[O〜Z]


★★★ たまには
Oscar Castro Neves/more than yesterday (1991)
 ブラジルの名ギタリストのリーダー作。王道を行くようなブラジリアン-ボサ・ジャズが聴けます。音楽的にもテクニック的にも聴き所が多く、ナイロン弦ギター弾きまくりのタイトル曲や、イヴァン・リンスがゲストの「unconditional love」、大盛り上がり大会の「my sweet sweetie pie」など、しっとりと落ち着いたボサノヴァもあり、この手の本物を聴きたい時にはとてもハマッている良いアルバムだと思います。

★★★ これもアメリカ
Pat Metheny Group/american garage (1979)
 そんなに「メセニー・フリーク」と言うわけでもなく、と言うよりほとんど気合を入れて聴いたことが無いのでわざわざ私が紹介するのもおこがましいくらいのアーティストだったりするのですが、一生懸命FMを聴いていた中学生の頃、パット・メセニーと言えばこのアルバムだったような気がします。まさにジャケット写真のような青空の下での突き抜けるサウンド。黒人系の音の方が好みだった私ですが、フュージョンというカテゴリの音の中で一際異彩を放っていたのが彼でした。あまり聴かないのですが、たまに引っ張り出してしまうアルバムのひとつ。

★★★★ やられたー
Pat Metheny Group/we live here (1995)
 そのスジの外盤屋さんでは、かなりロングランで売れていました。つい私も・・・と言うことで。イヤー、良い方向に裏切ってくれました。なるほど、これは売れるわ。もちろん独特のギターシンセ・スタイルもそのままに、多方面の人々に聴きやすくなっていると共にへたな商業思考に流されていない部分で今までの彼のファンを逃すことなくセールス的にも成功を収めた好アルバムとなっています。

★★ ジャズでスタート
Patrice Rushen/prelusion (1974)
 「新進女性ピアニスト」期待のファースト・アルバム(笑)。プレスティッジからデビューを果たした彼女はやはり本格派ジャズ・アーティストとして登場したわけです。単なるジャズ盤として聴くと、たいした評価にもならないようなものかもしれませんが、“puttered bopcorn”でハービー・ハンコックばりにクラビネットを弾きまくる姿がその後の活動と繋がってくるのかな、と。4ビートでもファンクでもこなしちゃうパトリースの音楽性に合わせなければならない点で、ドラムをNDUGUが担当したのは正解。まだヴォーカルものはここでは無し。

★★ ジャケットいいね
Patrice Rushen/before the dawn (1975)
 セカンドアルバム。より音の巾を自由に広げていった作りで、「若き女性ジャズ・ピアニスト」なんて商業的な冠は必要がないほど黒っぽくクロスオーバーしてくれちゃってます。ファンキーなヴォーカル物も一曲ありますが、ここでは彼女は歌わず当時セッションヴォーカリストとして活躍したJosie Jamesがパワフルに担当。結果的にそのほうが良かったかもしれません。個人的には彼女自身が歌い出してからの作品のほうが好きなんですけどね。

★★★ ほんと素敵
Patrice Rushen/shout it out (1977)
 まだまだアフロヘアーのままのプレスティッジ3作目。前作でもソウル・ファンク傾向をみせていましたが今回はヴォーカル物を強調し、よりファンキーになりました。若くして演奏テクはもちろんほとんどの曲が自作、プロデュースまでやっているところが素晴らしい。どこかジョージ・デューク的な雰囲気があると思ったらプロデューサー・エンジニアにTommy Vicariの名が、なるほど。珍しく(でもないか)James Gadsonがハードに叩きまくってます。ギターはAl McKayが全面参加。かなりポップになりましたがこのアルバムまではどちらかというとインストルメンタルの方が出来のいい曲がありますね。

★★★★ センスいいよ
Patrice Rushen/patrice (1978)
 彼女の名を初めて耳にしたのはあのリー・リトナー&ジェントルソウツのキーボーディストとしての参加でした。テクニカルかつ耳障りの良いクロスオーバー・ミュージック・ブームの火付け役となったあのバンドの紅一点メンバーであった彼女のエレクトラ移籍第一弾はなんと可愛らしい自身のヴォーカルをフィーチャーしたポップアルバムでした。これが今となっては「フリーソウル」とカテゴライズされる音としてバツグンにセンスの良いアルバムだったな、と再確認。こういう雰囲気って、ゴリゴリにブラックの世界だけでやってきたミュージシャンには出せない音なんですよ。とてもいいアルバムです。

★★★ 歌がキュート
Patrice Rushen/pizzazz (1979)
 愛すべき70年代〜80年代に発表されたBLACK/SOUL/FUSIONの数々。パトリース・ラッシェンもそんな私の好みにドンピシャはまりまくったアーティストでした。当時はソウルなんて日本人にとってはマニアックな領域でしたし、元々はジャズ系ピアニストとして名前が知られた彼女ですからこんな歌ものバンバンのポップなアルバムが受け入れられるはずもなかったのですが、前作同様フィールドの広さから来る音のセンスは抜群!若い彼女の歌もカワイイね!録音も良くなって古臭さもなく、今でこそ再評価されるべきアーティストと言えるでしょう。

★★★ おっシャレだね
Patrice Rushen/posh (1980)
 ブラック・コンテンポラリー路線もだいぶこなれてきたようで、次作で彼女もついに大成功をおさめるアルバムを発表するのですが、これはその序章ともいえる作品と言えるでしょう。さまざまなジャンルの音楽を泳いできた彼女の視野の広さと女性アーティストの魅力を生かしたサウンドがさらにポップになっています。邦題「おしゃれ専科」。わははー。まさにその通りですねー。

★★★ 女は変わるモノ
Patrice Rushen/straight from the heart (1982)
 もはや、こうなっちゃうとジャズ-フュージョンピアニストなんてアーティスト歴は吹っ飛んじゃいます。グリグリのアフロヘアーでピアノを弾いていた彼女が綺麗に垢抜けちゃって本格的なブラックコンテンポラリー路線で大成功を収めた、これは大変に有名なアルバム。ダンス・クラシックの名曲「forget me nots(忘れな草)」はここに来た人なら一度は聴いたことがあるのでは?(やっぱりフレディ・ワシントンのタイトなチョッパーメロリズムが印象的ですよね) しかし、それだけでなく唯一のインスト「number one」を含む他の曲もいいんだなあ。はずれ曲なしで満足満足。

★★★ ほとんど自作
Patti Austin/end of rainbow (1976)
 今でこそ、いやどちらかと言うと今では過去の人になりつつあるがジャズ・フュージョン界で女性ヴォーカルと言えばまず思いつく一人がこのパティ・オースチン。これが彼女のデビュー・アルバム。パッと出、というわけではなくそれまではバック・ヴォーカル等脇役で下積みをしていた彼女が満を持して「しっかりと」制作された感のある作品となっています。それと言うのも一曲を除きほとんどが彼女自身の作による曲ばかりで、それがまた良い雰囲気の曲ばかり。時代を感じさせるリバーヴのかかった録音、スタッフの面々を中心としたバックサウンド等、バッチリ70年代後半しています。アレンジは当時D,グルーシンなどにも肩を並べる程の売れっこデヴィッド・マシューズ。

★★★ 代表作だね
Patti Austin/havana candy (1977)
 このアルバムの場合はタイトル曲よりも「that's enough for me」かな。なんと言っても出だしのフレーズ、うーん懐かしい。これはデイヴ・グルーシン色の良く現れたアルバム。この頃ってバックミュージシャンの個性のあるプレイも味わうことが出来てイイですよね。花形NYセッションメンに囲まれた、当時のコンテンポラリー・ヴォーカルアルバムの代表作。

★★★★ これはこれは
Paulinho da Costa/happy people (1979)
 ブラジルのパーカショニストながら、この人の参加するアルバムを買えばだいたいは当たった、というくらい当時はひっぱりだこ状態の大人気アーティスト。これはその2ndでファーストアルバムのセッション的な作りからガラッとPOPになった佳作。しょっぱなはフィリップ・ベイリーをヴォーカルに迎えたアースの香りプンプンな(アル・マッケイも参加)一曲。このアルバムを聴いて「太陽神」での「brazilian rhyme」のパーカスは彼だったのだと気付いた。え・もう周知の事実? おら知らなかっただー。ビル・チャンプリンの歌う「seeing is believing」も思いっきりAORでサイコー。

★★★ niceインスト
Paulinho da Costa/sunrise (1984)
 前作が当時ジャズフュージョン-POP/ROCK/AOR-ブラコンとジャンルを問わずバッキングで大活躍した彼の存在を世に知らしめるものであったのに対し、時代も変わって今回はブラジリアンフュージョンを中心としつつここち良いインスト(一部ヴォーカル物もあり)アルバムとなっています。音もだいぶ洗練されてきました。キーボードにGeorge Duke、ベースにNathan East, Abraham Laboriel、ドラムスにJohn Robinson, Leon NDUGU Chanclerらが参加してます。スッキリ!

★★ かなり落ち着いて
PIECES OF A DREAM (1981)
 key,ds,bの3人からなる、かのグローヴァー・ワシントンJr.が見い出したNYのフュージョン・トリオ。と、言っても音はかなりハート・ウォーミングなBGM的インストルメンタルが中心で、演奏力を期待するハード・フュージョンファンにはチトつらいでしょうね。まあ、バンド名からしてそんな叙情的な雰囲気がありますが。

★★ 少し派手めもアリ
PIECES OF A DREAM/we are one (1982)
 そんな「ゆったりフュージョン」グループの2nd。多少ファーストよりもこなれた音になったようで、確かにこんなのも悪くない。Dexter Wanselらによるヴォーカル・ナンバーも前作に続き1曲収められていますが、ここではグッと落ち着いたミディアム・バラードに。黒人らしいファンキーなナンバーもあったりしますが、やはり彼らの本質はソフト路線にあり。聴き入ると言うよりは、何か他のことをしながら流れているのがふさわしい音。しかし今でも活動を続ける、そんな音の代表的グループでもあります。

★★★ シックにキメた
PIECES OF A DREAM/pieces (1997)
 何枚もアルバムを作れるようになればその時代時代に合わせた音作りもできるようになるわけで、グローヴァーの手を離れた彼らもかなり成長、楽しませる音作りがてきていますね。Maxi Priestがゲストで歌うタイトル曲もありますが、基本的にはインストルメンタルバンドです。ピアノがフィーチャーされた「1257」なんて私好みな曲ですが、本来はホーンを生かした曲がメインの音作りのようです。ラストの「涙をとどけて」カヴァーには、やられた!と言う感じです。

★★★ムーディーです
Quincy Jones/body heat (1974)
 「everything must change」が秀逸!全編、ゆったりとしたムーディーなソウル・ワールド(ジャズとは言い難いでしょうねぇ)に引きこまれていきます。リオン・ウエアを数曲、抜擢しているのもクインシーの先見の目ありというところですね。「if I ever lose this heaven」はAWBを始め、数々のアーティストにカヴァーされるほどの名曲となっています。

★★ ソウルベースで
Quincy Jones/sounds...and stuff like that!! (1978)
 ブラザース・ジョンソンやマイケル・ジャクソンをプロデュースしたりと、本格的に黒人POPのヒットプロデューサーに変貌を遂げていくころの序章的アルバム。前作「BODY HEAT」のソウルを根本とした作りはそのまま引き継いで、さらに音の巾を広げた作品となっています。「tell me a bedtime story」では本家ハービー・ハンコックを迎え、バイオリン・ソロとゆっくりと盛り上がって行く展開はこのアルバムの中でも一番の出来と言える曲でしょう。

★★★★ピークを迎え
Quincy Jones/the dude (1980)
 大御所プロデューサーがその力を発揮してトップミュージシャンを集めて作られた、当時のアメリカンPOP最高のトータルアルバムと言える作品。そうです「愛のコリーダ」です。前作までは少しマニアック的な部分も残してはいましたが、これに関してはとにかく売れセンの楽しめる構成となっています。クインシーの作品としては、これが影響力、インパクト共にピーク的な作品でしょうね。

★★ はずれはしない
Quincy Jones/back on the block (1989)
 とにかく参加ミュージシャンの顔触れが豪華で、まあ、大御所クインシーのアルバムなのだから当然と言えば当然なのですが、そろそろこの金をかけた音楽の作り方にも飽きがきて来ましたね。本人もわかっているようで、この後のアルバムは別路線の地味なものをいつのまにか製作していたようです。様々な音楽が氾濫している今では、もうこの手のものでは新鮮味もないし、クインシーが作らなくてもいいのですよね。過渡期的な作品と言えるでしょう。

★★ ルックスは地味
Rachelle Ferrell (1992)
 限りなくブラック・コンテンポラリーに近いサウンドなのですが、基本的にはジャズ・ヴォーカリストで、よりメジャーになるべくPOPに仕上げた2ndアルバムと言えるでしょう。彼女自身のペンによるミディアムナンバー中心で、メロディーセンスはなかなかのモノ。ジョージ・デュークが品の良いアレンジでサポートしています。それにしても、フレディ・ワシントンのタイトなベースはブラコン系の音にバッチリはまりますね。

★★ NYセッションだ
Ralph McDonald/sound of a drum (1976)
 名手ラルフ・マクドナルドの満を持して発表されたファーストアルバム。「タイコの音」というタイトル通りそのまんま、ラルフのヒューマン・パーカッションが全編楽しめますがあくまでもこの人の場合は「曲の脇役」としての位置づけ。ポップでメロディアスな曲調を主体としその中で彼のパーカスが良い味付けをしているわけで、誰にでも楽しめる音楽作りをしているところが良いですね。「where is the love」のセルフ・カヴァーではまるで別モノの仕上がり。リズム隊はチャック・レイニー&リック・マロッタ、そしてエリック・ゲイルとリチャード・ティーのニューヨークな音色がしっかりとサポート。懐かしさ満開です。

★★★ 完璧なリズム
Ralph McDonald/the path (1978)
 いやあ、あらためて聴き直して良かった。ワンパターンで一聴してR・マクドナルドとわかるパーカッションですが、このコンピューターのような正確さ!職人芸ですね。Side−Aは民族音楽のようで当時は苦手だったのが、今は、なーるほど。アフリカへの敬愛心からくるコーラスとフュージョンをうまく融合させていたのですね。ボブ・ジェームスのピアノで曲調が変わる所なんて、とてもいいです。古いアルバムももう一度聴き直してみると、その時には見えなかったものが発見できて面白いです。

★★★ 名曲作者だ
Ralph McDonald/just the two of us (1996)
 日本企画物っぽいところが、ちょっとイヤなのですが、そういう事と作品の出来は関係ないですからね。いぶし銀のパーカッショニストは、永遠に歌い継がれる名曲の作者でもありました。そんな彼を再認識させてくれるセルフ・カヴァーの数々。超スタンダードなタイトル曲をはじめ、「where is the love」等、ゆったりとした時間を過ごすことができますよ。

★★★ funkマスター
Ramsey Lewis/salongo (1976)
 モーリス・ホワイト/チャールズ・ステップニーと言う黄金コンビにプロデュースされた本作。全体的なアルバムの作りがまさに当時、といっても「太陽神」のようなド派手になる前のアースの香りが良く出ています。ソロ・ピアノの間奏を挟んだり、アースのアルバムの中で必ず一曲は入れていたジャズ・ロック的な曲や、ヴォーカル物もファンキー。60年代から元々繋がりの強い3人ではありましたが、アース・サウンドという物が確立し認知され、そんな個性の強い音の中でそのままラムゼイ・ルイスがピアノソロをとっているような、乗りに乗っていた時期に出るべくして出た、と思わせるアルバムです。

★★★ファンキー鳥!
Ramsey Lewis/tequila mockingbird (1977)
 イージー・リスニング的ピアノフュージョンの代表的なアーティストと言ったらこのラムゼイ・ルイスでしょう。もちろんベテランのジャズミュージシャンですが、やはりあの「sun goddes」でこのフィールドに目覚めちゃいましたよね。本作ではラリー・ダンプロデュースによるEW&Fテイストが溢れんばかりのタイトル曲で鳥肌もののグルーヴを聴かせ、さらにヴィクター・フェルドマンの名曲「skippin'」をカヴァーしたりと、センスの良さが光る好アルバムとなっています。

★★  なにも考えず
Ramsey Lewis/routes (1980)
 プロデュースは全面的にラリー・ダン。おおー、いたる所に宇宙的(^^;)なシンセサイザーの音が!!「sun goddes」のような名曲はないのですが、気持ちの良いBGM的フュージョンが流れてきますよ。基本的にこういうジャンルの音楽って、難しい事を考えさせないほうがいいのかもしれませんね。

★★ オジサンオバサン
Ramsey Lewis&Nancy Wilson/the two of us (1984)
 定期的にリリースされているこのコンビによるアルバムの「ファーストアルバム」。プロデュースはスタンリー・クラークなのですが、んー、なんとも80年代的なプログラミング・ビートばかりが浮いてしまって。。。当時はこの売り方で良かったのでしょうけど今では少し恥ずかしくなってしまいますね。インストとN,ウイルソンのヴォーカル物が交互に、という構成ですが、やはりデヴィッド・ロバーツの「midnight rendezvous」やL,ウエア&D,フォスターの「slippin'away」などのカヴァーものが馴染みのあるメロディーで心地良い。しかしまあ一曲目を聴いたときにはあれ?CD間違えたかな、と盤を確認するほど違和感が。日本ウケを狙っているなら相当バカにした話だし、逆にインパクト狙いの現地向けに考えたならハズしたなーって。そんな印象。

★★★ オンリーワン。
Richard Tee/strokin' (1978)
 あー、ニューヨーク!ってなカンジですね。実際に行った事はないんですけど。エリック・ゲイルやスティーヴ・ガッドのSTAFFメンバーにチャック・レイニー、ラルフ・マクドナルド、マイケル・ブレッカーときたらもう想像がついてきちゃいますよね。しかしまあこの人の独特なグルーヴ感。ジャズとかフュージョンとかそんなカテゴリはどうでもいいんですよ。とてもハッピーなピアノを弾くアーティストがいました、聴くとみんなが楽しくなってしまう人でした。そう、その人の名はリチャード・ティーという人でした。でも、もうその人の演奏を生で聴くことはできません。合掌。

★★★ すごいメンバー
Ricky Lawson/first things 1st (1997)
 YELLOWJACKETSの初代ドラマーと言うとわかりやすいのでしょうけど、セッションマンですから実はいろいろなアルバムで彼のタイコを聴く事ができます。本作はそんな彼の「顔の広さ」を思いッキシ見せつけたような幕の内弁当的アルバム。6曲目「blues club」ではR,Ferrante、J,HaslipにR,Fordという完璧な初期のイエロージャケッツメンバーが再会し、さらにM,Millerのチョッパー・ベースまで加わった豪華セッション。基本的にはヴォーカル曲をメインに据えたBLACK/AORに仕上っているのはBill Cantosの参加が大きいか。フィル・コリンズやドナルド・フェイゲン、アル・マッケイやフレッド・ホワイトらのEW&F勢などが「さりげなく」参加など、とてもここでは書ききれませんがとにかくひたすら豪華に攻めているわりには音の方も「さりげなく」聴ける落ち着いた作りになっています。

★★★ AORだねー
Ricky Peterson/night watch (1990)
 デビッド・サンボーンと一緒に音楽活動をして来た白人キーボーディストのファースト・リーダーアルバム。AORテイストの強いフュージョンです。ヴォーカルナンバーではビル・ラバウンティPAGESのカヴァーを披露していたりして選曲がなかなか渋い!こういった部分で密かにウケているコレクター向けの一枚ですね。プロデュースはトミー・リ・ピューマ。

★★★  渋い!
Ricky Peterson/smile blue (1990)
 カヴァーする曲がどちらかというと日本で人気のあったAORを中心にする人なので、本人もやはり本国よりも日本ウケを狙ったのかどうかは知りませんが、今回はボビー・コールドウェルの「what you want do for love」にやられたー! インストもライトタッチになりすぎず、スリリングな展開を見せます。とてもカッコイイです。

★★ 味のあるvocal
Ricky Peterson/a tear can tell (1994)
 今度のカヴァーはラーセン・フェイトンバンドだったりします。またまたやっちゃってくれたりする人なんですが、本国アメリカでは旬を過ぎたようなジャズ畑AOR路線を誰がなんと言おうとやり続けるんですから、本当にこのスタイルの音楽が好きなんですね。ジェフ・ローバーがスムース・ジャズ路線に移行していってるようですが、この人はこのままの姿勢で行ってもらいたいものです。ヴォーカルもソウルがあっていいですね。THE STEELSもコーラスで参加。

★★ スムースすぎか
Ricky Peterson/souvenir (1999)
 今回はいわゆる「スムース・ジャズ」なアルバムで、元々持っていたファンキーなスタイルのナンバーもありますがどちらかと言うと落ちついた雰囲気の曲が多いです。白人のキーボーディストはどうしてもそういった方向に傾いていきやすいものですね。ヴォーカル曲も多少挟んでいますがこの人の持ち味であったAOR的な部分というのをもう少し見せて欲しかったですね。そういう点では貴重なアーティストですし。

★★★ ノリいいっす
Robert Brookins/in the night (1986)
 この頃流行のプリンス(と言うよりはアレックス?)系なジャケ写が、いかにもこのアルバムを物語っていそうですが、内容はそのイメージよりももうちょっとメロディアスな'80sプログラミング・ブラックと言ったところ。本人は鍵盤アーティストでもあり、さすがツボを押さえたA級ブラコンになっていますね。打ち込み自体が苦手な人には少しキツイかもしれませんが、そんなにチープではなく結構アーティスティック。タイトルトラックではステファニー・ミルズとデュエットしてます。これはジョージ・デューク繋がりなんでしょうね。

★★ ありがちで
Robert Brookins/let it be me (1988)
 ソロデビュー作の「in the night」よりも先に手にした作品。セッションキーボーディストとして様々なレコーディングに参加していたロバート・ブルッキンスのリーダーアルバムなので、どんなフュージョンかと思ったら前半を落ち着いたヴォーカルナンバーでかため、後半5曲をダンサブルナンバーで続けると言う変わった構成をとっています。普通は逆でしょう。しかし、後半はあまりおもしろくないですね。確実に前作よりパワー・ダウン。

★★★★ イイ音で
Robben Ford/the inside story (1979)
 とても好きなアルバムです。この頃は、フュージョンと言えばまずギタリストが注目されましたが、この作品に関しては同時期のラリー・カールトンリー・リトナーよりも気に入っていました。プロデュースはスティーヴ・クロッパー!ギターの音色も私好みの音で、全体を通して駄曲がなく、ダレないで聴けるところは非常にヨイです。フレーズがとにかくいい。

★★ 封印系かな?
Robben Ford/love's a heartache (1983)
 どういう意図で制作されたのかわかりませんが、前作でガチッとフュージョン・ギター小僧のハートをつかんだはずのロベン・フォードが4年ぶりの本作では松居 和をプロデューサーに迎えたヴォーカル物中心のAORアルバムを発表していたのでした。多分本人にとっては封印してしまいたい作品かもしれませんね。曲の作者に林 哲司がいたりと、かなり日本の制作サイドがからんでいるような。ラストのインストにかろうじてロベン・フォードらしいナンバーがおしのびで。総じては彼らしさ、というのはどうもほとんど無いような気がします。個人的には結構好きなアルバムだったりするのですが…

★★ 19才でこれは
Rodney Franklin/in the center (1978)
 若干19歳にしてソロデビューを果たしてしまった彼のこれが1st。時代背景から言ってクロスオーバー/フュージョン花盛りの時でもあり、これといった下積みをつまずにCBSからのいきなりのデビューというのもさほど驚きに値するものではなかったのでしょう。しかし、鍵盤奏者としてのプレイはもちろん作曲もこなし、ジャズを下地に繰り広げる音楽性豊かな才能を持つ新星として売り出すには充分な要素を持っていたのでした。組曲あり、ソウルあり、スムース・ジャズありと、自己紹介アルバムとするにはかなり濃い内容となっています。

★★★ 真のデビュー作
Rodney Franklin (1980)
 タイトルからもあらためて仕切り直し、と言った所の2nd。まず一曲目の“windy city”、女性ヴォーカルを加えたブラック・フィーリングに満ちたナンバーでつかみはバッチリ。1stよりも統一感のある親しみやすい作りになっています。その前作で収録されていた“life moves on”や“I like the music make it hot”、“on the path”なども再録。特筆すべきは“in the center”で、前作のアルバムタイトルと同じですが、Don Myrickのホーン&ストリングスがからむEW&Fテイストなジャムがカッコいい。つまり、これが言わば「仕切り直し」を象徴する曲なのであり、これこそロドニーのデビュー・アルバムと言える作品なのですね。もう一つ、ジャケ写にも表れている通り、彼はピアノ・マンである事にこだわっているようでこの中ではエレピはほとんど使っていません。ファンキーでPOPな中にも“awakening”、“creation”のような繊細なナンバーも作ってしまう懐の広さは若くして素晴らしい。サポート・メンバーで特に良い仕事をしているのがギターのフィル・アップチャーチ。存在感あります。

★★★ 主役はピアノ 
Rodney Franklin/you'll never know (1980)
 前作でのブラッキーなピアノ・アルバムといったいかにも親しみやすい作風から一転、少し間口を狭めたピアノジャズ寄りのスタイルとした本作。それでもB面のクールなフュージョン展開が素敵。黒いジェフ・ローバーといったところですが、この人のこだわりはアコースティック・ピアノをバックにしたジャケ写にも現れている通りの「ピアニスト」。ヴォーカルが入ったミディアムなタイトル曲がハイライトですが、じっくりと聴きたい人にもOKなインスト重視の作りとなっています。

★★★ さらに素敵に
Rodney Franklin/endless flight (1981)
 若干22歳にしてもう4枚目。彼のような親しみやすいメロディーを奏でるアーティストは少なかったのかな。さらにエンタテイメント性を高めたジョー・サンプルのような、と言ったら怒られてしまいそうですが、そんなピアノマンですね。テクニックや芸術性に重きをおく当時の日本ではさほど人気が出ませんでしたが、これはカヴァーで再び知れ渡った彼の中でも最も人気の高い一枚。TOMTOM84(Tom Washington)のプロデュース。

★★ そして軽くなり
Rodney Franklin/learning to love (1982)
 時代の波に乗らざるを得なかったアーティストのターニングポイントとなった作品。プロデュースはスタンリー・クラークで、やはりこの人はジョージ・デュークと共に調子に乗りすぎた感がありますね。80年代がモロに出た軽いヴォーカル・ナンバーで始まる本作、8曲中5曲がヴォーカル入りと、さらに万人受けPOPを意識した作りとなっています。しかしながらここでは電気鍵盤の割合が増え、この人の売りであったアコースティック・ピアノの持ち味が薄れてしまいました。マイケル・センベロやジョン・ロビンソン、ネイザン・イースト等バックはそういう意味で強化されていますが、アーティストとしての存在意義に疑問符がついてしまうような意味のないヴォーカル曲もあり中途半端な印象。もしかしたらスタンリーが第二のG・デュークを作り出そうとしていたのかも…と勝手な想像をしてしまうのでした。その後ロドニーの作り出す音を聴くとこの人の意識が変わったのはここなのかな、と変に納得。

 なにか一つ欲しい
Rodney Franklin/diamond inside of you (1988)
 本国アメリカではそれなりに売れていたようで、コンスタントにアルバムを出していましたが、日本ではほとんど評価されないアーティストでした。BCM寄りのフュージョンキーボードアルバムです。確かにダンサブルではありますが、あまりにもアメリカ的すぎる音でもあります。何か名曲のカヴァーでも一曲くらい入れておいたら良かったのかもしれませんが。

★★ オルガンだぞ
Ronnie Foster/sweet revival (1972)
 スティーヴィー・ワンダーとの活動でその名が知られた鍵盤奏者のソロ2作目。ジャズをベースとしつつも当初からソウルを強く意識した音作りを行っており、収録の半数はオージェイズ、ロバータ・フラック&ダニー・ハサウェイ等、当時の名曲をカヴァーしています。オルガン中心のとても時代感のある音で、どちらかというとソウルジャズになりますが貧弱な安っぽさの無いところはさすがブルーノート。その「ぬくもり」にホッとさせられてしまうのです。ラストのR・フォスター自作“inot”が唯一スリリングなクロスオーバー。プレイヤーたるところもしっかりと見せてくれていますね。 

★★★ あと2曲くれ!
Ronnie Foster/cheshire cat (1975)
 ジョージ・ベンソンのプロデュースによるBN-LAからの本作は、ロニー自身のヴォーカルをフィーチャーしたソウル色の強いものとなっており、さらにスティーヴィーの影響が濃くなったカテゴリ・レス指向。しかし、ソウル寄りとは言っても本人の鍵盤は前面に出ており、安易なPOP化ではなくプレイを楽しみたいクロスオーバー・ファンにも余裕をもってOKな内容。“tuesday heartbreak”のカヴァー以外は全てロニー作の曲で占められていますが、どれも味のあるものばかりでライティングセンスも高い。こういう人が好き。後、さらにコンテンポラリー展開をするCBS/コロンビア時代の基礎となる音があります。

★★ 懐かしい名前
Ronnie Foster/love satellite (1978)
 彼のコロンビア時代のリーダーアルバムはもう今ではほとんど目にすることがないほど入手困難になってしまいましたね。スティーヴィー・ワンダーと親交がありバックでも弾いていたので、本作でも逆にゲスト参加しています。ヴォーカル物とインストを取り混ぜて、結構いいアルパムなんですが、今聴くとちょっとアカ抜けすぎかな。セールス的には失敗したようで、CD再発もなさそうですね。

★★★ 楽しめます
Ronnie Foster/delight (1979)
 コロンビアやエピックといったかつてのCBS系からのフュージョンはサウンドの垢抜け度では当時ピカ一で、今聴いても古臭さを全然感じさせません。この人もセッションキーボーディストとしてはちょっとした人気があったのですが、演奏テクニックを前に出さず心地良さを重視したブラコン・フュージョンは、よほど楽曲が良くないとたいした評価にはならないもので、結局はB級作品にとどまってしまったところは内容のわりに残念ですね。フレッド・ホワイトスティヴランド・モリス(セッションネーム)、レオン・チャンクラーらがドラムスを担当。

★★★★ 個性派AS
Ronnie Laws/pressure sensitive (1975)
 アルバム一曲目の「always there」はやはり名曲。オリジナル・ラヴの「スキャンダル」の元ネタかと言うのは新たな解釈と言えるでしょうか。しかし75年にしてこのセンス。ここまで洗練されたブラックコンテンポラリー・ジャズ・フュージョンをやられてしまうとはね。EW&Fでの旧友ローランド・バウティスタ(g)が前面サポート。ジョー・サンプル、ウイルトン・フェルダーなどクルセイダーズメンバーがゲストでウエイン・ヘンダーソンのプロデュースとなっていますが、当時としてはかなり先を行っていたグルーヴ感なのでは。今聴いても古臭くないしね。

★★ ロニー&ラリー
Ronnie Laws/flame (1978)
 ラリー・ダンとの共同プロデュース曲、特に冒頭の「all for you」はカッコイイです。これだけ個性のある綺麗なアレンジをするのに、どうしてラリーは早々と消えてしまったのでしょうね。もうちょっと活躍してくれても良かったですよね。

★★★ 歌もいい
Ronnie Laws/solid ground (1981)
 ロウズ兄弟の中でもこのロニー・ロウズは一番POPなサウンドに傾倒して行きました。と、いうのも、一応ジャズ系のカテゴリに入るミュージシャンですが、元々初期のEW&Fと親交があったので、音楽的にもかなりフリーソウル的な部分は前々から見せていましたよね。サックスの音も聴けばすぐわかる独特の音色を出す人です。

★★★ センスいい
Ronnie Laws/mirror town (1986)
 旧友ラリー・ダンのサポートがここでも生きているPOPなアルバムです。この人のサックスも壮快であまり当たりはずれのない作品を出すのでつい買ってしまいますね。サウンドは時代を象徴してリズム系は打ちこみに変わってきていますが、独特のポップセンスは健在です。

★★ クールです
Ronny Jordan/the quiet revolution (1993)
 70〜80年代はフュージョンとブラック・コンテンポラリー、またはAORとの融合という流れがありました。では、90年代はヒップポップとのミックスか?と思わせる時期もあった。モンゴメリー-ベンソン風のjazzyなセミアコギターではありますが、サウンドは90年代のブラックサウンドをバックにカッコ良く決めてます。でも、この人最近パッとしませんね。

★★ かなりヤバい
Roy Ayers/in the dark (1984)
 ご存知ソウル/ジャズ・ヴァイヴの御大ロイ・エアーズ80年代に出した迷盤。それと言うのもプロデューサーに迎えたスタンリー・クラークがこの時期はそれはもう血迷いまくりで、自身のアルバムもそうですがやたらとドラム・マシン(LINN DRUM!)の多用というただの軽い音楽の乱発をした頃。新時代のサウンド・クリエイターを目指したのはわかるのですが今となってはかなり封印してしまいたい時代のハズ。大御所のヴァイヴ・プレイや黒っぽさの失われないヴォーカル曲もありますが、やはりドラム・マシンではグルーヴ感もなにもあったもんじゃないですね。

★★★ちょと許せる
Roy Ayers/you might be surprised (1985)
 んで、LINN DRUMのビートをさらに極めた前作と並ぶ迷盤ここにも。しかしここではS,クラークの中途半端なポップ志向ではなく、その筋ではすでに専門家となったJames Mtumeがロイ自身と曲を半々に分け合いプロデュース。プログラミング・ビートもやはり「らしさ」が出ているようで、こういった80年代ファンクが好きな人にも前作よりは許される内容となっているのではないですか?ユビキティのグルーヴをこの時代に求めても無理な話ですからね。

★★ 土臭いぞ!
Roy Ayers/drive (1988)
 とても珍しいロイ・エアーズのインディーズ(?)アルバム。この人らしく、かなり泥臭いブラック・フィーリングたっぷりの作品です。今聴くと結構新鮮で、シンプルなファンクがかなりイイかも。ちょっと手に入らないとは思いますが、このテが好きな人は中古屋とかで目にしたら即getしてください。

★★★  お買い得
Roy Ayers/a shining symbol (1993)
 ベスト盤。ジャケットの色でこの青い方と、白い方2枚同時に発売されたようです。こちらのほうがユビキティ時代の代表曲が多いかな。「searching」、「everybody loves the sunshine」などはこちらに収録。まずこちらの青盤をgetして、さらにロイ・エアーズを深めるなら白盤の方も聴くとなお良し。この人の良さは垢抜けきらないところですね。黒人だけの世界にドップリ浸りたい時に。

★★  極めるなら
Roy Ayers/get on up get on down (1993)
 ベストの白盤(と私が勝手に呼んでいる)。こちらの方はアップテンポの曲が多いです。青盤とともに、ロイ・エアーズをまとめて聴くにはとてもお徳な曲構成となっています。ただ、「風のシルエット」のカヴァーはクサい。女性コーラスの入れ方がイモすぎてダメです。こういう「はずれ」があるのもこの人のいいところ?

★★★ グルーヴ良し
SEAWIND (1976)
 ハーヴィー・メイソンプロデュースによるファーストアルバム。ここで紹介できるハワイ出身のグループとしては一番の出世頭的存在ですね。音も確かに小さな島で収まるようなものではなく、当時としてはグローバルに活躍できるほどクオリティの高いものでした。一言、すばらしいです。言わずとしれたこのホーンズはやがてアメリカの音楽界でのセッション・スタジオワークにおいて引っ張りだこの状態に。

★★★★ かなり良い
SEAWIND/window of a child (1978)
 いやー、ポーリン・ウイルソン若い!ヴォーカル曲も増えましたがそこはさすがというかなんというかCTI、ジャジーなグルーヴ感もさらに増しているようでかっこいいです。変に売れ筋狙いで軽快すぎだったり甘ったるいナンバーはなく、パワフルなポーリンの歌と統一の取れたグループのアンサンブルが心地よい。黒人が一人もいないのに今ではこれがフリー・ソウルファンにも受け入れられているようですね。これもまた70年代の名グループ。絶対に。

★★★★ とても良い!
SEAWIND/light the light (1979)
 個人的にシーウインドはこのアルバムがベストだと思っています。プロデュースはあの魔術師プロデューサー、トミー・リピューマ。ジャズ的な部分もかなり残っており、カッコいいです。そして、何といってもあの名曲「follow your road」。ポーリン・ウイルソンの歌声ですよね。曲がさらにグレードアップした感じで、名盤です。

★★★ さすがGD
SEAWIND(4th) (1980)
 なんとジョージ・デュークをプロデューサーに迎え、ファンキーチューンで固めた人気作。当時はクラブでも良くかかっていたそうです。ただ、このアルバムを境にバンドとしてはパワーダウンしてしまったようで残念。と、言うよりも、ジェリー・ヘイやラリー・ウイリアムスがこの頃バッキングミュージシャンとしてかなり引っ張りだこ状態だったようで、しかたがなかったのかも知れません。

★★★ 名セッションで
THE SECTION (1972)
 Danny Kortchmar(g),Russ Kunkel(ds),Craig Doerge(key),Leland Sklar(b)という後に名スタジオ・プレーヤーとなる白人4人のセッション・ユニットが72年に出していた1st。テクニックよりもアンサンブルで聴かせるポピュラー・インストの部類に入りますが、少しジャズのテイストを感じるのは懐かしい音色のC・ダーギが弾くエレピが効いているからか。そういえばマイケル・ブレッカーが吹いている曲も数曲ありそれらはモロ。小さなライヴハウスでこんな生音に身を委ねてみたくなりますね。

★★★ BGMではない
SHAKATAK/jazz in the night (2000)
 シャカタクなんてFM放送のバックグラウンドだよなあ。。。「ナイト・バーズ」や「インビテーション」のイメージしかなかった私はずーーーっとそう思っていました。たしかにやはりそのような雰囲気があるのですが、この未発表リミックスやゲスト参加曲等を集めた企画盤はなかなか聴かせてくれます。ボズの「low down」、ビル・ウイザースの「lovely day」、ジョージ・デュークの「brazilian love affair」のカヴァー選曲もシブい。最後はEW&Fの「boogie wonderland」で締めるのですが、しっかりと女性コーラスがエモーションズしちゃってます。本物が歌っているのか?と勘違いしたほど。フィーリングがピッタリ私にジャストフィットしちゃいましたとさ。

★★  わかる人なら
SMAPPIES II (1999)
 楽曲として評価の高いsmapの曲を、そうそうたるアメリカのミュージシャンがカヴァーしたジャズ・フュージョンアルバム。smapを「オヤ?」と思って聴いていた人には出るべくして出たという企画でしたね。これはUとつく通り、カヴァー第二弾です。かなり、いいですよ。

★★★ 人気作です
SPYRO GYRA/morning dance (1979)
 いやあ、いいです。たまにはこんな壮快な音楽も聴かないと。「jubilee」の後半の展開なんてゾクゾクしますね。わかりやすいし。スパイロ・ジャイラはこの一枚しか持っていませんが、当時はキラ星のごとく現れて大注目されたバンドでした。

★★★★ ベース名盤
Stanley Clarke/school days (1976)
 出ました名盤!リターン・トゥ・フォーエヴァーのベーシストというレッテルを剥がし、より自己の可能性を探求し作られたこれぞ70年代のスター・ベーシストアルバム。今ではどうってことないのですが、タイトル曲ではうわっ。なんだコイツ的な意表をついた「黒人が思いつくロック」をやっちゃってくれましたし、同時期のジャコパスと比べて、非常にわかりやすい楽しむ作品を発表してくれたのでした。ここが、黒人と白人の違いだったのでしょうか。「life is just a game」ではビリー・コブハムとの壮絶なユニゾンを決めていましたが、密かにこの感動作の影の立役者はキーボードのジョージ・デュークだったのではないかな?他のアーティストには出せない味があります。アルバムをお持ちの方は良く聴いてみてください。

★★  録音が悪い
Stanley Clarke/modern man (1978)
 壮大なオープニングで始まる本作は、以前からの傾向であったロックへのアプローチをさらに強めた感のあるものとなっています。その中間的感覚は、当時逆方向から同じアプローチをしていたジェフ・ベックの参加によって大きな話題となり、70年代のベーシストとしてジャコ・パストリアスと同等に代表的な存在となりました。ジェフ・ポーカロも叩きまくっています。

★★★ 楽しいです
Stanley Clarke/I wanna play for you (1979)
 私がリアルタイムでスタンリーを聴いたのはこのアルバムから。2枚組の大作で、曲構成も引き続きジェフ・ベックが参加したロックナンバーもありバラエティに富んだ聴きごたえのある内容。タイトル曲ではしっかりとジョージ・デュークが参加。インパクトのある展開を見せます。その後、二人はユニットとしてCLARKE-DUKE PROJECTネームのアルバムを発表。絶好調の時期を迎えます。

★★★ パワーあり
Stanley Clarke/rocks,pebbles and sand (1980)
 サイモン・フィリップスやチャールズ・ジョンソン等白人ミュージシャンを従えてのトータル・ミュージックアルバム。前作までとはまた違ったパワフルな演奏が聴けます。いかにもロック的な作品かと思いきや、ゲストミュージシャンも多彩で意外とメロディアスかつ劇的な組曲仕立てのナンバーもあったりして、なかなか楽しめる好作品です。

★★
売れスジ路線
Stanley Clarke/let me know you (1982)
 今あらためて聴くと少し汗が出てきそうなブラック・コンテンポラリー/フュージョンアルバムです。ここでも自身のヴォーカルが大部分でフィーチャーされていますが、いや、前作以前に比べたらかなりうまくなっていますよ。お世辞にもうまいとは言えなかったのですがここではなんとか「聴ける」ようにはなっています(笑)。全体としてはひたすら明るくポップに。ヒット・チャートに色気アリアリな一枚。

★★ 落ち着いて聴く
Stanley Clarke/hideaway (1986)
 この前にジョージ・デュークとのユニット、CLARKE-DUKE PROJECTで2枚発表しているのですが、その時は万人受けをするヒット狙い路線でしたので、本作は一息ついて一転、イージーリスニングスタイルのBGM的フュージョンアルバムとなっています。ゲストもまた色を変えてスタンリー・ジョーダン、スチュワート・コープランド(POLICE)、ラリー・グラハム等が参加。独特の早弾きも聴けますが、比較的落ち着きのあるインストアルバムです。

★★★スケールアップ
Stanley Clarke/east river drive (1993)
 やがて映画音楽も手がけるようになり、さらに活動の幅を広げた彼ですが、リーダーアルバムとしては7年ぶりの本作では、そんな彼のスケールアップした姿が感じられる内容となっています。ソロの部分は、変わりのない独特の(悪く言うとワンパターン)クラーク奏法ですが、正解なのは、へたな自身のヴォーカルを入れなくなったこと。大人になりましたね。曲構成もカラフルで音楽的に内容の濃い作品です。

★★ 血迷い系??
Stanley Turrentine/tender togetherness (1981)
 Mr.T、血迷うの図?ベテランサックス奏者が81年、ついにラリー・ダンのプロデュースによりEW&Fテイストのフュージョンを作ってしまったと言う問題作。以前にも時代の流れからかフュージョン作品は作っていましたがついにここまで来てしまったわけです。今では宇宙的と言うにはあまりにもレトロすぎるL・ダンのシンセはもちろんFred WhiteやRoland Bautistaなど、全編アースな音がてんこもり。4曲目で「after the love is gone」が流れて来てこれで決定的。こういった超スタンダードをインストでカヴァーすると、ややもすると有線のBGM的になってしまうのですがそうならない所はやはり本家がちゃんとアレンジ/プレイしているからかな。

★★★ センス良し
STEPS AHEAD/magnetic (1986)
 マイク・マイニエリをリーダーに活躍したNYのフュージョン集団。サックスはマイケル・ブレッカー、リズムはビクター・ベイリー&ピーター・アースキン。学生時代、中学の時の同級生の女の子の通う専門学校で学際のバンドでベースが足りないということで1回だけの飛び入り参加をした時、このアルバムでの一曲目「trains」をやった思い出があります。フュージョンのコピーは初めてだったため、ビクター・ベイリーのこのフレーズを何度も何度も聴いて一生懸命練習しました。懐かしいですねー。あの頃の人たち、元気かな。名前は忘れてしまったけど、年上のドラムの人と朝までミュージシャン談義をした覚えがあります。ヴィニー・カリウタの好きな人でした。ここをもし見ていたら連絡ください。(って、見ているわけナイか)

★★★ 渋い存在
Steve Khan/the blue man (1978)
 70年代後半のCBS系フュージョンは本当に名作の宝庫。これもその中の一枚に入るでしょうね。リトナー/カールトンというギター小僧にとっての二大スターの影でしっかりと力の入ったアルバムを作っていたこの人。確かにテクをひけらかせば単純に当時のファンは感動したのでしょうが、そうではなく「70'Sフュージョンを楽しむ」という感覚なら面白い存在。少しクセがありつつ味わいのあるコード進行も独特。今で言えばニューヨーク・オールスターズ的なサイドメンバーも大ノリの、素晴らしい時代を思い起こさせる一枚です。

★★★ セッションです
STUFF/more stuff (1977)
 スタッフと言ったらこの2ndですねー。クロスオーバー・ミュージックというジャンルが確立されてきた頃の代表的なバンドですが、あらためて聴くとこれまた新鮮な、打ちこみサウンドが「普通の音」であるこの時代にとてもヒューマンなサウンドがあった、と再認識させられるアルバムです。いまはなきリチャード・ティーのエレピがなんといっても…。エリック・ゲイル、コーネル・デュプリーやゴードン・エドワーズのシンプルですが渋い音にスティーヴ・ガッドとクリストファー・パーカーのツインドラムと、今ではなかなか見られないブルージーなセッション・バンド。メロディーの良さも特筆ものですね。

★★ カッ飛んでます
Tom Browne/browne suger (1979)
 「新進トランペッター、注目のデビュー作」、なんてこのアルバムが出た時はこのジャンルにおいては少々騒がれていたような気がします。とにかく一曲目の「throw down」のインパクトと言ったら…。夜中のFMで流れていたのを聴いた時、思わず「カッコイイ〜!」でした。聴けばすぐにわかるデイヴ・グルーシンの全面アレンジがとても懐かしく、今ではコケおどし的な印象さえあるその初っ端のナンバーから最後まで気持ち良く流れて行きますよ。

★★★ NYブラックだ
Tom Browne/love approach (1980)
 そして大ヒット曲「ファンキン・フォー・ジャマイカ」収録の2nd。前作はファーストらしくボスのD・グルーシンがすべて取り仕切っていたのに対し、本作はアルバムの半数曲を書き、アレンジまで本人が行っている。前作と比べると明らかにNYのブラック・フィーリングが強化されたサウンドになっている所が興味深い。ライナーを見れば「アルバム全体から演奏の一音一音に至るまでがジャマイカ・クイーンズの描写」とある。バックはマーカス・ミラーバーナード・ライトのそれこそ「ジャマイカ・ボーイズ」にバディ・ウイリアムスとオマー・ハキムのドラムスなど、思わずニヤリなサポート陣ですが、ブラック色が強くなりつつもテクニカルなナンバーもありカッコ良し!

★★ さらに売れセン
Tom Browne/magic (1981)
 当たった前作からさらにブラック・POP色を強めた3rd。8曲中6曲にヴォーカルが入ってくるくらい、ブラコン・フュージョンが好きな人にはたまらない内容。しかしトムのトランペットが全面に出たインストと黒人ミュージシャンの持つPOP感覚とのバランスが良かったのはやはり前作の方か。こちらはかなり売れ筋狙い的。本作では彼自身のバンドメンバーが中心となってサポートしていますが、ドナルド・バードがもう少し若くてこの時代に現れていたら自らのバンドでこんな作品を作っていたのかな、と思える雰囲気。いやいや、トムは最初からフュージョン・トランペッターとして筋金入りだったんですけどね。

★★ 爽快さはOK
Tom Scott/street beat (1979)
 そりゃもう、ひたすら爽快なのです。西、東海岸両方のトップミュージシャンが参加して作られたアルバムですが、音は「超BGM」。晴れた休日のドライヴ・ミュージックにはもってこいサウンド。トム・スコットという人を前々からどうも一生懸命聴くことが無かったのは、このアルバムのようなイメージからか。サックスという楽器でありながら、ただメロディーを奏でるだけに終わらせてしまっているのです。全体的なサウンド作りに重点を置いたのはわかりますが、アーティスト性が薄くなってしまいこちらとしては「気持ちよく聴き流すだけ」になるのはいたしかたないところでしょう。歌心という面で同じ白人プレイヤーとしてサンポーンあたりと対極の位置にありますね。

★★ 消化不良ぎみで
TOPANGA EXPRESS/chansons america (1988)
 結局のところ、ラリー・ダンは何をしたかったのだろう?サッチモのようなヴォーカルがフィーチャーされたジャズ・シャンソンで始まり、これはご愛嬌、と思いきや、2曲目も同じペース。何だこれは?!シャンソンアルバムなの〜?と半分あきらめかけていたら、やっと3曲目で彼らしいシンセサイザーの音が。ローランド・バティスタら旧EW&Fのメンバーが参加していますが、サウンドはかなり落ち着いたシャンソン・ベースの曲が中心。貴重な記録ではありますが…。

★★★★ ブラック開花
TWENNYNINE featuring Lenny White/best of friends (1979)
 マイルス・バンドからリターン・トゥ・フォーエヴァーを経てソロ作ではアルバムごとにファンクやハードロックと言った幅の広い音楽性を見せていたドラマーのレニー・ホワイトがブラック・コンテンポラリーの表現を試みたグループ。ソロ作「streamline」から親交を深めていったEW&Fのラリー・ダンをここでも共同プロデューサーに迎えています。いきなり最初のナンバーからあの宇宙的なシンセサイザーが入ってくるところに思わずニヤニヤ。最後にインスト・フュージョンものを持ってくるところが少し中途半端(曲自体はEddie&Jorge del Barrioらしいホーンとストリングス・アレンジが効いてカッコイイ)ですが、今までにはなかったレニー・ホワイトのPOP感覚を見せつけた好盤。

★★★★ アナどれず
TWENNYNINE with Lenny White (1980)
 しかしまあ、こうなっちゃうとジャズはおろかフュージョンでもないのですが、レニー・ホワイトがボスですから彼の歴史を紹介するにはこちらでいいでしょう。二作目にあたる本作もラリー・ダンとの共同プロデュース。1stがブラコンをやりつつプレイヤー的な部分も残していたのに対しこちらではほとんどすべてダンサブルなヴォーカル曲で女性コーラスも多用するあたりどうやら本格的にポップ・フィールドに目を向けた音作りをしていますがなかなかどうして、かなり気持ちの良いノリになっていますね。決してヤワな作りのモノではないですよ。

★★★ ここち良い
TWENNYNINE with Lenny White/just like dreamin' (1981)
 これはそのトウェニーナインの全3作の中でもラストアルバムとなった作品で、もちろん全曲ヴォーカルトラックなのですが前作の力みの見えるダンサブルなものから一転、心地よいアーバン・ソウルとなっています。70年代初期から中盤にかけてアグレッシヴな活躍をしたドラマーが80年代前後にこういったブラコン展開をするのが流行りのようでしたが、レニー・ホワイトもその一人。そして、後にマーカス・ミラーバーナード・ライトらとジャマイカ・ボーイズを結成する流れとなるわけです。

★★ 最初はいいが
THE 24TH STREET BAND (1980)
 ハイラム・ブロック、スティーヴ・ジョーダン(!!)、ウイル・リー、クリフ・カーターらNYのトップミュージシャン4人によるバンド。一曲目の「shoppin’ round again」は名曲。さっすがハイラム・ブロック!しかし、この後の曲がどれもイマイチ…。日本サイドのプロデュースによる企画バンドだったようですが、それにしてもすごい面々ですね。今考えると。

★★  歌ものです
THE 24TH STREET BAND/share your dreams (1980)
 んで、日本企画によるこのセッション、フュージョン絶頂期に出るべくして出たグループであったのですが、好評のうちにすかさず本作の登場となるのです。おおっと今回はなんと全曲ヴォーカル入りのPOPアルバムではないですか。と、言うとわかりにくいかもしれませんがスタイルはNY式ポップ・ロックと言いますか、難解なコード進行やコケおどしのテクひけらかしなどはなく、4人の人柄が現れたような楽しむ音楽をやってくれてます。アルバム全体をさりげなく流していく雰囲気で、ガチッとつかみを入れるナンバーがなかったのが残念でしたが。

★★  スムースです
UNIVERSE featuring Dexter Wansel (1991)
 キーボーディストとしてのセッションやプロデュース、自らもリーダーアルバムを出すなどフィラデルフィア・ソウル界で活動をしてきたデクスター・ワンゼルのプロジェクト。ソウルと言うよりはかなりスムース・ジャズ的な作りなので一応こちらのコーナーで紹介します。さすがに音も新しくなっていますが70年代のワンゼルを知る人にとってはあまりにも「スムース」過ぎるようでいて妙に納得できる進化であったりもして。ラストではゲストにジーン・カーンを迎えてのヴォーカル・ナンバーとなっています。いつまでもどこまでも「異質のフィリー」なのですね。

★★ BGMには良い
URBAN KNIGHTS (1995)
 ラムゼイ・ルイス、今は亡きグローヴァー・ワシントンjr.の二大巨頭にオマー・ハキム、ヴィクター・ベイリーの若手強力リズム隊がガッチリ組んだゴージャス・セッション。全面的にモーリス・ホワイトがプロデュースを担当と言う事で、一曲目のポール・ジャクソンjr.のギター・カッティングなんかはもろ現代風「sun goddes」だったりで面白い。しかしそれ以外は曲作りにBill MeyersやWayne Vaughn、コーラスにオバサンになったエモーションズを使うなど、やや「あ、そういう事なのね」と感じざるを得ない部分もあったりして。音も心地良さ重視的な所が強く、やはりみんな丸くなっちゃったなー、というのが正直な感想かな。

★★★ 魔女降臨
Urszula dudziak/urszula (1975)
 ポーランドのスキャット魔女と言えばこの人。夫のジャズロック・ヴァイオリニストMichal Urbaniakの全面サポートによる75年の快作。初っ端の「papaya」はクロスオーバーな中に明るい曲調が楽しかったりするのですが、続くA面のモスキート三部作でさらに特有の生々しさが強烈に。その中の一曲目、ズバリ「mosquito」ではレジー・ルーカスがファンキーに弾きまくっています。歌と言うより、パワースキャット。楽器の一種のように聴くのがよろしいかな。

★★ ジャケは怖いが
Urszula dudziak/midnight rain (1977)
 前作よりもPOP感が増して聴きやすくなりました。一曲目「lover」ではいきなりちゃんと歌を歌ってます、が、やっぱりちゃんとスキャットも入り乱れてます。この人が今回の「ミスティ」のように普通に歌うとかえっておかしいですね(笑)。なのでここでも変態スキャットは健在。同じスタンダードのカヴァーでも「チュニジアの夜」での舌ベロハッスルぶりはすごい!

★★★ カッコ良しです
Urszula dudziak/future talk (1979)
 M・Urbaniakのプロデュース/アレンジはいずれも変わらないのですが、バック陣は毎回変えてくるようで、今回はバディ・ウイリアムス(ds)&マーカス・ミラー(b)の強力リズム・マシーンにケニー・カークランド(key)が参加と、当時の旬なNYサウンドが合体。魔女のパワー・スキャットはそのままに、よりクロス・オーヴァーしたセッションがとてもカッコ良い。10曲中4曲はバックなしの彼女の声だけで押し通すナンバーでこれも圧巻。

★★★ 名サイドメン
Wah Wah Watson/elementary (1976)
 セッション・ギタリストとして70年代から数多くのアルバムに参加して来たご存知ワー・ワー・ワトソン。しかしながら自身のリーダーアルバムは唯一これだけと言う貴重な音源がフランスでCD化されていたようで、地元のCDショップにさりげなく置かれていたものを見つけ思わず購入。幅広いセッション活動から培われた人脈による豪華な顔ぶれが集まり、黒っぽさガンガン、かつ多彩な曲調が楽しめるブラック・ギターアルバムとなっています。ジリジリ響く独特のワウワウ・ギターにタイトルも「まんま」の一曲目“Goo Goo Wah Wah”からまずは自己紹介。一転続く“love my blues away”や“my love for you comes and goes”ではメロウ・ソウルなヴォーカルを披露。決してうまくはありませんがなかなか歌心を感じるではありませんか。ラストの哀愁漂う“good friends”、かなり「I want you」しているのですが、そう言えばマーヴィンリオンの曲で印象的なフレーズを聴かせていたのはDavid T.だけでなく彼の存在も大きかったですよね。こんな作品は黒人ギタリストの自由な発想から作られたものとして、今でこそ広く受け入れられるものなのかもしれません。これはギターのみならず70年代のソウル・アルバムとしても楽しめますね。

★★★ 品があります
Warren Bernhardt/manhattan update (1980)
 前から聴いてみたいとは思っていたアルバム、めでたく再発となりましたようで。古きよきフュージョンの名盤ここにも。曲ごとにスタイルが変わるような節操の無いアルバムが多い中、これはウォーレン・バーンハートの持ち味である美しく清廉なアコースティックやローズ・ピアノを中心としたニューヨーク・サウンドでしっかり筋を通した作りになっています。一言で表すなら「上品なフュージョン」。中でも一番はやはり一曲目の「sara's touch」かな。バックはスティーヴ・ガッド、デヴィッド・スピノザ、マイク・マイニエリ、アンソニー・ジャクソン、トニー・レヴィンらが参加。このアルバムとマイニエリの「LOVE PLAY」を一緒に聴いて、流れとして深町純&NYオールスターズの「LIVE」で盛り上げていくのがベスト・マッチ。

★★ テクはないけど
Wayman Tisdale/power forward (1995)
 ご存知の方も多いと思いますが、とりあえずご説明しますと、この人は元NBAのプロバスケットボールプレイヤーです。で、今は左利きのベースマンという変り種というか、イロもの的イメージがありますね。しかし、曲調は結構渋く、ベースでメロディーラインを聴かせるスタイルは「テクニックのないマーカス・ミラー」(あっゴメン!)のような感じ。ブライアン・マックナイトがヴォーカルをとるスローナンバーもあり、心地良いですよ。

★★★メロるベースで
Wayman Tisdale/face to face (2001)
 4作目となる本アルバムは、もともと持っていたPOP志向をさらに強め、どれもヴォーカルが今にも入って来そうなニュー・ソウル仕立てのナンバーばかり。実際に歌入りの曲もあるのですが、そこはやはりベースプレイヤーのアルバムですからしっかりと弦でメロディーを奏でています。テクニックを見せるプレイヤーではないので、そういったアーティストを求めている方にはおすすめできません。タイトル曲と「can't hide love」のカヴァーがハイライトと言えます。うん。良いです。

★★★ 黒々してる
WEATHER REPORT/black market (1976)
 次作が言わずと知れたウエザー・リポートの頂点とするならば、本作品も勢いを感じさせる裏(でもないか)名盤と言えるでしょう。ジャコが参加したのもこのアルバムからですが、2代目のアルフォンソ・ジョンソンも独特のグルーヴで良い味を出しています。この頃はマハビシュヌにも参加したりしてハードなプレイを見せていたナラダ・マイケル・ウオルデンが曲によって叩いていたりと、一貫性のないところに好き嫌いはあるでしょうが、まあ基本的にはザヴィヌルのバンドですからね。

★★★★ 一度は
WEATHER REPORT/heavy weather (1977)
 「birdland」も、「teen town」も、そして、Jaco Pastoriusが生きていた。そう。このアルバムがウエザーリポートの最高傑作でしょう。これは間違い無く名盤。ザヴィヌル、ショーター、ジャコ、アクーニャ、バドレーナ。説明不要。名曲多し。フュージョンファンなら必聴!

★★★ するどいライヴ
WEATHER REPORT/8:30 (1979)
 名作、名曲も誕生し、乗りに乗っていたウエザー・リポートが満を持して発表した2枚組ライヴ。一曲目のブラック・マーケットからぶっ飛ばされます。ジャコ・何だこいつぅ〜?とですね。ラストのスタジオ録音4曲を除きジャコのベースソロ以外は前アルバムに収録されていたものですが、やはりそこはライヴらしくまったく別物の輝きを放っていますね。個人的嗜好から歴史のほんの一部分しか興味を持てなかったグループでしたが、このころのアルバムは文句なしにおすすめ。そういう人、多いんじゃないかな?

★★★  豪華!
celebrating the music of WEATHER REPORT (2000)
 ジャズ・フュージョン界のスター・プレイヤーによるウエザー・リポートのいわゆる「トリビュート盤」。初っ端はやはり「birdland」。他も代表曲ばかり。書ききれないくらい、とにかく参加メンバーが豪華&大勢!なにしろほとんどの方がソロ・リーダーアルバムを出しているくらいの方々ですから。もしもCD店で見かけたら手にとってみてください。音は比較的ソフト系です。

★★★ ソウル色です
Webster Lewis/8 for the 80's (1979)
 CBS/EPIC/COLUMBIAといったレーベルが好きな方ならご存知の方も多いはずのウェブスター・ルイス。ジャズ系アーティストからのソウル盤ここにもですね。ストリングスも入ったゴージャスなナンバーで始まり、いやがおうにも期待が膨らみましたが続く“give me some emotion”がガラッとまた渋い。まいった。BOZ SCAGGSが歌っていてもおかしくない程のクールな曲調。そして“the love you give to me”ではハービー・ハンコックの色が良く出た長いエレピソロの効いたミディアム〜スロー。こんな曲は鍵盤奏者ならではって所で、ジャズ畑だった人が作るブラックを私が好むのもそんな理由からだったりします。このアルバムはそのハービーとの共同プロデュースなのですが、特有の粘っこいグルーヴを聴けるのが6曲目の“go for it”。全体としてはボーカルをフィーチャーしたPOPな内容であると共に、さすが手のこんだアレンジが嬉しい一枚。80年代のさらに垢抜けたアルバムも好きですが、ソウル盤として楽しむには泥臭さも持ち合わせたこちらに軍配。再発CDはその81年作の三曲がボートラとして収録されています。

★★★ ブラコン系
Webster Lewis/let me be the one (1981)
 なかなか気持ちの良いソウルをやってくれる鍵盤アーティストだったのですが、技術力やアーティスト性のない(見せない)ソウル&ディスコ・フュージョンは当時のアメリカでちょっとしたブームがあっただけで日本ではよっぽどの人でない限り評価はされませんでしたね。EPICから出ている盤だけあって曲も雰囲気も決して悪くはなくなかなか聴けるアルバムです。特にあのSkip Scarboroughのプロデュースした大部分(10曲中6曲)のナンバーは好きな方ならウットリかな。バックもハービー・ハンコック、ジェームズ・ギャドソン、ネイザン・ワッツ、ウイリー・ボボなど、ギターはDavid T. Walker,にMarlo Henderson,Charles Fearingなんて懐かしい名前がズラリと。

★★ POPギター系
Wilbert Longmire/sunny side up (1978)
 ボブ・ジェームスが立ち上げたタッパン・ジーレーペルから発表されたポスト・ジョージ・ベンソンとも言えるギター・フュージョンの懐(?)作。今では御歳70歳にもなるベテラン・プレイヤーの40代の頃の作品ですが、レーベルの顔にするべく力を入れた感があり、ポップなギター・フュージョンの新たなスターとしてウイルバート・ロングマイアーの名をステップアップさせたかったのでしょう。音はスタッフの感覚に近いニューヨークサウンド。それもそのはずバックはキーボードにB・ジェームスの他リチャード・ティー、サイドギターにエリック・ゲイル&コーネル・デュプリーですから。そしてリズム隊はハーヴィー・メイソン&ケイリー・キングでガッチリです。一曲目の中で女性コーラスが「イェー」と入る所は笑っちゃいますが時代ですね。

★★★ まさにラテン系
Willie Bobo/hell of an act to follow (1978)
 ラテン-ジャズパーカッショニストのウイリー・ボボが78年にCBS系のコロンビアからというと、期待通りの良い意味で洗練された音を出してくれました。ロニー・ロウズの「always there」で幕を開ける本作、少し黒っぽい雰囲気を滲ませるラテン・フュージョンが心地良いですね。ウエイン・ヘンダーソンのプロデュースがここでも良い仕事をしています(2曲目は「keep that same old feeling」をカヴァー)。バックもBobby Lyle、Nathan Phillips、Roland Bautistaらブラック/ラテン系アーティストがサポート。インストと交互に挿まれるボボの歌声もさりげなくメロウでいいですねー。

★★★ トロピカルッ
Willie Bobo/BOBO (1979)
 さらにコロンビアからの2発目はウイリー・ボボ自身がプロデュースを行い、“BOBO”のグループ名義アルバムとしたようで。ローランド・バティスタを引き続きゲストに迎え独特のカッティングが初っ端の「palos」から大活躍!この人抜きにはこのアルバムは有り得なかったかも。前作はW・ヘンダーソンらしいブラック・フィーリングを感じましたがこちらは爽やかな青空と海を感じさせる雰囲気。こんなトロピカル・タッチの音はどことなく日本のフュージョンと似た所がありますね。夏のドライヴ・ミュージックにもいいかな。

★★★ 腹八分で
Wilton Felder/inherit the wind (1980)
 ジョー・サンプルやスティクス・フーパーらと共同プロデュースした、クルセイダーズ・プロダクション黄金期の頃のアルバム。音はクルセイダーズながらさらにファンキー・ポップを自由にやっている感じ。タイトル曲やダニー・ハサウェイのカヴァー曲ではボビー・ウーマックがヴォーカルをとり、キーボードは全面的にジョー・サンプルなのが嬉しいね。しかし、一曲が5分〜7分と長いんだけど全部で6曲だけとは、この手の楽しいサウンドではチト物足りないね。

★★★ もう2曲くれっ
Wilton Felder/gentle fire (1983)
 母体クルセイダーズが実質的にジョー・サンプルとの二人だけとなり、各人がソロ作を精力的に発表し始めた頃にその盟友と共同プロデュースし作られた本作。そんな点でも前作と同じ路線と言えます。テイスト・オヴ・ハニーをゲストに迎えたタイトル曲はその歌声もセクシーなファンキーPOP。しかしその後は一転W・フェルダーのサックスがフィーチャーされたクルセイダーズ・サウンドが中心の、やはり残るべくして残った二人といった印象で安定感はさすがですね。ただ、前作同様この内容で収録曲6曲だけとは寂しい。2in1のCDが出たら間違いなくオススメ。

★★★ カラフルな音
THE WRITERS (1978)
 ラルフ・マクドナルドを中心としたNYミュージシャンによるポップグループ。いかにもニューヨークっぽいボーカル曲がメインです。全員が曲を書くので「WRITERS」としたそうな。「STUFF」を意識してのバンド名かと思っちゃいますよね。メンバーは他にA・ジャクソン、H・マクラッケン、J・ミロノフ、J・ピータース、F・フロイドら当時の名手が。音もラルフのパーカスはもちろんのことフランジャーっぽいアタッチメントを通したアンソニーのベースが懐かしいです。

★★ 聴けますよ
THE WRITERS/all in fun (1979)
 なかなか好評だったのか一年の間を開けて発表されたライターズの2nd。メンバーも変わらずさらにヴォーカルナンバー中心のソウル・フュージョンとなっています。それぞれが曲を持ち寄っているため、全体的な構成に一貫性がないのが難点。それというのもギター担当の二人だけが白人なので彼らが中心となる曲とブラック・ソウルな曲との相性が少し悪いのかも。バラエティに富んではいるのですがバラバラな感じがしますね。それぞれの曲を取り出してみると結構手が込んでいてイケルのですが。

★★フュージョン好きに
YELLOWJACKETS (1981)
 リーダーRussell FerranteのキーボードにJimmy Haslipのベース、なんでもアリの黒人ドラマーRicky Lawsonのトリオバンド。これにロベン・フォードがフィーチャーされているという事で思わず買ってしまいました。このバンドは後にどんどんサウンドがマニアック化していくのですが、1stということで、とりあえず解りやすい音作りをしているようです。

★★ まだ、若いか
Yutaka Yokokura/love light (1978)
 琴や尺八を中心とした邦楽器と、ニューヨークのクロス・オーヴァーミュージックとの融合を試みてデビューした横倉裕の1stアルバム。デイヴ・グルーシンの強力なバックアップがあったようです。インスト曲は日本的な話題の時とかに良くテレビのBGMとかで使われていました。
'70s和製ブラジリアン・グルーヴNOVO/novo completeコチラ

★★★ いいね。
YUTAKA (1988)
 GRPの全面バックアップを得て、横倉裕がついに全米デビューを果たした2nd。日本人アーティストとして、琴をメロディー楽器に使用するなど、いかにもわかりやすいasian−popfusionというスタイルになっています。前作よりもより洗練されたサウンドで、この作品から元シーウインドポーリン・ウイルソンがボーカル参加。

★★★★ 綺麗な音
YUTAKA/brazasia (1990)
 琴などの和楽器と、アメリカンポップフュージョンを結びつけるという、いかにもアメリカ受けをするサウンドを狙っていると思ったら、今度はブラジリアン・サウンドとも結合してしまいました。バックもOscar Castro Neves等本国のミュージャンが参加して、ごった煮的な音と思いきや、これがまた絶妙のバランスで耳心地の良い音になっています。

★★★★ センス良し
YUTAKA/another sun (1993)
 相変らずセンスのいいアレンジで、この作品でついに憧れのセルジオ・メンデスとの共同プロデュースを果たしました。心地良い佳曲揃いでハズレなしって感じなのですが、この人の失敗は、あくまでも自分のヴォーカルにこだわったことかな。正直言って歌はうまくないです。せっかくasian−fusionの世界を確立したのだから、ヴォーカルは他にまかせて、アーティスト、プロデュースに専念したほうが成功したはずです。この後、この人の作品は出ていませんが、早くどこからか復活をしてほしいものです。

★★ 過去現在未来
THE ZAWINUL SYNDICATE/THE IMMIGRANTS (1988)
 もう70歳にもなるベテランキーボーディスト、ジョー・ザヴィヌル。ウェザー・リポートのリーダーと言ったほうがわかりやすいですね。これはWR後の彼のプロジェクト。民族音楽的アプローチなどWRよりもより広い視野での音楽作りがされているようで、PAGESのリチャード・ペイジが歌う「shadow and light」はスローナンバーのWRサウンドにヴォーカルを乗せているようで叙情的です。「マーシー・マーシー・マーシー」の再演では一転ファンキーナンバーとなり、オーストリア生まれの彼がアメリカに渡り自己の黒人化を進めた背景が感じられますね。演奏技術やメロディーで押すタイプではないだけに好き嫌いは分かれるサウンドではあります。

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