新旧問わず、最近ハマっているアルバムを紹介します。






DREAMS/imagine my surprise (1972)
 
 めでたく国内盤でリイシューとなったドリームスの2nd。イマイチ手が出しにくかった存在でしたが、デジタル・リマスターの上、今まで何度も買い逃しの苦汁を舐めてきたSony musicの生産限定盤とあって、とりあえず他に買うものもなく(?)今回は手を出してみることに。この2ndがまたなかなか良かったんですね。1stはちょっと凝り性気味なミュージシャンがやるブラス・ロックのような感じで、ただの流行り物を聴きたいポップス・ファンにはヒネクレすぎかなと、聴く人をかなり選んでいたようでしたが、本作は数々の名盤を生み出してきたスティーヴ・クロッパーのプロデュースとなり、大掛かりな曲を避けチョッとだけ(ここがポイント)聴きやすくなりました。メンバーはブレッカー・ブラザーズ前のランディ&マイケル兄弟にバリー・ロジャース(tb)のホーン・セクションを柱とし、ドラムもまだ無名時代のビリー・コブハムと言う、後のスター・プレイヤー達が集まっていた伝説的グループでしたが、この2ndではグループ結成のきっかけとなったジェフ・ケントとダグ・ラバーンが抜け、その代わりに参加することになったのがなんとドン・グロルニックと若きウィル・リーとは。NYのプレイヤーと言えば・・・の代表セッションメンがもうすでにこの時点で集結していた、と、言うよりこのグループがすべての始まりだったわけで、そんな彼らの記録から飛び出して来るのはジャズでもクロス・オーバーでもなく全曲ヴォーカル入りの、しかもちょっとチャートも意識していそうなブラス・ファンク・ロックだったのでした。ギターもジョン・アバークロンビーの時代感のあるギターからボブ・マンに代わり、グッと洗練されたようです。

 では、肝心の音の方はどうなのと言うと、そんな誰もが認めるNYの名プレイヤー集結、と言ったわりには各人まだまだ若いだけあってこれといった印象の強いプレイがあるわけでもなく、かろうじてブレッカー兄弟のブロウイングにその面影があるくらいで、ドン・グロルニックやウィル・リーはもちろんの事、ビリー・コブハムでさえも知らない人が聴いたら、え?これがコブハムなの?と聞き返すくらいおとなしく叩いております。どちらかと言うと1stの方がコブハムらしかったくらいで、これはおそらくスティーヴ・クロッパーの指示なんでしょう。それがもとでマハビシュヌ・オーケストラに移ってしまったかどうかは推測ですが、このグループはこれをもって活動を終え、後、様々なミュージック・シーンにおける各人の活躍はご周知の通り、となるわけです。しかし、若いとは言ってもやはり才人達が集まって出来上がったものですから、一般に名が知られたブラス・ロックとは音に志すものが違うんですね。やっぱりお気楽でストレートなものよりもちょっと斜に構えて聴かざるをえない作りのほうが好きな自分好みのグループだったと気が付いたのでした。まぁ、ブラス・ファンクのみならず、バラッドやキャロル・キング作のカバーなど緩急つけた構成もいいし、とにかく曲を純粋に楽しむ事ができるアルバム。しかも初々しいウィル・リーやちょっとヘタだけど一所懸命なランディ・ブレッカーのヴォーカルが聴けるなんてオマケつきですから、気になった方は売っているうちにどうぞ、な一枚。(2008/12/12)



1. CALICO BABY
2. WHY CAN'T I FIND A HOME
3. CHILD OF WISDOM
4. JUST BE OURSELVES
5. I CAN'T HEAR YOU
6. HERE SHE COMES NOW
7. DON'T CRY MY LADY
8. MEDICATED GOO
9. IMAGINE MY SURPRISE



Produced by Steve Cropper

Randy Brecker (tp,fl-h,vo)
Michael Brecker (ts,ss,fl)
Barry Rogers (tb,tub,vo)
Billy Cobham (ds,perc)
Edward Varnon (lead-vo)
Will Lee (b,vo)
Don Grolnick (key,vo)
Bob Mann (g,fl-h,vo)
Steve Cropper (g,cho)





TOP