新旧問わず、最近ハマっているアルバムを紹介します。



GEORGE DUKE & FEEL (1974)
 
 あれあれ、マジかよ、と。まさか今このアルバムがCD化されようとは、何度も言いますが素晴らしい国です日本ってヤツは。同時に発売された「THE AURA WILL PREVAIL(旧邦題・オーラの勝利)」、「LIBERATED FANTASIES(解き放たれた幻想)」や、その前に発売されていた「I LOVE THE BLUES SHE HEARD MY CRY」などのMPS盤は、実は「THREE ORIGINALS」として2枚組のCD化をされていて、自分もちゃっかりとそれで楽しんでいたのですが、この「GEORGE DUKE & FEEL」だけは正真正銘の世界初CD化。見つけるや否や他のタイトルもまとめて3枚同時購入したのは言うまでも無い状態。このWEBを立ち上げた当初からあった“デューク部屋”でのディスコグラフィは駆け足でサササっと紹介しているのが申し訳ないくらいなのですが、今あらためてスクラッチノイズのないデジタル・リマスターで私の中に入ってくるデュークの鍵盤とヴォーカルは、若きチャレンジャーが自らの音楽スタイルを確立していこうとする姿を浮かび上がらせ、初めてこのアルバムを聴いた時の忘れかけていた感覚を、こうして再びこちらのコーナーで取り上げられるのは本当に嬉しい。

 頭の“funny funk”でウニョウニョなシンセ・ベースとキーボードの絡みから早くもファンクに強く傾倒していったデューク・フレーズが全開。しかし続くヴォーカル・ナンバーでは一転メロウに。これがこの人なんだよなぁ。そしてObdewl'l Xことフランク・ザッパのクレイジー(笑)なギターが飛び出し、“yana aminah”ではしっかりとブラジリアン・サウンド(ヴォーカルはフローラ・プリン)までも収録と、今ではそれがパーソナリティとなっている変幻自在ぶりはすでにこの頃から始まっていたわけで、単なるジャズ・ピアニストとしてデビューしてわずか8年でここまでの才人になってしまった彼の湧き上がる創作力にただ圧倒されてしまいます。やはりザッパのマザーズに参加したことが大きく影響を及ぼしているのは間違いないところでしょうね。

 初めて出会ったアルバム「master of the game」の衝撃から28年、ここまで彼にイレこんだのはソロ・プレイなどの技術的なものではなくズバリそのカテゴリ・レスな音楽性。そしてひとつひとつ発せられるコードやフレーズが自分の求めていた「音楽感」とピッタリ合っていたからでしょうね。似たような、いやそれ以上に鍵盤アーティストとして評価の高いハービー・ハンコックにはそれが無かった。初期のこのアルバムを聴いても思うのはまさにそれ。当時の邦題「感性の飛翔」とは今更ながらに大きく頷いてしまう、若干20代後半の瑞々しいアーティストが羽ばたいていく姿がそこにあります。良くあるソウル・ジャズ/フュージョンやレア・グルーヴとはざっくりと一線を画す才気溢れんばかりのハイテンションな一枚。そしてその全てを表現したのがアルバムラスト“statement”でのワン・フレーズ、feel! そう、理屈ではない。感じるのだ! (2007/7/11)



01.FUNNY FUNK
02.LOVE
03.THE ONCE OVER
04.FEEL
05.CORA JOBERGE
06.OLD SLIPPER
07.TZINA
08.YANA AMINAH
09.RASHID
10.STATEMENT


Produced by Baldhard Falk (MPS Records)

George Duke (key,syth-b,vo)

Ndugu (ds,perc)
John Heard (b)
Airto (perc)
Flora Purim (vo)
Obdewl'l X (g)



GEORGE DUKE

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