[D〜K]


★★★★ナニモンだ?
D'Angelo/brown suger (1995)
 音楽の楽しみ方も人それぞれですが、まず若くしてこの才能、に驚きですね。ソングライト、アレンジ、プロデュース、そしてヴォーカルとバックのほとんどの楽器もこなしてしまいます。リズムはどうやら打ちこみのようですが、逆にこの間の空いたスカスカ感が今のソウルを象徴しているようで、ルックスともどもツボにバッチリはまってしまった感じ。ワンマン・ショーもいいですが、他の才能とのコラボレーションも興味が沸くところですね。

★★★★ 歌良い 
Damion Hall/straight to the point (1994)
 あ、これはなかなかの掘り出しモノ。アレンジも品が良くて、ボーカルとメロディーの良さでアルバム全体を通して良く出来ています。メロディーラインが頭に残るアーティストって、この手のものでは少ないんですよねぇ。レオン・ラッセルの「a song for you」では現代のダニー・ハサウェイか?後半の展開がとても良い出来になっています。

★★★ 気持ちいいです
David Williams/take the ball and run (1983)
 セッション・ギタリスト(だったっけ?)のデヴィッド・ウイリアムスが出したソロ・アルバム。中身はと言うと聴いてあらびっくり。結構良く出来たブラック/AORアルバムだったりするからこりゃー、いいの拾ったな、という感じ。83年というとAORはブームが終焉となりそんな中埋もれて行った作品という事になりますが、メロディアスなスローナンバーはセンスが良いし、プログラミングを使った「次の時代のブラック」にもアプローチ。時代の狭間で工夫を凝らし作られた作品だと思います。彼のカッティングギターとヴォーカルを中心にビル・マイヤーズ、ジェフ、マイク、スティーヴ・ポーカロ兄弟、ネイザン・イースト、カルロス・ヴェガやベースを弾いたジョージ・ジョンソンなどバックメンも豪華。聴けますよ。

★★ ソツはないけど
DAYTON/hot fun (1982)
 ファンクよりどちらかと言うとブラコンテイストなソウルが中心のこの3rd。“krackity-krack”や“gunch”のようなエレクトリックファンクもありますがやはりやや甘目。様々なスタイルのブラコンを器用にこなす所は良い(ラストの“movin' up”はすぐわかるEW&Fのパクリ!楽しいですけどね)のですが、バンドとしての強力な個性がないのが痛い。次作の“the sound of music”のような目玉となる一曲でもあったらなぁ。軽く流す感じの、平均点的アルバム。

★★★ ダンス&ソウル
DAYTON/feel the music (1983)
 80年代もそれこそ前半、エレクトリカル/ヒップポップ時代が本格化する前の'80s・ファンクで良質なグループと言えばこのデイトンも。一曲目“the sound of music”ひとつとっても懐の広いメロディアスなダンスナンバーが力量を感じさせますね。コーラスの入れ方やアレンジが洒落ていて、これがオハイオのバンド?みたいな良い意味でのイメージ違い。もう一つの聴き所はRoger Troutmanがプロデュースした“love you anyway”。急にロジャー色になりますがここでもメロを効かすヴォーカルとの調和が素敵。ブラコン好きにも是非。

★★★ タイトル通りで
Debra Laws/very special (1981)
 ヒューバート&ロニー兄貴のプロデュースによるロウズ・ファミリー末娘のソロ・デビューアルバム。一発目はこれぞロニー・ロウズラリー・ダンコンビ!と言わんばかりのクールなファンキー・チューン。アニキ独特のサックスやL・ダンの宇宙的シンセが絡んでくるところはおなじみの展開ですね。しかしこのアルバムが素敵なのはロニー色で押すだけでなく、「meant for you」、「your love」での女性ヴォーカルの良さを生かしたフリー・ソウルな部分を見せるところなのかも。有名なタイトル曲ではロニー兄貴もヴォーカル参加でこれがまた渋い。売れセンを意識しつつも音楽性の高い作りはさすがクロスオーヴァーな兄弟の力、といったところでしょうか。

★★★ キモチヨイ
DELEGATION/eau de vie (1979)
 UKブラック・ヴォーカル・トリオが70年代の終わりに発表した2ndが日本で再発。当時流行していたスタイルのアメリカン・ソウルの影響により、その良さを忠実にUKミュージック・シーンにおいても受け継いだ感のある極上のナンバーが続きます。プロデュースはKen Gold。そして収録曲のほとんどは彼とMicky Denneの白人コンビ(DENNE&GOLD)の作と言うところは、サウンド的にもブラックミュージックの影響を受けた日本人が当時作っていた音に似たような所があり、今の日本とUKのレア・グルーヴ人気を考えても共通性が感じられて面白いです。全面的にギターで参加のロバート・アーワイがカッティングするメチャ・シック風の曲を中心にアルバム後半もこれでもか!と言うくらい怒涛のダンス・チューンの連打。キモチイイですね。

★★★ 良い時代だね
Deniece Williams/when love comes calling (1979)
 モーリス・ホワイト設立ARCコロンビアからの79年作という所ではエモーションズの「come into the world」と比べると面白いアルバム。同時期でデヴィッド・フォスターのプロデュース、バッキングもTOTOの面々を中心に(一部旧友レイ・パーカーJr.プロデュースもあり)と言うとどうしても「I AM」的な音を想像してしまいがちですが、ジェレミー・ラボックのストリングスアレンジが感動的な「touch me again」などでも感じられる通りここではしっかりとデニース嬢自身の魅力を考えたヴォーカル・アルバムとなっています。タイトル曲はもろ、ファンキー・フォスター節なんですけどね。

★★★ つまりは良い
Dexter Wansel/life on Mars (1976)
 デクスター・ワンゼルと言えばまずこのアルバムということになるのでしょうか。MFSBのサポートとなったらズッポリその筋のフィリー、と思いきやそのホーンやストリングスの効いた一曲目はゴージャスな中にも緊張感のあるクールなナンバー。どこか当時の事件物ドラマのテーマっぽい作り。いや、それがバッチリ(笑)。挟まれるヴォーカルナンバーはホッとされつつも全体を通してそんな濃厚な曲調が占めていて、キーボーディストと言うよりは音楽家としてのトータルアルバムなんだろうなあ。つまりは、かっこいいのです。

★★★★ PSロマン派
Dexter Wansel/what the world is coming to (1977)
 俺はフィリー・ソウルの中だけで終わるミュージシャンではないぞ!みたいな奥の深さを見せた一曲目のインストルメンタル、なんて感動的なんでしょう。しかしリズム隊を中心とするサイドメンがどうも地元完結型の個性に乏しい方々ばかりでイマイチ評価に結びつかなかったところが残念でしたね。作る曲はかなり良いので本当に惜しい。ジーン・カーンの歌う「dreams of tomorrow」がこの傑作のハイライト。マリリン・スコットがアルバムタイトル曲としてカヴァーしたほどの名曲です。

★★★ PSフュージョン
Dexter Wansel/voyager (1978)
 フィリー・ソウル界のクセ者キーボーディスト、デクスター・ワンゼルの3枚目。78年ともなれば録音機器、技術もだいぶ良くなって、音全体が垢抜けてきましたね。まあそれでもかなり泥臭さはあるのですが。70年代ってご存知時の通り大雑把な音楽カテゴリーの壁を取っ払っちゃう動きがあって、それがジャズ方向からクロスオーバー・フュージョンのアーティストが出てきて大当たりしたのですが、この人はソウル方向からクロスオーバーしちゃってる人だったのです。全体ではゴリゴリのチョッパーベースで押し通す一曲目のようなソウルですが、タイトル曲のスリリングなフュージョンインストルメンタルを聴くと「ああ、目指しているなあ」と感じざるを得ませんです。

★★★ フィリーファンクJR.
Dexter Wansel/time is slipping away (1979)
 そうそう。やっぱこのストリングスを入れなくちゃPIRのアルバムじゃないよねって感じで始まる本作。今回は無理にジャズ的なアプローチをせずにソウルを基調としつつ、よりファンキーなサウンドで親しみやすくなっていますね。ほとんどが歌入りですが、インストなんかもろそのものの「funk attack」なーんて言っちゃうくらいですから。POP度さらに五割増しってところです。ジョーンズ・ガールズもしっかりとコーラスで参加。
UNIVERSE (featuring Dexter Wansel) はコチラ

★★★ おもろカヴァー
DJ SPINNA & BOBBITO/the wonder of stevie (2003)
 SPINNA&BOBBITOによるスティーヴィー・ワンダーのカヴァーを集めたコンポジションアルバムです。二枚組になっていてDISK1はDJミックス、2はストレートなコンポジションで構成されていて、二枚とも収録曲は同じなのですがミックスとストレートで曲順を変えているところは細かい配慮がなされているようです。70年代の音源からを中心に集められているようで、ホセ・フェリシアーノやキューバ・グッディングの居たMAIN INGREDIENT、ヒューゴ・モンテネグロなど選曲が渋い。名曲「as」はジーン・ハリスのカヴァーで楽しめ、これも今CDとして聴けるのは貴重なようです。ノーマン・ブラウンラムゼイ・ルイスなど馴染みのあるカヴァーも入っていたのですが中でも懐かしかったのはシダー・ウォルトン唯一(?)のフュージョン「animation」からの「another star」。何か面白いアレンジで頭に残っていましたが20年(以上?)ぶりに聴いて、一生懸命音楽を収集(カセットテープに録って・笑・)していた学生時代を思い出してしまいました。スティーヴィーはカヴァー曲でも本当に奥深いですね。うんうん。

★★★★ AOR的です
Dionne Warwick/friends in love (1982)
 ジェイ・グレイドンプロデュースの、1枚まるごと彼の「らしさ」あふれる名盤。D・ワーウィック自身については特に思い入れが無いのであえてここでは何も言えませんが、ジェイ・ファンにとって最も愛する時代に発表されたものであり、と共にその時代の終焉を感じさせるものであった作品でした。一曲目の「for you」からそのハーモニック・ギターといい、シンセの音色と言い、一時代を象徴する不滅の音がちりばめられています。「can't hide love」のカヴァー、一聴してStevie作とわかる「with a touch」等、アルバム後半もダレずに良い曲がめじろおしな大変聴き応えのあるアルバム。歌唱力のあるシンガーのプロデュース作品と言う点で、アル・ジャロウの名作2枚ととても良く似た雰囲気がありますね。

★★ 良くある系
Donell Jones/my heart (1996)
 バックは打ちこみ系のミディアム・ブラコンアルバムです。スティーヴィーの「knocks me off my feet」のカヴァーがあったので思わず購入。ただ、他の曲は可も無く不可も無しってところでしょうか。正直、このタイブの曲にはもう食傷ぎみですねぇ。

★★★★コレクション
Donny Hathaway/collection (1990)
 リアルタイムでは聴いていなかったアーティストなので良く知らなかったのですが、やはりカジッておかなければならない人でしたね。前から「this christmas」は気になっていたもので。今でも生きていたならどんな歌が聴けていたのだろうと思いますね。入門用の一枚です。

★★★★名ライヴ盤
Donny Hathaway/live (1972)
 これがまた渋いんだよなー。マーヴィン・ゲイの大名曲「what's goin' on」で始まり、キャロル・キングの「you've got a friend」のイントロではオーディエンスが大騒ぎ。後半はコーネル・デュプリーやフィル・アップチャーチといった往年の名脇役とのジャム・セッションになっちゃってます。クラブ的な小会場でのライヴだと思いますが、貴重な、とても生々しい彼の歌が堪能できる一枚です。

★★★★ 涙モノです
Donny Hathaway/these songs for you,live! (2004)
 名盤「LIVE」からの数曲と、未発表のライヴ音源を含む構成で新たに発表されたアルバム。言わずと知れた「LIVE」はソウル好きによるソウル好きのための…的な内容であったのに対し今回は「someday we'll all be free」などを含むダニー自身のペンによるメロディアスなナンバーを頭の3曲に持ってきたり、「yesterday」や「superwoman」といった未発表カヴァーなど今の耳で聴いてもまさに「新たなライヴ名盤誕生」と言わざるを得ない。そしてこちらでは歌だけでなくダニーのピアノ・プレイがずいぶんと楽しめる内容となっていて、アーティストとしての彼をあらためて感じさせてくれます。さあ、たまには感動しましょうよ。

★★★聴かせますが
El DeBerge/gemini (1989)
 アイドル・グループ「デバージ」の頃から一時は「モータウンのマイケル・ジャクソン」とまで期待されたアーティストでしたが、結果的にはビッグ・アーティストになるどころか白人アーティストに力を借り続けたブラック・シンガーとして時代とともに姿を消して行ってしまいました。どうせなら思いっきりド派手ロック調の曲でも発表して思いきったプロモーションをかければよかったのでしょうが、アーティストカラーから言って無理だったのでしょう。彼の作るメロディーはなかなか泣かせる部分もあり好きなのでとても残念なのですが。

★★ ハデハデねぇ
El DeBerge/in the storm (1992)
 なんとも賑やかなジャケット。音もジャケに負けないくらいカラフル、って思ったらプロデュースは自身と共にモーリス・ホワイトだった。interludeがいくつも入っていると思ったらやっぱりね。この間奏曲を含む全19曲のボリュームたっぷりの一枚。かなりダンサブルではありますが、この人の良さはタイトル曲のようなスローナンバーで一番生きてきますね。やっぱり。

★★★  密かに
El DeBerge/heart,mind&soul (1994)
 タイトル曲は、うわうわ、いかにも「I want you」あたりのリオン・ウェア・グルーヴです。テケテケテケテケテケってギタースライドに思わずニヤニヤ。やはり、ここらあたりをさりげなく崇拝しているアーティストっているものなんですね。ちなみに、FOURPLAYでも彼がヴォーカルをとってリオン・ウエアのカヴァーを歌っていました。

★★★ 歌姫的推薦盤
Elisha La'Verne/sensuous (2002)
 R&Bにしてもそうですが、どうも最近「イイなあ」と思える音楽はUKから来るものが多いですね。と、いうのはアメリカのマーケットで受けるものは自分としてはちょっと違う方向に進みつづけているようで、インディ・レーベルからのものでやっと合う音があったりして、お国柄いたしかたないところではありますが。このエリーシャの新作もアメリカならインディー扱いなのかな、と思いつつも自分としてはツボにうまくはまってきまして、全編統一されたムードでオーガニックソウル(いまだに良くわからん言い方ですが)を聴かせていただけてごっつぁんでした。

★★★★ うわ、出た
THE EMOTIONS/sunbeam (1978)
 ノリにノっていたモーリス・ホワイト絶好調プロデュースの快作。ここではのっけからモーリスとアル・マッケイによるど・アースなナンバーから幕を開け、スローナンバーが絶妙のタイミングで入りつつも黒っぽさが効いたファンキーな内容で全体を占めています。同時期(「太陽神」〜「BEST vol,1」)のアースサウンドをよりカジュアルにしエモーションズを盛り上げていますね。次作はまんま「I AM」だけにこちらの音の方が個人的には好きかな。デオダートの「spirit of summer」をヴォーカル・カヴァーしているところなんか本当に母体と平行して音作りをしてますね。

★★★ そのまんまだね
THE EMOTIONS/come into our world (1979)
 EW&Fの持つ音楽性を他のアーティストによって表現してもらうためにカリンバ・プロダクションがあった、と言うことであれば、所属アーティストの中でそれを最も忠実に表していたのがこの「アース・シスターズ」であるエモーションズでありました。デヴィッド・フォスターなど白人ミュージシャンが参加した79年のこのアルバムは、アースで言えば「I AM」をそのまま移植した形(特にB面の雰囲気)であり、あの頃のアースや、大定番AORが好きな人にも同じように楽しめます。

★★★ これも密かに
Eric bene't/a day in the life (1999)
 メロディー重視のなかなかしっとりとした歌声を聴かせてくれます。と、思ったら1曲だけですがロイ・エアーズ参加!渋い!まだ若いのに。なーんちって。TOTOの「georgy porgy」なんかもカヴァーしちゃっているところも、音楽性の広さを感じさせますね。

★★ どうなんでせう
Esther Williams/let me show you (1976)
 直近に発売されたばかりの再発モノもたまには聴いてみようかな、と購入したのがこれ。知らない人でしたがやはり「last night changed it all」は耳にしたことがあった。このインパクトのあるアレンジはたしかに頭に残る。全体としてはかなり懐かしいディスコティックなビートで、すこし泥臭い音質も効果をかけてクラブで流せばかなり合ってしまうのかもしれません。僕にとってはこれはB級歌謡ディスコ。当時の日本でもあったような音ですよね。ちょっとルーズなベースや、一生懸命おかずを入れているドラムがちょっと痛々しいかな。なぜかヤマタケや筒美京平が偉大に思った、2004年の秋でした(笑)。

★★★★
AOR的でも
Finis Henderson/finis (1983)
 特に日本ではブラック、AORファン両方からから絶大な人気を誇ったアルバム。しかし肝心の本国ではルックスと売りこみの弱さで惜しくも一枚で消えて行ったアーティストとなりました。プロデュースはアル・マッケイ(!)。とにかく、EW&FTOTOのメンバー等バックが豪華で、ブラックAORの名盤と言えるでしょう。

★★★ おおっこれは
Frank McComb/love stories (2000)
 この節回しはまさに、70年代のスティーヴィー・ワンダー。もろ、影響を受けまくりのメロディー。スロー&ミディアムナンバーだけの構成で賑やかな曲調が好きな方には物足りないかもしれませんが、プロデュースもあのブランフォード・マルサリスですから全体的に落ち着いた雰囲気の上質なヴォーカル・アルバムとなっています。好きな人が聴いたらニヤリものですよ。

★★★ まんまワンダー
Frank McComb/the truth (2003)
 今回はイングランドの名レーベルEXPANSIONからのリリースでした。スティーヴィー・ワンダー・フォロワーは何人も居るようですが、中でもこの人は筋金入りっていうか何と言うか。作る曲のメロディー、アレンジ、歌い方、そして声質まで何もかも、「まんま・70年代スティーヴィー」なんですよね。「cupid's arrow」なんか、ファースト・フィナーレの「bird of beauty」とそっくり。前作はブランフォード・マルサリス・プロデュースの落ちついたヴォーカル・アルバムでしたが、今作はさらにグルーヴィーなアップナンバーもあり、アレンジが華やかになりました。しかも打ち込みではなく生楽器にこだわるUKブラックで、ベースに一時日本で活動していたような(?)Bobby Watson、キーボードにBilly Prestonなんて懐かしい名前も発見。

★★★ ミニアース
FREE LIFE (1978)
 EW&Fの影を大きく感じる音、ここにもアリ。これはその後ジョージ・デュークと行動を共にするCarl Carwellが在籍していたグループで、プロデュースはP・ベイリーとエンジニアとして有名なTommy Vicari。なるほどー、スプレンダーと同じ繋がりですね。肝心の音はやはり懐の深いファンク・ソウルで、ホーンを強調しないアースと言ったところ。総勢9人の大所帯とはいかにも70年代らしいですね。全員キレイな丸ーいアフロヘアーが見事!

★★★★シブイケ系
THE GAP BAND (1979)
 どこか笑えるこのジャケット。ギャップ・バンドのファーストアルバムです。しかしすばらしいですこのグルーヴ感は。もちろん打ち込みなんてない頃のソウルバンド(まあ3人組なので今で言うとユニットなのかな)ですから、ギターやベースを生かしたコテコテのやつですね。でもでもでも!カッコいいです渋いです。おっAORかと思わせるようなアレンジの曲もあったりして、ビル・チャンプリンあたりが歌ってもバッチリはまりそう。独特のギャップ・グルーヴはこの後2nd,3rdもしっかり引き継がれていきます。とても好きなバンドのひとつ。

★★★ 好き?
THE GAP BAND/II (1979)
 GAPはどこか不思議なんですよね。基本的にはディスコサウンド的ブラックなのですが、バラードとかに白系POPSの香りがするのです。これって、歌い方もそうなのですが、スティーヴィー・ワンダーの影響をかなり受けているようです。「you are my high」はインパクトのあるバラードでした。

★★★ ファンキー 
THE GAP BAND/III (1980)
 ディスコティックサウンドと、ミディアムバラードのバランスのとれたスタイルがGAPの良さ。ここでもミラーボール系はガンガンに、チーク系はメロディアスにしっかりと決めてくれます。スティーヴィー・ワンダーを思わせる歌も健在。

★★★ シャレてます
THE GAP BAND/IV (1982)
 名曲「early in the morning」。良くFMでかかっていたものです。この人達がなぜお気に入りかというと、アレンジのセンスが抜群に良いところですね。もちろん基本的にはファンク/ソウルバンドですが、変に小難しいアーティスト性とかがない親しみのもてる音のわりには、ところどころ懐の広さを見せ付けてくれるアレンジがあったりしてニヤニヤさせられちゃうわけです。そこがゴマンと転がっているB級ソウルバンドとは一味どころか二味以上違うところですね。

★★★★これがピーク 
THE GAP BAND/V jammin' (1983)
 実はGAPの中で一番好きなアルバムです。オープニングにインスト曲を持ってくるところなんかセンスがいいですね。例によってバラエティに富んだ曲構成で、「カッコイイ&楽しい」一枚です。「I’m ready」がいいですね。GAPもここまでのアルバムならいいと思います。

★★イレギュラー作品
THE GAP BAND/testimony (1994)
 確かに、チャーリー・ウイルソンが歌っているのですが、正規のギャップ・バンドのオリジナルアルバムとしては、ちょっと違うのではないかなと思われるアルバムです。落ち着いたR&B中心で全然ギャップらしくない雰囲気なんですよね。それはそれでアルバムとしては悪くはないですけどね。これならチャーリーのソロアルバムのほうが出来が良かったかも。 

★★ 個性が欲しい
GARY/inner city blues (1994)
 打ちこみ中心のセルフ・プロデュースアルバム。マーヴィン・ゲイに強い影響を受けているようで、サウンドの随所にそれがうかがえます。もちろんカヴァー曲もあり。じっくりと聴けますが、これといって特筆すべきものがないのがちょっと寂しいですね。

★★ ありがちで
Gerald Levert/groove on (1994)
 スウィートメロウ・グルーヴが好きな人に。表情からも温かさが伝わってきますね。全編聴かすヴォーカルで溢れています。ファンクやRAPで耳と頭が疲れてしまった時には、こういった癒し系のアルバムはどうだ!

★★★曲がいいです
Glenn Jones/here i am (1994)
 1曲目は合格。これでつかみはOKですね。打ちこみと生ドラム録音の曲が半々でアレンジもさりげなく渋い味が出ていて(サックスなんかも使っちゃってます)意外と好感のもてるアルバムです。ルックスはけっして「カッコイイ」という部類の人ではなく、それよりも、センスの良いアダルト・ソウルを求めている時にはこの人がズバリはまりそうです。

★★★ 痛快な一枚
HIGH FASHION/feelin'lucky (1982)
 化粧をする女性の前に男女メンバーの写真(?)があるという、お世辞にもセンスが良いとは言えないジャケットや、「ハイファッション」なんてすごいグループ名からも胡散臭い雰囲気がありありでしたが一発目の音を聴いて見直し。なかなか洒落たダンス&ソウルなのでした。バックも打ち込みなしの、ヨギ・ホートンやバディ・ウイリアムスらのツワモノを揃え、ノリの良さとコテコテではない軽さを備えたNYサウンドになっています。良くありがちな音ではありますが最後までダレずに流れていく痛快さはなかなか。スローナンバーがひとつもないのは大正解。

★★★ ブラコンなのだ
Howard Johnson/keepin' love new (1982)
 NITEFLYTEのハワード・ジョンソンが80年代に入り発表したソロアルバム。ここではよりマーケットを意識し、ある意味徹底したブラック・コンテンポラリー路線をとっており、AOR好きには名盤となっているが、黒人の作る音としてはグルーヴ感やスピリッツが乏しいともとれるNITEFLYTEの2枚よりもターゲットを絞り、アーバン・ソウルな作りとなっています。ただ、全体としてはやや「ありがち」なブラコンと言う印象はあります。後の超80’s、JOHNSON&BRANSONよりはこちらの方が好きですけどね。やはりここではカシーフのセンスが光るタイトル曲が一番。

★★★ イケル奴ら
INTRO (1993)
 なかなかこのINTROっていう奴らもあなどれなくて、今聴いても10年前のアルバムとは思えないクオリティの高いアルバムですね。コーラス面でテク効かすって感じではなくて、あくまでもヴォーカル・グループなんですが、曲が良いので飽きずに最後まで聴かせてくれます。良いグルーヴしてますよ。出したアルバムがこれと次の2作だけとはちょっともったいないですね。やっぱり解散したのかな?アーティストの近況とかってあまり興味ないので調べてないんですが。

★★★ けっこうイイ
INTRO/new life (1995)
 3人組のヴォーカルグループなんですが、ジャケ写の顔つきはどいつもこいつもみんな悪そう!短髪の黒人はコワイですなー。でも、音の方はそんなイメージを覆す甘い歌声、コーラスワークが光ります。ボビー・コールドウェル「風のシルエット」カヴァー収録。デヒュー作ではスティーヴィーの「ribbon in the sky」もカヴァーしてたりして、これもおすすめです。

★★★ いいなあ〜
THE ISLEY BROTHERS/3+3 (1973)
 リズム隊3人が加わり、新たにバンド・サウンドとしての転換点となった一枚。なんと言っても「that lady」!私としてはアイズレーはリアルタイムで聴いてはいなかったのですが、なるほど、このリズムはTOTOの曲にもあったような・・・そうか、ここからパクッたか。ギターの音色が時代を感じさせますね。

★★ ラップ攻撃
Ja Rule/pain is love (2001)
 ラッパーのアルバムもバックトラックのアレンジが良くないと最後までもちませんね。この人は一聴典型的な今のアメリカ的ラップ・ブラックなのですが、良く聴くと凝ったアレンジをしていて、喋り倒しだけではなくメロディーを歌ったり、女性ボーカルの入れ方とかなかなか聴くに耐える音です。でも、ちゃんと「マザーファッカー!」とか言ってくれて笑っちゃいますね。「do I do」のラップ・カヴァー有り。

★★★ 渋めです
Jean Carn (1976)
 すいません。フィラデルフィア・ソウルにはあまり興味がなかったのでご紹介するのもおこがましいのですが、この一枚くらいは。やっぱりこの泥臭さっていうか、ニューヨークやLAから送り出されるものと比べるとなんか生臭くて、もしもライヴアルバムだった時には「○△□オン・ステージ」みたいなタイトルがつけられてしまいそうな。。。冗談はさておき、これはそのフィリーソウルの歌姫ジーン・カーンのファーストですが、Dexter Wanselがからんでいるあたりけっこう渋くて良いです。フィリーじゃなくてフリー・ソウルとして聴くことができるナイスアルバム!

★★★★ 仕上げ良し
Jeffrey Osborne/stay with me tonight (1983)
 基本的にはジョージ・デュークが80年代以降のブラック・コンテンポラリーをプロデュースした作品にはほとんど興味がないのですが、その理由はヒットチャート、つまり売れ筋を意識した何か媚を売るような音の作り方がハナにつくようになっていたからです。しかしその中でもこのアルバムは別物ですねー。まだそんなに売れ売れ意識があまりなさそうな感じで、曲の良さと共にアレンジひとつにもPOPながらアーティスティックな丁寧さがうかがえるんですよ。スローな曲にもアール・クルーのギターが入ったり、今のブラックと比べるととても贅沢な音作りをしています。うん、これは好き。

★★★  職人的です
Jerry Peters/blueprint for discovery (1972)
 70年代から80年代において、ブルーノート後期でのジーン・ハリスTHE WRITERSに代表されるプロデュースやバック・サポート、ソングライト等、どちらかというと裏方で渋い力を見せていたジェリー・ピータースが、そういった立場になる前に発表していた唯一のアルバム。もちろんこの時は堂々と自らが主役を張るために作ったつもりだったのでしょう。内容は彼の鍵盤がしっかりとフィーチャーされたニューソウル。多少ジャズの影響を強くしたダニー・ハサウェイのよう‥と言ったら怒られるでしょうか。曲作り、演奏、そしてヴォーカルも自分でと、その才能が遺憾なく発揮されたところは8分にも及ぶ力作“going in circles”でも感じることができますね。それでいてなぜ彼がその後アルバムを作ることなく裏方専門になってしまったのかは、おそらくそのヴォーカルにあったのかも。正直なところ彼の歌は一流とは言えません。うまさもなければ個性的な「味」もないんですね。それならば彼の曲は他の著名なアーティストに取り上げてもらったほうが良いと自分でも判断したのかもしれません。しかし私にとってはその非凡な音楽センスがあればヴォーカルの弱さなど打ち消してしまうくらい、このアルバムは訴えてくるものがあったのでした。バック・ミュージシャンも注目ですね。Jeffの親父がここで叩いてるよ・・・。

★★★ イケてます
JODICI/diary of a mad band (1993)
 ジャケ写はもろ、若さタップリ・アイドルブラック4人組ってところなんですが、音を聞いてこれまた意外。一人一人のヴォーカルも、コーラスワークもしっかりとした実力派グループでした。この後、メンバーのK−Ci&Jo−Jo兄弟がユニットでグッと大人びたアルバムを出していますものね。このアルバムでスティーヴィー・ワンダーの「lately」がカヴァーされています。

★★ お好きなら
Johnny Gill (1990)
 90年代を代表する人気ボーカリストのデビューアルバム。やっぱり、babyface作の「my,my,my」ですかね。あまり良いマスクとは思わないのですが、特に日本ではなぜかアイドル的売りこみの仕方をしていましたね。ここではしっかりとジャム&ルイスとベイビーフェイスがプロデュースをして盛り上げています。

★★★ この時代です
Johnson&Branson (1989)
 元NITEFLYTEのHoward JohnsonとRegis Bransonとのヴォーカル・ユニット。ふむふむ、やはりこの年代だけあって特有のニオイがありますな。でもやはり基本的にはメロディアス志向のようですから曲によっては同じ80年代打ちこみソウルでもグッとくるサウンドだったりします。特にラストはベースやドラムも生音を使ったミディアムナンバーで、リオン・ウェアのback-VoやCharles Fearing(懐かしいお名前ですね)のリズム&ソロギターをゲストに迎えている佳曲で締めてくれます。なかなか!

★★★★ mamaぁ〜
JUNIOR/JI (1982)
 ラジオから流れてきた「mama used to say」のカッコ良さにはブっとんだものでしたが、このアルバムを良く良く聴いてみるととても当時のAORテイストが溢れたポップなものでした。「too late」や「I can't help it」のメロディー、アレンジなどは白人シンガーに歌わせてもバッチリ合うほど。ジャケ写の笑ったJUNIORと、「mama〜」のファンキーなイメージからこのアルバムがこんなにアーティスティックなポップアルバムだとは想像できた人はいなかったんじゃないですかね。そこが黒人音楽・ソウルファンには少し物足りなかったのかもしれません。そういう点ではスティーヴィーの影響が少なからずあった人なのかもしれませんね。ここを見ている音楽ファンにはドンピシャの一枚でしょう。

★★   too sweet!
Kashif (1983)
 80年代のブラコン才人、カシーフの1st。セルフプロデュースはもちろん曲作りからアレンジ、keyやdsを中心としたinstrumentsも自らが担当してしまうほどデビュー・アルバムからやりたい放題ですが、内容は時代を象徴したシンプルな音を基調としたアーバン・コンテンポラリーブラック(それでもdsはまだ打ち込みがされていない時代なのです)。とても軽快ですがやや全体に甘ったるい印象。ラストのバラードなんて優しすぎてポッと赤くなっちゃいます(笑)。

★★★いいのアルよ
K-CI&JOJO/it's real (1999)
 男性兄弟ヴォーカルデュオという珍しいユニット。元々はJODECIのメンバーの二人です。落ち着きのある曲が多くコーラスがとても綺麗にきまっていますね。中でも、「tell me it’s real」は秀逸。この曲だけでも・・・の感ありです。

★★ 好きなら良し
Keith Washington/make time for love (1991)
 都会的なソウル・ヴォーカルを聴かせるアーティストなのですが、かなり正統派すぎて今となってはどこか演歌的に聞こえてしまうくらいです。毒っけがもう少しあってもよかったかなとは思いますが、まあ、アダルティーに落ち着きたい時にはいいでしょう。

★★★ ナイスセンス
Keni Burke (1977)
 元々カーティス・メイフィールドファミリーの一人であった彼が兄弟グループ、ファイヴ・ステアステップスの解散を機に発表したソロデビュー作品。どちらかと言うとベースマンとしてよりソングライティング力の高さを感じさせるソウル・アルバムで、一曲目の心地良さからバッチリつかまれた感じ。彼自身としてはソングライター&プレイヤーとしてのトータルアルバムにしたかったのかインストルメンタルも挟みカラフルな内容となっています。しかし最後のインスト(エンディング)はやり過ぎた!かな?

★★★ 満を持しての
Keni Burke/you're the best (1982)
 さて、大メジャーレーベルRCAからの間を開けた2ndはまさしく「あらためてのソロデビュー」と言ったところで、ダンスナンバー良し、メロウグルーヴ良しのさすが大手らしい作り。全編ヴォーカルナンバーで徹底されていて、トッド・ラングレンの名曲「love is the answer」、カーティスに作った「never stop loving me」のセルフカバーなども聴けるところが嬉しい。プロデュース/アレンジもすべてKeni自身。なかなかの才能は周知の通りですが、力が入っているのもわかりますね。

★★ ディスコしてます
Keni Burke/changes (1982)
 まずフェンダー・ジャズベースを持ち笑っているジャケが示しているものは、「俺はやっぱりプレイヤーだ!」みたいな所なのでしょうか。しかしこの時期ってリズム・プレイヤーにとってはとても微妙。なにしろこの先プログラミング・ビート全盛の時代になるのですから。本人もどちらかと言うとソングライターとしての力の方が上のような気がするのでそんなにベースにこだわらなくても、とも思ったのですが。これはそんな悪しき時代になる前のヒューマンな'80sファンク&ソウルが聴けるアルバム。しかしなんと言ってもレア・グルーヴ・クラシックとして名高い「risin' to the top」はここではひときわ異彩を放っていますね。

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