのアルバムの中でも極上の一品。
Wah Wah Watson/elementary (1976)
 セッション・ギタリストとして70年代から数多くのアルバムに参加して来たご存知ワー・ワー・ワトソン。しかしながら自身のリーダーアルバムは唯一これだけと言う貴重な音源がフランスでCD化されていたようで、地元のCDショップにさりげなく置かれていたものを見つけ思わず購入。幅広いセッション活動から培われた人脈による豪華な顔ぶれが集まり、黒っぽさガンガン、かつ多彩な曲調が楽しめるブラック・ギターアルバムとなっています。ジリジリ響く独特のワウワウ・ギターにタイトルも「まんま」の一曲目“Goo Goo Wah Wah”からまずは自己紹介。一転続く“love my blues away”や“my love for you comes and goes”ではメロウ・ソウルなヴォーカルを披露。決してうまくはありませんがなかなか歌心を感じるではありませんか。ラストの哀愁漂う“good friends”、かなり「I want you」しているのですが、そう言えばマーヴィンリオンの曲で印象的なフレーズを聴かせていたのはDavid T.だけでなく彼の存在も大きかったですよね。こんな作品は黒人ギタリストの自由な発想から作られたものとして、今でこそ広く受け入れられるものなのかもしれません。これはギターのみならず70年代のソウル・アルバムとしても楽しめますね。
Wanda Walden/searchin' for love (1981)
 ナラダの妹?とても珍しいアルバムです。PRODUCEもしっかりとナラダがサポートしていて、タイトル曲ではデュエットなんかもしちゃったりして。サウンド自体はナラダ風POPでいいのですが、肝心の彼女のヴォーカルとルックス(髪型をなんとかせい!)が今イチだったので、たった一枚で消えて行ってしまいました。
Warren Bernhardt/manhattan update (1980)
 前から聴いてみたいとは思っていたアルバム、めでたく再発となりましたようで。古きよきフュージョンの名盤ここにも。曲ごとにスタイルが変わるような節操の無いアルバムが多い中、これはウォーレン・バーンハートの持ち味である美しく清廉なアコースティックやローズ・ピアノを中心としたニューヨーク・サウンドでしっかり筋を通した作りになっています。一言で表すなら「上品なフュージョン」。中でも一番はやはり一曲目の「sara's touch」かな。バックはスティーヴ・ガッド、デヴィッド・スピノザマイク・マイニエリ、アンソニー・ジャクソン、トニー・レヴィンらが参加。このアルバムとマイニエリの「LOVE PLAY」を一緒に聴いて、流れとして深町純&NYオールスターズの「LIVE」で盛り上げていくのがベスト・マッチ。
WATERS (1977)
 手持ちの洋楽アルバムの中、必ずどこかにはその存在が確認できるであろうバッキングヴォーカルとして幅広い活動をしてきたウォーターズ兄弟姉妹4人組。これはスティーヴ・バリ&マイケル・オマーティアンのコンビによるプロデュース作でバッキングもそのMオマーティアンを中心にジェイ・グレイドンやスコット・エドワーズ等リズム・ヘリテッジ中心の構成。フィリー・ソウルやモータウン的な曲調が主でありつつ、黒人のみで作り出すものとはどこか違いブルーアイドソウルからAORに通じる軽快さがあるのはやはりこのメンツによるところか。なにしろドラムはジェフ・ポーカロですし。“party party”のリズム・ヘリテッジ・ファンクもありの柔らかく楽しい一枚。
THE WATERS/watercolors (1980)
 4人を絵具にみたて、その歌声が溶け合う様を思わせるジャケットですが、今回はLutherとOrenのセルフプロデュースとなり躍動的なソウル・アルバムを意識した印象あり。しかしながらスティーヴィー・ウッズ・ヴァージョンで有名な“throw a little bit of love my way”のAOR調もしっかりありここでも間口の広いヴォーカルが楽しめます。そんな聴かせるミディアムと思わず身体を揺らせてしまうアップナンバーが交互に配置されており飽きさせない。もちろん4人のコーラスを生かした「歌のアルバム」になっているところも、80年作でありながら70年代の安心感も併せ持った内容が嬉しいですね。
WAX/do you believe in magic (1981)
 7人組の大所帯ソウル・グループの2nd。外見はあまりカッコイイルックスではないですし、この頃はこんなグループがウジャウジャと居ましたからなかなか区別がつき難い所もありますが、これはレニー・ホワイト・プロデュースの、ジョン・スキップ・アンダーソンのサポートと言う、あのTWENNYNINEをブレーンに作られたアルバムなのです。確かにTWENNYNINEに通じるスマートであまり脂っこくない、それでいてしっかりとリズム感のあるソウルを聴かせるアルバムになっていますね。リズムとホーンのアレンジもこの二人がやっていますから聴くごとに細かな味付けのニクさにヤラれてしまうでしょう。やっぱり違うものですね。
Wayman Tisdale/power forward (1995)
 ご存知の方も多いと思いますが、とりあえずご説明しますと、この人は元NBAのプロバスケットボールプレイヤーです。で、今は左利きのベースマンという変り種というか、イロもの的イメージがありますね。しかし、曲調は結構渋く、ベースでメロディーラインを聴かせるスタイルは「テクニックのないマーカス・ミラー」(あっゴメン!)のような感じ。ブライアン・マックナイトがヴォーカルをとるスローナンバーもあり、心地良いですよ。
Wayman Tisdale/face to face (2001)
 4作目となる本アルバムは、もともと持っていたPOP志向をさらに強め、どれもヴォーカルが今にも入って来そうなニュー・ソウル仕立てのナンバーばかり。実際に歌入りの曲もあるのですが、そこはやはりベースプレイヤーのアルバムですからしっかりと弦でメロディーを奏でています。テクニックを見せるプレイヤーではないので、そういったアーティストを求めている方にはおすすめできません。タイトル曲と「can't hide love」のカヴァーがハイライトと言えます。うん。良いです。
Wayne Henderson/living in a dream (1978)
 クルセイダーズと言えばジョー・サンプルウィルトン・フェルダーに目が行きがちですが、それを横目に(か、どうかは知りませんが)他のアーティストへのプロデュースにも精を出していた彼が正式にクルセイダーズを脱退後作ったアルバム。管の中でも光の当たりづらいトロンボーンをメインにするのは難しい部分がありますが、そこは持ち前のソウル・フィーリングとヴォーカルを組み合わせセンスの良いブラック・フュージョンをやっております。ローランド・バティスタジェイ・グレイドンマーロン・マクレインらのギターに、ボビー・ライルロニー・ロウズ、ヴィクター・フェルドマンらニヤリなメンツが参加。
Wayne Shorter/native dancer (1975)
 当時の新進サックス奏者であったウェイン・ショーターとMPBの雄ミルトン・ナシメントとのコラボレーションにより生まれた説明不要的名盤。時代を感じさせない一生モノのアルバムの一つ。バックのプレイは控えめで、ミルトンの自由奔放なヴォーカルとメロディーに絡むウェインのブロウを楽しむ作品で、真の、良い意味での融合(フュージョン)ミュージック。だからこそ最後のハービーとの1曲は不要だったかな?
WEATHER REPORT/black market (1976)
 次作が言わずと知れたウエザー・リポートの頂点とするならば、本作品も勢いを感じさせる裏(でもないか)名盤と言えるでしょう。ジャコが参加したのもこのアルバムからですが、2代目のアルフォンソ・ジョンソンも独特のグルーヴで良い味を出しています。この頃はマハビシュヌにも参加したりしてハードなプレイを見せていたナラダ・マイケル・ウオルデンが曲によって叩いていたりと、一貫性のないところに好き嫌いはあるでしょうが、まあ基本的にはザヴィヌルのバンドですからね。
WEATHER REPORT/heavy weather (1977)
 「birdland」も、「teen town」も、そして、Jaco Pastoriusが生きていた。そう。このアルバムがウェザーリポートの最高傑作でしょう。これは間違い無く名盤。ザヴィヌル、ショーター、ジャコ、アクーニャ、バドレーナ。説明不要。名曲多し。フュージョンファンなら必聴!
WEATHER REPORT/8:30 (1979)
 名作、名曲も誕生し、乗りに乗っていたウェザー・リポートが満を持して発表した2枚組ライヴ。一曲目のブラック・マーケットからぶっ飛ばされます。ジャコ・何だこいつぅ〜?とですね。ラストのスタジオ録音4曲を除きジャコのベースソロ以外は前アルバムに収録されていたものですが、やはりそこはライヴらしくまったく別物の輝きを放っていますね。個人的嗜好から歴史のほんの一部分しか興味を持てなかったグループでしたが、このころのアルバムは文句なしにおすすめ。そういう人、多いんじゃないかな?
celebrating the music of WEATHER REPORT (2000)
 ジャズ・フュージョン界のスター・プレイヤーによるウェザー・リポートのいわゆる「トリビュート盤」。初っ端はやはり「birdland」。他も代表曲ばかり。書ききれないくらい、とにかく参加メンバーが豪華&大勢!なにしろほとんどの方がソロ・リーダーアルバムを出しているくらいの方々ですから。もしもCD店で見かけたら手にとってみてください。音は比較的ソフト系です。
Webster Lewis/touch my love (1978)
 ジャズ・オルガニストとして活動をしていたウェブスター・ルイスが70年代後半にクロスオーバー/フュージョンの鍵盤奏者としてソロ作を出すようになり、これは2nd。前作“on the town”ではフィリー・サウンドを彷彿とさせるグランド・ソウルでしたが、本作ではさらに洗練されアーバン・ソウルや疾走系ラテン・フュージョン、ゴスペル風のナンバーなども演っていたりと多彩なカラーで、彼自身のエレピもしっかり楽しめるようになっています。ハイライトは14分にも及ぶ“seasons”。デヴィッド・サンボーンの泣きsaxとリバーブのたっぷりかかった男女のコーラスとのからみがドラマティックで圧巻の一作。エクスパンションからのリイシューCDには未発表のボートラが収録されていて、中でも“Japanese umbrella”、こ、これは・・・。
Webster Lewis/8 for the 80's (1979)
 CBS/EPIC/COLUMBIAといったレーベルが好きな方ならご存知の方も多いはずのウェブスター・ルイス。ジャズ系アーティストからのソウル盤ここにもですね。ストリングスも入ったゴージャスなナンバーで始まり、いやがおうにも期待が膨らみましたが続く“give me some emotion”がガラッとまた渋い。まいった。BOZ SCAGGSが歌っていてもおかしくない程のクールな曲調。そして“the love you give to me”ではハービー・ハンコックの色が良く出た長いエレピソロの効いたミディアム〜スロー。こんな曲は鍵盤奏者ならではって所で、ジャズ畑だった人が作るブラックを私が好むのもそんな理由からだったりします。このアルバムはそのハービーとの共同プロデュースなのですが、特有の粘っこいグルーヴを聴けるのが6曲目の“go for it”。全体としてはボーカルをフィーチャーしたPOPな内容であると共に、さすが手のこんだアレンジが嬉しい一枚。80年代のさらに垢抜けたアルバムも好きですが、ソウル盤として楽しむには泥臭さも持ち合わせたこちらに軍配。日本盤再発CDはその81年作の三曲がボートラとして収録されています。
Webster Lewis/let me be the one (1981)
 なかなか気持ちの良いソウルをやってくれる鍵盤アーティストだったのですが、技術力やアーティスト性のない(見せない)ソウル&ディスコ・フュージョンは当時のアメリカでちょっとしたブームがあっただけで日本ではよっぽどの人でない限り評価はされませんでしたね。EPICから出ている盤だけあって曲も雰囲気も決して悪くはなくなかなか聴けるアルバムです。特にあのSkip Scarboroughのプロデュースした大部分(10曲中6曲)のナンバーは好きな方ならウットリかな。バックもハービー・ハンコック、ジェームズ・ギャドソン、ネイザン・ワッツ、ウイリー・ボボなど、ギターはDavid T. Walker,にMarlo Henderson,Charles Fearingなんて懐かしい名前がズラリと。
Wilbert Longmire/sunny side up (1978)
 ボブ・ジェームスが立ち上げたタッパン・ジーレーペルから発表されたポスト・ジョージ・ベンソンとも言えるギター・フュージョンの懐(?)作。今では御歳70歳にもなるベテラン・プレイヤーの40代の頃の作品ですが、レーベルの顔にするべく力を入れた感があり、ポップなギター・フュージョンの新たなスターとしてウイルバート・ロングマイアーの名をステップアップさせたかったのでしょう。音はスタッフの感覚に近いニューヨークサウンド。それもそのはずバックはキーボードにB・ジェームスの他リチャード・ティー、サイドギターにエリック・ゲイル&コーネル・デュプリーですから。そしてリズム隊はハーヴィー・メイソン&ケイリー・キングでガッチリです。一曲目の中で女性コーラスが「イェー」と入る所は笑っちゃいますが時代ですね。
Will Downing/sensual journey (2002)
 一曲目がいかにもなNCソウル・スタイルだったので、ああ、またこのパターンかと思いましたが、続く2曲目からが安心のアダルト・コンテンポラリーに。GRPに移籍したのですからこうじゃなくちゃ。自身と共にリー・リトナーが2曲プロデュース。大人のヴォーカルアルバムと言うと聞こえは良いが。逆に退屈なものが多いのも確か。しかしこのウイル・ダウニングは作る曲が何と言っても良い。6曲目の「maybe」なんて静かなイントロからコーラスが入ってきた時はゾクゾクしました。バックもマーカス・ミラー、マイケル・ホワイト、そしてロニー・フォスターなんて懐かしい人も。さらにカシーフ参加が一曲、ヒューバート・ロウズのフルートなど歌以外の聴き所も満載。
Will Lee/oh! (1994)
 70年代からセッションマンとして、そして元24丁目バンドのメンバーとしても周知の超一流“裏方”ベーシスト、満を持してのソロ・アルバムが90年代になってようやく発表されていた。それは、そのタイトル通り驚きのヴォーカル・アルバム。いや、本人にすれば当然のスタイルだったと言うことか。ベン・シドランのGO JAZZからと言うのも頷きの、これまでの音楽経験と仲間達を総動員した大変リッチなポップ・アルバム。本人のベース・プレイはここでも“裏方”に徹しているようでさりげなく前に出ているし、故ドン・グロルニックやジェフ・ミロノフ、ハイラム・ブロック等おなじみのNYプレイヤーで固められた中、ジェフ・ベックのゲスト参加という目玉もしっかり。さすが勿体つけただけはあってサービス満点でございまする。
Will McFarlane/right from the start (1982)
 セッションマンとしても活動していたギタリストがクリスチャン系のレーベルから1982年に出したソロ作。肩まで伸びた長髪に口ヒゲにフェンダー・ストラトキャスターを抱えて笑顔を見せるジャケット。いかにもなクリスチャン・コンテンポラリーな出で立ちだが、中身はなかなかのメロウ・サウンドだ。特に古き良き時代のAORマナーに沿ってアレンジされた“faith is not a formula”や、まんまSNEAKERのような“you call me a dreamer”、これまたPAGESを彷彿とさせる“set your heart on things above”など、自身が弾くギターと共に優しく流れるバラードの中に挟まれるこれらの数曲がキラリと輝く。マッスル・ショールズにあるスタジオで録音されたようだが音は完全にウエスト・コーストを意識した作り。バックはOwen Hale(ds),Steve Nathan(key)らが参加している。
Willie Bobo/tomorrow is here (1977)
 ウィリー・ボボはラテン・パーカショニストとしてリーダー作を出す事の出来る数少ないプレイヤーでしたが、ソロ活動の中心であった60年代から暫くの間を空けて自らを主役とするレコーディング復帰作はブルー・ノートからのヴォーカル・アルバム。全体に漂うメロウ・ムードの中に時折挿まれるファンキー・チューンにしても、曲をさりげなく引き立てるパーカッションの魅力とボボの柔らかな歌との絶妙のバランスが心地良い。ジノ・ヴァネリや本人も参加するベナード・アイグナーのナンバーを取り上げていますが、何と言ってもハイライトはスタンダード“time after time”。vo&percの両者が素晴らしいハーモニーで織り成す名曲ではないかと。
Willie Bobo/hell of an act to follow (1978)
 ラテン-ジャズパーカッショニストのウィリー・ボボが78年にCBS系のコロンビアからというと、期待通りの良い意味で洗練された音を出してくれました。ロニー・ロウズの「always there」で幕を開ける本作、少し黒っぽい雰囲気を滲ませるラテン・フュージョンが心地良いですね。ウエイン・ヘンダーソンのプロデュースがここでも良い仕事をしています(2曲目は「keep that same old feeling」をカヴァー)。バックもBobby Lyle、Nathan Phillips、Roland Bautistaらブラック/ラテン系アーティストがサポート。インストと交互に挿まれるボボの歌声もさりげなくメロウでいいですねー。
Willie Bobo/BOBO (1979)
 さらにコロンビアからの2発目はウイリー・ボボ自身がプロデュースを行い、“BOBO”のグループ名義アルバムとしたようで。ローランド・バティスタを引き続きゲストに迎え独特のカッティングが初っ端の「palos」から大活躍!この人抜きにはこのアルバムは有り得なかったかも。前作はW・ヘンダーソンらしいブラック・フィーリングを感じましたがこちらは爽やかな青空と海を感じさせる雰囲気。こんなトロピカル・タッチの音はどことなく日本のフュージョンと似た所がありますね。夏のドライヴ・ミュージックにもいいかな。
WILSON BROS./another night (1979)
 AOR時代の名作がここにも。こうやって聴き返してみるとAORってのはギターの音色に支えられていたのかなーって感じますね。スティーヴ・ルカサーのギターソロがなかったらこのアルバムの存在って今どうなっていたのだろうと。いやしかし、本来はこのメロディーラインとアレンジ、日本で言うAORが一番AORしていたサウンドを楽しむべきアルバムでありましょう。「take me to your heaven」は本当に名曲。スティーヴィー・ウッズがカヴァーしていましたがこれも良い出来でしたね。
Wilton Felder/inherit the wind (1980)
 ジョー・サンプルやスティクス・フーパーらと共同プロデュースした、クルセイダーズ・プロダクション黄金期の頃のアルバム。音はクルセイダーズながらさらにファンキー・ポップを自由にやっている感じ。タイトル曲やダニー・ハサウェイのカヴァー曲ではボビー・ウーマックがヴォーカルをとり、キーボードは全面的にジョー・サンプルなのが嬉しいね。しかし、一曲が5分〜7分と長いんだけど全部で6曲だけとは、この手の楽しいサウンドではチト物足りないね。
Wilton Felder/gentle fire (1983)
 母体クルセイダーズが実質的にジョー・サンプルとの二人だけとなり、各人がソロ作を精力的に発表し始めた頃にその盟友と共同プロデュースし作られた本作。そんな点でも前作と同じ路線と言えます。テイスト・オヴ・ハニーをゲストに迎えたタイトル曲はその歌声もセクシーなファンキーPOP。しかしその後は一転W・フェルダーのサックスがフィーチャーされたクルセイダーズ・サウンドが中心の、やはり残るべくして残った二人といった印象で安定感はさすがですね。ただ、前作同様この内容で収録曲6曲だけとは寂しい。2in1のCDが出たら間違いなくオススメ。
THE WINANS/introducing the winans (1981)
 ゴスペル/CCMを中心としたブラック・ミュージック界で幅広く活動を行っているワイナンズ一家の4人兄弟によるデビュー・アルバム。内容はそのコーラスワークを活かしたコンテンポラリー・ゴスペルと言えるお洒落で大人の音楽。グッと落ち着きのあるスロー“the question is”で始まるも、続く“self”で明るくハネるPOPナンバーになるがそれでも共通項はやはりアダルト。地味ながらホッとする耳当たりの音が癒されますね。最近注目のマリオ・ワイナンズはこのメンバー、マーヴィンの息子。
THE WINANS/long time comin' (1983) 
 リアルタイムでは3〜4年ほど遅れていたであろうサウンドも、今ではホッとする極上のアダルトコンテンポラリーになるところがCCMのありがたいところ。いかにもゴスペルアーティスト!とモロに出たJESASなんてナンバーもありますが本作はさらにアダコン色を深め、芳醇な佳曲ぞろいの良盤となっています(“don't be deceived”なんて、ボズが歌っていてもおかしくないほど)。コンピューター化の一途をたどっていた音楽界でスタジオプレーヤーが変わらずその存在感を示すことのできた貴重な音源でもありますね。これもご安心の一枚。
THE WINANS/tomorrow (1984)
 生演奏もののコンテンポラリー・ミュージックの形を保ちつつ、スッキリとした音色になってゴスペルと言うより上等なポップ・アルバムとなった本作。彼らのコーラス・ワークもじっくりと楽しむことができます。一部打ち込みのビートを見せるところはさすがにポップスの世界で80年代の潮流に逆らえなかった様子がうかがえますが、曲自体はノリも良くアルバムのアクセント付けに効いているのでは。AOR好きにもニヤリとするアレンジがチラチラ出てくるのも嬉しい。
THE WINANS/let my people go (1985)
 クインシー・ジョーンズ主宰のqwest recordsからのリリースとなった本作はやはりこのレーベルらしい華やかさがありながら、時代流される事なくじっくりとアダルトな音楽を聴かせてくれるものでした。マーヴィン他みんな歌う歌う!お気に入りはうまく'80s blackの要素を取り入れながらコーラスワークが素敵な“perfect love”やありがちではあるがこの手の音にはついついヨワいシリアス・ファンクな“very real way”。安心のコンテンポラリー・ゴスペル佳作でしょうねこれは。
WINDJAMMER/I (1982)
 ニューオリンズで結成された6人編成のソウル・バンド。TOM TOM 84のアレンジ・サポートによりアップ/メロウ混在のオーソドックスなソウルを展開するバンドだ。が、いささか編成やギターを音の中心に据えた音楽スタイルが1982年にしては古臭く、良い意味では70年代ソウルを引き継ぐ形にはなっているが時代から取り残されてしまったバンド、といった感は否めない。帆船ジャケットの硬派なイメージ付けなど個人的には好きなタイプのバンドなのですが。“ストリート・ライフ”をダンス・ナンバー風にしたような“I've had it”やシンセの使い方が斬新な“time well tell”など佳曲が多く、変化のあるアルバム構成が楽しい。
WORKSHY/soul love (1994)
 日本サイドの企画盤として発表。リオン・ウエア「if I ever lose this heaven」、アイズレー「work to do」等いずれもどこかで聴いた事のある名曲のカヴァー集です。ブルーアイドソウルの男女ユニットですが、そこがまた中間的オシャレ・ミュージックとなっているようですね。女性に受けが良いようです。
Wornell Jones (1979)
 日本でのセッションやレオン・ラッセルとの活動歴があるベース&ヴォーカリストの唯一ソロとして世に出た一枚。黒人ながらロック調の曲も含むバラエティに富んだ内容でなかなか幅のある音楽性を見せる。POPな部分を前面に出しながら、“must have been love”のようなシリアス・ナンバーも佳曲だ。アンディー・ニューマークのdsやレイモンド・ゴメスの参加など、黒人ベーシストのブラック・アルバムと思ってかかるとちょっと痛い目にあうかな。
THE WRITERS (1978)
 ラルフ・マクドナルドを中心としたNYミュージシャンによるポップグループ。いかにもニューヨークっぽいボーカル曲がメインです。全員が曲を書くので「WRITERS」としたそうな。STUFFを意識してのバンド名かと思っちゃいますよね。メンバーは他にA・ジャクソン、H・マクラッケン、J・ミロノフ、J・ピータース、F・フロイドら当時の名手が。音もラルフのパーカスはもちろんのことフランジャーっぽいアタッチメントを通したアンソニーのベースが懐かしいです。
THE WRITERS/all in fun (1979)
 なかなか好評だったのか一年の間を開けて発表されたライターズの2nd。メンバーも変わらずさらにヴォーカルナンバー中心のソウル・フュージョンとなっています。それぞれが曲を持ち寄っているため、全体的な構成に一貫性がないのが難点。それというのもギター担当の二人だけが白人なので彼らが中心となる曲とブラック・ソウルな曲との相性が少し悪いのかも。バラエティに富んではいるのですがバラバラな感じがしますね。それぞれの曲を取り出してみると結構手が込んでいてイケルのですが。


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