interpretations 〜celebrating the music of Earth, Wind & Fire〜 (2007) |
ホヤホヤの新譜と言うわけではないのですが、ここで紹介しているアルバムの発売年は約40年間の幅がありますので、その期間から見れば充分新譜扱いができるのではっと…素直に言えば出ていた事も気がついてなかったのですけどね。(kanaさんサンクスです)
さてさて一言で言えば2007年最新のEW&Fトリビュート・アルバムとなる本作、大変に聴き応えのあるもので、まず選曲が涙モノ。全て黄金の'70sからとなっていて、ちょうど全10曲の曲数もダラダラ長すぎず物足りない短さもなくで、一発目のチャカですでに自分の身体が揺れている始末。電車の中でも容赦なく(笑)。このファンク・クイーンったらなんて理想的な歌いっぷりなんでしょう、“shining
star”で、ドンピシャの大ファンキー・カバーにこの人選は大正解。そしてアル・マッケイの永遠のカッティングをそのまま使った“september”で歌う女性の「ba-di-ya」、この息の抜け方も、原曲のクールでミステリアスな雰囲気を損なうことなく後半の意外な展開が驚かされた“can't
hide love”も好きだけど、なんと言ってもこのアルバムで嬉しかった選曲はAngie
Stoneの“be ever wonderful”とご存知ハスキーヴォイスの娘さん、Lalah Hathawayがカバーした“love's holiday”かな。「太陽神」からこの裏名曲を持ってきてくれるとは泣き。原曲に忠実で新鮮味は少なかったのですが、好きな歌がカバーで聴ける事はいつでも嬉しいものです。それならあまりにも原曲と同じで面白くなかったのは“after
the love is gone”だったですね。それとは対照的にラストに配置されたMeshell
Ndegeocelloの“fantasy”は収録曲中一番の斬新な「解釈」。歪んだギターを使うカルト・ロック的なアレンジが巧妙で、意外とこの妖艶な雰囲気にメロディーがピッタリハマっている。アルバム中では異色の音ではありますが(だから一番最後だったのかな)、この1曲がタイトルの「interpretations」を象徴していると言えるでしょう。
最近のブラックミュージックはメロディーの衰退が激しく、このようなトリビュート盤で改めてそれを痛感しますね。今の人は音を作る技術に関しては機材の向上もあり格段の進化をしていますが肝心の曲の核となるメロディーは先人たちの受け売りどころかフレーズの継ぎはぎレベルのものばかり。だから長年愛される音楽が生まれないのだと。これを聴いて、アースもそんな「先人」のひとりであった事を思い知らされるわけなのです。(2007/9/6)
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