David T. Walker/ahimsa (1989) |
今まで聴いて来たアルバム、それぞれの曲の中に、いったいどれだけこの人のギターがそこに居たのだろうかと考えても、数えてみる気にはならないほど膨大なセッションに携わってきた御大、David
T. Walker。実は先日、その初(?!)ソロ公演を観るチャンスに恵まれ行って参りました。本当に良かった。凄かった。なにしろ彼が我々の前に現れて、まず最初にその弦の音が、聴き慣れていたはずのあの音が流れた瞬間、不覚にもジワッと涙してしまったのです。しかしすぐに正気を取り戻し、しっかりと彼(ら)をこの眼に焼き付ける事に専念しましたが。
セッション・ワークでのDavid T.の存在感は自分の趣味とする音楽のコレクションの中でそれこそ否応なしに、毎日のように見せつけられていたにもかかわらず、正直な話、ソロ・リーダー作に関してはかろうじて「ON
LOVE」くらいを知るのみでした。あの江戸屋倶楽部の会員でもあったのに(笑)。ねぇ。 自分にとってのDavid
T.とは、どちらかと言うと脇でそのソロやオブリガートで主役アーティストを引き立てる名手、という印象が強かったのですね。ソロ作になかなか手を出さなかったのは、意欲的に音楽収集をしていた若者の時はまだ自分が脂っこ過ぎたと言う事なのでしょう。
でも、今は違う。彼のギターに涙する自分がここに居る。レコードやCDで聴くよりも、まさに生で体験すべき音楽を目の当たりにしてしまった。「やっぱり観なきゃだめだ、この人は。」
ライヴがすべて終わった後で言ってもしかたがない事なのですが。しかし、これに尽きます。今回だけと言わずまた再演を望み、できるだけ多くの音楽ファンにその姿とプレイを拝ませてあげて欲しいですね。
余談、今回のライヴメンバーはなんと“NDUGU”とバイロン・ミラーの名コンビがリズムを担当。特に“NDUGU”の参加は大正解で、時にはやりすぎだよ、主役食っちゃってるよ〜と思わず漏らしてしまったほどのパワー&テクニカルなドラミングを披露していましたが、David T.の長く、そして広い音楽的経験をフルにサポートするにはやはり彼のような同じくレンジの広いドラマーじゃないとね。今回のライヴを素晴らしいものにした影の立役者は“NDUGU”。思わず彼が目の前に来た時は「GREAT!」と握手を求めてしまいました^^;(思ったよりcoolに弾いていたバイロン・ミラーも快く握手していただきました。感激)
さて、これはご招待をいただいたKanafu marieさんから譲っていただいた89年のアルバム。James GadsonやJerry Peters,Scott Edwardsらがグループ・メンバーとして名を連ねる“WARM HEART”としてのアルバムだそうです。そしてここでも以前紹介した“KARMA”ホーン、Oscar BrashearやGeorge Bohannon、Ernie Wattsら大ベテランが参加もさすが。そしてもちろん主役はDavid
T.。ある意味思い描いていた通り、しかし、良い意味でイメージを覆され、心を揺さぶらされたライヴの後にその音が感慨深く響くのでした。「非暴力」を意味するタイトル曲から優しく私に語りかけてくるようで、そしてジャジーで特に自分が惹きつけられたあの時の“plumb
happy”や“going up”が・・・。一体となってそのギターを通して歌っているかのようなデヴィッド・Tがまた蘇ってくる。。。このソロ公演を実現させた関係者の皆様にも感謝しつつ、やはり一言、ありがとう!Mr.David
T.Walker! (2007/5/18)
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