[O〜Z]


★★ ちょいチープ
THE PASADINAS/phoenix (1995)
 イギリスの黒人コーラスグループ。日本先行発売としながらも、輸入盤をみかけた事がなしと言うのは・・・まあ、良くあることですね。これで4作目だそうです。TAKE6ほどの洗練度がイマイチないかな。「round&round」はなかなかヨイですが、この1曲だけだった。

★★★ 上品です
PASSAGE (1981)
 ブラジョンのミスター・チョッパー、Louis Johnsonが奥方Valerieと製作したCCMブラコンアルバム。同時期「winners」と共通する小奇麗な音でまとまっています。ここでのドラムスはJohn RobinsonとRicky Lawsonでセッションドラマーらしい優等生的リズムが少し物足りなくもあり。しかし70年代の骨太ファンクとはここでは無縁状態ですが、Louisのスラッピングはしっかりとここでも存在感を出しています。CCM系ですからジャケット共々音も上品。「winners」路線が好きなら充分楽しめるでしょう。

★★★ 貫禄の歌声
Peabo Bryson/through the fire (1994)
 「ピーボよりうまいのはピーボだけ!」とわかる人にしかわからないような(私はわかってしまいました)キャッチコピーに思わず笑ってしまった覚えがあります。「クワイエット・ストーム」なんて恥ずかしくなってしまうカテゴリーの代名詞にさせられてしまった人ですね。ブラコン界の細川たかしか?「through the fire」のカヴァーが良い。

★★★ うまい!
Phil Perry/the heart of the man (1991)
 うまー。ハイトーンも良く出るし、これぞ、プロ。と言ったヴォーカルです。R&Bというより、アダルトポップですね。曲の構成はバラエティに富んでいます。うまくて、ソウルフルなヴォーカルを堪能したい時にはうってつけのおすすめアーティストですよ。

★★★ ほれぼれ!
Phil Perry/pure pleasure (1994)
 あらためて、ものすごくうまいヴォーカルですね。バックグラウンドヴォーカルとして長くセッションマンをやっていただけの事はありますし、声にも個性があって良いです。「after the love has gone」のカヴァー有り。

★★★ MTUMEの力
Phyllis Hyman/you know how to love me (1979)
 '70s〜'80sのブラックミュージック界にその名を馳せたMtume/Lucas。そんな名コンビの全面バックアップによるレディ・ソウルの人気盤。彼女自身も元々はジャズ・ヴォーカリストであり、抜群の歌唱力をソウル・フィールドでも生かし、もう一歩前進したい、としたら共通項を持つ彼らの力を借りるのはそういった意味でもベストマッチと言えますね。ストリングスも効いたゴージャスなアレンジの中で軽快に歌う彼女。しかしながらそのノドはジャズの下地を多分に感じさせる艶っぽさがあります。

★★ ちょいドロ臭
Phyllis Hyman/living all alone (1986)
 ジャズ畑のシンガーがブラコンアルバムを出す流行が一時ありましたが、このフィリス・ハイマンはいかんせんバックミュージシャンやプロデューサーに恵まれませんでしたね。エムトゥーメイのプロデュース作を頂点にその後はどんどんチープになっていってしまったよう。アルバムタイトル曲はなかなか。「風のシルエット」のカヴァーはイマイチでした。

★★ 弟だそうです
POCKETS/come go with us (1977)
 当時盛り上がりをみせたカリンバ・プロダクションが送り出した新人グループ。ヴァーダイン・ホワイトのプロデュース。カリンバからのグループとはいえ、親であり兄であるEW&Fと比べてしまうのは酷であるし、過剰な期待はしないほうがいい。全体的に小粒な印象ですが、ゴリゴリのファンキー一辺倒ではなくて、優しさのあるヴォーカルやインストをアルバムの中で取り入れる多面性はやはり母体ゆずりか。音楽に対して肩の力が抜けた今あらためて聴くと結構心地よかったりします。

★★★ 弟も成長して
POCKETS/take it on up (1978)
 確実に音の広がりを見せた2nd。ヴァーダイン・ホワイトのプロデュースはそのままにカリンバプロダクションらしい「カジュアル・EW&F」とも言えそうなブラックミュージックをやってくれています。ところどころに聴けるアレンジのフレーズも、インタールードまであるTOMTOM84のホーンも、「らしさ」丸出し。一曲だけ収録されているインストルメンタルナンバーが面白い出来で、一変して当時のギター・フュージョンを聴いているよう。この音の広さがファーストよりもスケールアップしてます。ラリー・ジェイコブズの軽いヴォーカルもファンキーに楽しむバンドとしてピッタリ合っていたのでは。

★★ さらにカジュアル
POCKETS/so delicious (1979)
 ラストアルバムにあたる本作は音楽性の広さをあえてグッと抑えてダンス&ソウルに統一した感のあるものになっていますが数曲で見せるTOMTOM84を含む全てホーン&ストリングスの入ったゴージャスな作りはそのまま引き継がれています。後半はCharles Fearingがほとんど曲作りに参加していて、そのせいかギターの効いたナンバーが多く個人的にはこの流れが好きです。Michael Boddicker,Al McKay,Ed Greeneなど意外とゲストも多彩でしたがEW&Fの弟分から始まり、いろいろと方向性を探ってきたポケッツもこの一枚でついに終了。ブームの終わりを感じるようで寂しいですね。

★★★★ けっさく!
Prince/the rainbow children (2001)
 今回の作品は彼のみならず最近発表された全編共通のコンセプトを持ったアルバムとしては、傑作と言っていいのではないかと感じるほど、今までのイメージを見事に(いろいろな意味で、本当にお見事です!)覆してイタダキマシタ。無機質な打ち込みリズムと時代の先端を突き抜けていくあの姿はもうここにはありません。とてもジャジーでテクニカルなバンド・サウンドの中、彼の優しいヴォーカルが胸を打ちます。ヒット・チャートとは無縁の自由に解き放たれたこの音楽が、43歳になったプリンスのさらけ出された真の姿なのかもしれません。恩師ラリー・グラハムを迎えた「last december」ではどこか懐かしいソフトロックの展開を見せてくれます。素晴らしい。

★★★★上品ラッパー
Prince markie dee and SOUL CONVENTION/free (1992)
 いいなあ。こういう雰囲気のラップは好きなんですよ。ソウルなラップと言うか。ゆったりとしたグルーヴ感の上にラップが乗っかっているような。TOTOの「georgy porgy」のカヴァーなんかラップでやっちゃったりする。こんな感覚です。

★★★ ロイの分身
RAMP/come into knowledge (1977)
 バンド名は「Roy Ayers Music Production」の頭文字から。その名の通り、音は彼のヴァイヴが抜けただけでロイ・エアーズ・グルーヴそのものと言えるフローティング・ソウル。レンジの狭い録音もこのクールな世界にはかえって合っているような気さえしてしまう…渋いぞ! しっかりと“everybody loves the sunshine”なんかもやってくれていて、アナザー・ユビキティ。こんなバンドがプロデュースできるなんて、ミュージシャン冥利に尽きるねぇ。

★★ ランディー! 
RANDY&THE GIPSYS (1989)
 この頃だとランディ・ジャクソンもだいぶマイケルに似ていましたね。(今のサイボーグ的な真っ白マイケルとは比較になりませんが)さて、まったくもって売れなかった彼がリーダーをとるバンドの作品です。優等生的黒人POPと言ってしまえばそれまでなのですが、なかなか曲調もバラエティに富んでいて、目新しさはないのだけど、まあまあの佳作だったのではないでしょうか。

★★★ おもろい奴だ
Raphael Saadiq/instant vintage (2002)
 トニー・トニー・トニーやルーシー・パールなどクセ有り系のソウルグループで活動してきた彼。今のニュー・ソウル界での大物がついにソロ・デビュー作を発表です。彼曰く、この音楽は「ゴスペルデリック(ゴスペルをルーツに、サイケデリックとファンカデリックの3つが一体となった音楽)」なのだそうです。なんだかよくわかりませんが(笑)わかる事が一つ、かなり音にこだわってます。彼らしくリズムは打ちこみ多しですが弦は生音使ってます。配曲に単調なところは全くナシで、やはりクセ者。さすが!と言わざるをえません。ディアンジェロやT:BOZ(TLC)らも参加。

★★★ AORとしても
Rockie Robbins (1979)
 サラッと流れていくライト・ソウル路線であったロッキー・ロビンズの1st。リッキー・ピーターソンら白人のバッキングも起用しているところからAOR好きにも喜ばれる内容ですね。いや、このメロディー展開はなかなかツボを押さえていてあやうく聴き流してしまいがちなところを「オオ!」っと引き寄せてくれる芸の細かさがニクい。“be ever wonderful”をカヴァーしてくれたのはホント嬉しい。本家よりもこちらのほうがヴォーカルワークの巧みさで軍配かも??素敵です。

★★  ちょっと黒めに
Rockie Robbins/you and me (1980)
 Bobby Martinのプロデュース/アレンジにより1stより幾分黒さを打ち出した本作。何と言ってもドラムはJames Gadson、ベースはLarry Grahamが全曲リズムを支えていて、L・グラハムのスラッピングはもちろん、やはり音が太くなっています。それだけでも1stとの方向転換を感じることができますが、持ち味のメロウなスタイルは劣らず、それでいてよりソウルファンに強くアピールした仕上がりとなっています。Leon Ware作の“point of view”を歌うところもいいね!合ってます。

★★★★ 最高最強
Rockie Robbins/I believe in love (1981)
 3rdはSkip ScarboroughとJerry Petersのプロデュースと言う渋い組み合わせ。前作のソウル寄りな作りからまた洗練されたAOR系の音に戻ってきたようです。ここでの特筆は“my old friend”のカヴァー。PAGES作をアル・ジャロウが歌い有名な曲でしたがR・ロビンズのさわやかなヴァージョンも良いデスぞ。同じく“for you, for love”も思わず身を乗り出す出来。AWBより良いかも。80年代に入ったアルバムらしく軽快でスッキリと聴ける音になっていてこれまでの3枚の中ではベストと言える作品。しかし、やっぱりこの手のアーティストって残れる人は少ないんですね。

★★ ちょいとありがち
RUFF ENDZ/love crimes (2000)
 EPIC/ソニーミュージック期待の男性ヴォーカル・デュオ登場!と言ったところでしょうか(ケミストリーじゃないんだから)。哀愁系のメロディーにメロメロにされちゃうかもしれませんよ貴女(アナタ)!まあ、典型的に今風のミディアムバラードを得意としたありがちといえばありがちなユニットなのでが、中途半端に曲調を変えようとせずに、全編通じて一定のスタイルを保った作りは好きな人には安心して聴けるアルバムと言えるでしょうね。

★★  良し悪し分かれ
RUFUS with Chaka Khan/the very best of RUFUS with Chaka Khan (1982)
 正直言うと、「do you love what you feel」しかイメージがなかったもので、ベスト盤から当たってみることにしました。やっぱりクインシー・ジョーンズのプロデュースは偉大ですね。他の曲と全然勢いが違います。当然、ダメダメ曲もありましたが。

★★★ チャカ抜きも
RUFUS/seal in red (1983)
 チャカが抜けた後のルーファスもしぶとく活動を…あ、いやいや、これは言わずと知れたその「しぶとい」アルバム。ジョージ・デュークが「dream on」後のブラコン・プロデュースに乗りにノっていた時の作品。キーボードでも参加していて、レコーディング・エンジニアがTommy Vicariでは、まんま・dream on状態ですがいやいや、かなり良いノリでおすすめ。ジョン・ロビンソンがしっかりと刻むドラムスに乗るブラコン・サウンドは打ち込み主流になる80'sにおいてはまさに、「最後の遺産」かな? まあ、さておき、表より裏ジャケの真っ赤なアシカがいいですね〜。

★★★★ 音良し歌良し
Sadane/one way love affair (1981)
 80年代初頭に味のあるブラックアルバムがあった。Mtume/Lucasの全面的バックアップの元、世に出されることになったサダーンの1st。当時は全く売れなかったそうですが、ハスキーなヴォーカルに「どうだ、これが今のソウルなんだよ」と言わんばかりの黄金サウンドが乗っかった、エムトゥーメィ・ファミリー渾身のブラコン作と言えます。ゆったりとした流れの中に熱く歌い上げるタイトル曲に始まり、後はスローを数曲はさみつつのミディアム・ダンサー中心と言う構成。しかも一つ一つが皆違った雰囲気を持っており、全く飽きさせません。素晴らしいです。
Marc Sadane/exciting (1982)コチラ

★★ イロッぽく
SA DEUCE (1996)
 女性二人のユニット。一人はイッパツで黒人とわかるのですが、もう一人は一見アジア系にも見えますね。ミディアムスローな曲が多くコーラスワークもきれいにこなしています。ボビー・コールドウェルの名曲「風のシルエット」をサンプリングしていた曲もありましたね。

★★★カッチョイイガキ
Shanice/inner child (1991)
 シャニース・ウイルソン、この頃はまだ14歳くらいじゃなかったかな?この子に限らず、こんなティーンズアーティストがアメリカにはゴロゴロいるのでやはり音楽的な土壌が根本的に違うのでしょうね。最近はやっと日本も追いついて来た感じもしますが。「I love your smile」は今でも時々耳にする人気曲です。ナラダ・マイケル・ウオルデンのプロデュース。

★★
 幻の・・・
SHOCK/nite life (1983)
 以前からジェフ・ローバー・グループのギタリストとして活動をしていたマーロン・マクレイン率いる白黒混合ファンク・フュージョンバンド。トッド・ラングレンのカヴァー曲のみゲストとしてベースにランディ・ジャクソン、そして、なななんとドラムにスティーヴ・スミスを迎えていました。しかしまったく話題にもならず(おそらく日本未発売)、CD再発の予定もなさそうな希少盤となっているようです。

★★ オトナ向け?
SILK/tonight (1999)
 ヴォーカル・グループとしては多少地味な感のあるSILKですが、初っ端の短めなコーラス曲でガッチリとつかみを入れてきました。全体的にはバラエティに富んだサウンドで、比較的落ち着きのあるヤング・アダルト向けブラックと言えるでしょう。アルバム最後のインタビューはいらないなあ。よくあるけど、基本的にアーティストの喋り声とかイントロのナレーションは必要ナシ!ま、これは音楽文化の違いですからしょうがないけど、J−POPがこれを真似したら恥ずかしくって聴けたものじゃないっす。なっ、ゴス○○ーズ!

★★ NCSの新星
SOLO/4bruthas & a brass (1998)
 表裏のコンセプトがとても渋いジャケットでおもわず期待をさせられたニュー・クラシック・ソウルの4人組。1曲目だけでも聴く価値はあります。ただ、その後に続く2曲目のイントロでズルッとコケる、みたいな。中盤になかなか良いミディアム・スローもあるので全体としては聴きごたえのある作品なのですが、もうちょっと曲順考えろよなー(怒)。

★★★★ ファンキーで
THE S.O.S BAND/III (1982)
 80年代のブラックで良かったバンドを勝手に決めさせてもらえば、このS.O.S.バンドだったと言えます。このバンドはどちらかというとこの後のジャム&ルイス色の強く出たプロデュース作に注目が集まるのですが、レアなバンド・スタイルでのDANCE/SOULで頑張っていた初期の作品もなかなか味のあるものでメロディーとアレンジに重きを置く私にとってはこれが「初期の代表作」としてあげておきたいと思います。1stも好きですけどね。

★★★ さあ来たぞ!
THE S.O.S BAND/on the rise (1983)
 今までのイメージからすると、アルバムの初っ端がスロー・ジャムで始まるというのはちょっとした冒険だったのではないかと。結果的にはジャム&ルイスが本格的にプロデュースを行ったこれからの3作品は、打ちこみサウンドが主流となっていった80年代BLACKの中でも「これはすごい」と感動させられたものでした。ジャムルイが携わったのはここでは前半のみで、前作までの路線を完全には捨てずに、シンセ・ファンク色を少しずつ強めていったちょうど変革期にあたる作品です。

★★★★ 完成!
THE S.O.S. BAND/just the way you like it (1984)
 ジャケットからも雰囲気が良く伝わってきますね。銀河です。初期の3作とは完全に対を成す哀愁の世界。ジャム&ルイスの名プロデュースぶりが堪能できる名盤ですね。スロー・ジャムで始まり徐々に盛り上げて行くこの余裕に満ちたニクイ作り。最初からラストの曲まで通して聴けるアルバムっていうのは貴重な存在で、最近の軽くてタルいBLACKにブチあたった時は彼らのアルバムを引っ張り出してしまったりするわけです。

★★★★ 名作!
THE S.O.S. BAND/sands of time (1986)
 今度は砂漠です。ここに、極まれりって感じですね。とにかく全編捨て曲無しの大傑作。限りなく5点満点に近い四つ星です。この頃のジャムルイは爆発してたなあ。「THE FINEST」はどこかJ・イングラム/M・マクドナルドの「YAH MO B THERE」だったりしますがここでアレクサンダー・オニール&シェレールまで参加してFlyte Tyme Productionsパワーを見せつけちゃってくれてますね。グループとしてはこの後ヴォーカルの顔であったMary Davisが抜けて、銀河も砂漠もないアルバムを出したりしましたが急速度で失速。ズバリ、80年代を駆け抜けていったバンドとなりました。

★★★ 大所帯で
SOUNDS OF BLACKNESS/time for healing (1997)
 ヴォーカリストだけで21人、バンドメンバーは11人という大所帯の黒人グループ。コーラスを効かせたヴォーカル物中心の構成で、流行りを取り入れたものあり、アカペラ物あり、アレンジ的にも大人数を生かしてかなり凝った作りでなかなか聴かせてくれますね。。。

★★★ 田舎ソウル?
SPEECH/down south produckshuns (2002)
 オーガニック・ソウルってなんやねん!ブラックにもいろんなカテゴリーがあるもんですな(笑)。アルバムタイトルからもある通り、スピーチのベースとなるアメリカ南部(まあ、カントリーですね)をコンセプトとして作られたとても人間臭いソウル・アルバムとなっています。さまざまなスタイルのソウルが一枚にまとまっていますが、メロディアスなナンバーもありかなり楽しめます。この手としては2002年最初のイチ推し作品ですね。

★★★ さすが、な音
SPLENDOR (1979)
 EW&Fメンバーのプロデュースによる作品は特に絶好調であった70年代後半良く発表され、代表的なのはラムゼイ・ルイス(prod.モーリス・ホワイト、ラリー・ダン)、ポケッツ(ヴァーダイン・ホワイト)、エモーションズ(アル・マッケイ)らであるが、このスプレンダーはフィリップ・ベイリーがプロデュースした新人グループ。やはり音楽性の高さはアースの影響大と言うべきものがあり、しかしながらアースほどの「大袈裟」な作りはしていない。フィリップ・ベイリーらしいコーラスワークの巧妙な部分を見せてくれるし、ホーンも効いた楽しいブラック・アルバムで、アーステイストをもったフリー・ソウルというところでしょうか。エンジニアとして有名なTommy Vicariがプロデューサーとしても名を連ねているところやJames GadsonやNathan Wattsらのゲスト参加も面白い。そしてリーダーであるロバート・ナンの曲作りのうまさも忘れてはならないですね。名曲揃いのおすすめ盤です。

★★★ ゴスペラーズ
THE STEELS/heaven help us all (1993)
 おそらく兄弟ではないかと思われますが、男女二人ずつの四人組コーラスグループです。内容はブラコン志向のPOPなゴスペルアルバムです。アルバムタイトルからもうかがえますよね。なかなか洗練されているので、知らない人が聴いたらゴスペルとは思わないかも。

★★★ ソウルしてます
Stephanie Mills/stephanie (1981)
 80年代の女性シンガーここにも。自身の名前をアルバムタイトルとしよりメジャーPOP界でのステップアップを狙ったかのような意欲がうかがえますね。以前より親交のあったジェームス・ムトゥーメ&レジー・ルーカスの名コンビをプロデューサーに迎えレディブラックの王道を行くナンバーで綴られていきます。打ち込み主流となる前のアルバムですからここでもじっくりとあったかいソウルを楽しむことができますね。ムトゥーメ&ルーカスの曲ってこの頃のほうが良いと思うんですけど。。。

★★   渋い
Steve Ivory/the ivory touch (1994)
 歌の前にナレーションが入る、ここ数年増えてきた哀愁系ブラックです。「Ivory mellow madness」ってあーた(^^;。アメリカ発ですが珍しく日本人二人がプロデューサーとなっています。なんだこりゃ。サウンドはいたってシンプルでどちらかと言うとメロディーを聴かすタイプのようですが、本人はキーボードの他にドラムスもこなすようで、曲もなかなかですし結構イケますね。

★★★ まず聴くべし
Stevie Wonder/music of my mind (1971)
 今でこそ、「歌う愛と平和の使者」のようなイメージが作り上げられていますが、私のスティーヴィーに対する思いはそのような清いイメージはどうでも良く、あえて無視をしています。一人のソングライター、シンガー、ミュージックパフォーマーとして、誰が何と言おうと彼は天才だと思いますし、その後に彼の曲をカヴァーするアーティストが21世紀になっても後を絶たないことがその裏づけでしょう。これは、セルフプロデュースを始めた初期の頃のアルバムですが、すでにアルバム・アーティストとして天才的な雰囲気が漂っています。

★★★「迷信」もあるぜ
Stevie Wonder/talking book (1972)
 マイ・フェバリット・ソングを挙げろと言われたら、五指に入るのがこのアルバムに収録されている「you are the sunshine of my life」でしょうね。2分半程度の小さな作品ですが、その短さが絶妙だったのかもしれません。こんなに心に残るメロディーはなかなかないです。アルバムとしての完成度も高く、驚異の70年代と言われたその後のアルバムの序章的作品となっています。若き頃のデビッド・サンボーンも参加。

★★★★聴かなきゃ!
Stevie Wonder/innervisions (1973)
 この頃のスティーヴィーは明と暗がはっきりしていていいですねー。芸術的3部作と言われたその第一弾です。曲間をほとんど空けずに次曲に移る構成をとるのはスティーヴィーがメジャーにした方法でしょう。「don't you worry 'bout a thing」から「he's misstra know it all」へ続くラストの展開が心地良いです。

★★★★聴いてよ頼む
Stevie Wonder/fulfillingness' first finale (1974)
 こうして彼の作品を聴いていくと、やはり「愛と平和を歌う盲目の天才シンガー」なんて作り上げられたイメージはなんとかして欲しいものだと感じますよね。この頃の曲を聴けば、若く、音楽に対して貪欲で、とても人間臭い彼の姿が浮かんでくるのですから。そして、見事にこれもグラミー賞を獲得。

★★★★★音楽史の宝
Stevie Wonder/songs in the key of life (1976)
 天才が、その才能を遺憾なく発揮した奇跡のアルバム。全洋楽、POPSファン必聴。間違い無く彼自身の最高傑作であり、私的にも、五指に入る名盤中の名盤だと思っています。当時小学生であった私には、すぐにこの作品の凄さは理解できませんでしたが、何回も聴けば聴くほどにその素晴らしさが伝わってきました。どの曲ひとつでも抜けていればアルバム全体が狂ってしまうほどの完璧な構成。へたな説明はいりません。文句無しです。

★★★ ヒット曲多し
Stevie Wonder/hotter than july (1980)
 「キー・オヴ・ライフ」後に発表されたコンセプトアルバム「シークレット・ライフ」には賛否両論が集まりましたが、待ちに待った4年ぶりのオリジナルアルバムと言うことで、期待にドキドキしながら針を落とした記憶があります。録音も良くなり、よりポップ感が増して楽しめるアルバムとなっています。以後の作品のスタイルはここから引き継がれているようですね。「lately」は名曲です。

★★★ よりビッグに
Stevie Wonder/in square circle (1985)
 80年代はMTV全盛で、音楽を楽しむ要素に視覚が加わった時代でした。スティーヴィー自身も時代の音を積極的に取り入れ、「パートタイム・ラヴァー」が大ヒット。洋楽に興味があまり無い人でもスティーヴィーだけは「首を左右に振りながら歌う人」と表現されるくらいにメジャーなアーティストとなりました。芸術的な雰囲気はもうすでにありませんが楽しいアルバムですね。

★★★これでサントラ?
Stevie Wonder/jungle fever (1991)
 スパイク・リーの同名映画のサントラ盤ですが、オリジナルアルバムとしても聴く事ができるほど完成度は高いです。あなどれませんね。90年代ともなると、やはり打ちこみリズムを多用するようになってきましたが、いつものスティーヴィー節は健在です。知らないで聴けばとてもサントラとは思えませんよ。

★★★不滅のメロ王
Stevie Wonder/conversation peace (1995)
 若い時は悪態もついていたが、歳を追うごとに丸くなって良い人の典型みたいな存在として萩本のキンちゃんのような(古いか?例えが)、おバカな私はそんな姿とスティーヴィーがダブッちゃったりしたりして。いやいやいや、そんな事はいいとして、メロディー・メイカーとしての彼は全く衰えていません。一耳すれば一発でわかるヴォーカルといい、スティーヴィーはスティーヴィーであってやはり偉大であると再確認。

★★★★ほぼ完璧です
Stevie Wonder/natural wonder (1995)
 これはいい。ほぼ、ベスト盤とも言えるほどのラインナップで編集された2枚組ライヴ・アルバムです。「キー・オヴ・ライフ」からの曲が多いのも嬉しいかぎりで、「if it's magic」まで収録されています。60年代からは「涙をとどけて」や「マイ・シェリー・アモール」も。これだけ名曲がたくさんあるとベストは自分でセレクトして作ったほうがいいアーティストなのですが、ライヴばかりは自分ではムリ。これは、そんな私にもピッタンコな選曲で良かったですね。

★★ 黒ではないかも
Stevie Woods/take me to your heaven (1981)
 「fly away」の爽やかさ、アップな曲もファンキー、ダンサブルと言うよりひたすらPOPになっていて、外見からしてアメリカ黒人ではなく南米系の人ですかね。かなり、AORに近い仕上がりになっています。アルバムタイトル曲は特に良い仕上がりです。

★★★★ これ一枚!
SUNFIRE (1982)
 Reggie Lucasを中心としGAP BANDのリズムを担当していたドラマーRaymond Calhoun、ヴォーカルRowland Smithの3人グループによる言わずと知れた80年代初期のブラック・コンテンポラリー名作。エレクトリック・ファンクになってしまったMTUMEはあまり好きではなかったのですが、その前に相棒はちゃんとソウル寄りのアルバムを作ってくれていたのでした(「feet」のようなファンクもありますが)。ともかくダンスもバラードもブラコンのお手本のような作り。ムトゥーメ/ルーカスって元々はこっちの音の方が好きだったんだよね。マーカス・ミラーとアンソニー・ジャクソンがベース・ゲスト。アップ・ナンバーでもシンセベースが少ないというのも良い。

★★★ メログル系
SUNRIZE (1982)
 アイズレー・ブラザーズが82年にプロデュースしたこのサンライズ、一曲目はいきなり'80s特有のファンクで萎え萎えになりそうでしたがサビの部分の展開でリポビタンDを注入されたかのごとく元気復活。しかしこのテイストで最後まで行かれたらさすがにヘトヘトかなぁ、と思いきや2曲目でガラッとメロウ・グルーヴに。こいつはいい。最初のファンクはあくまでも「つかみ」を入れるためでありこのグループの持ち味は本来この路線だったのか、と曲が続くつれて確信に。どこかAOR的なのはヴォーカルが黒っぽさを抑えてさわやかだからかな。カッティング・ギターが心地良い「I just wanna make sweet love tonight」が一番のお気に入り。懐かしさばかりに浸ってはいられないと考えつつも、やはり忘れてはならないこの時代、まだまだ資源はあるようですね。8曲38分弱と言う物足りなさも別の意味で泣ける(アナログ時代の音源だからしょうがないんですが)。

★★★びゅーちふる
SWV/greatist hits (1999)
 TLCがわりとガキンチョ向けの女性トリオだったりするので、私はどちらかと言うとこっちの方が好きですね。これはベスト盤なので当然と言えば当然なのですが、メロディーも、アレンジもなかなか聴かせてくれる良い曲揃いです。しかし、このお姉さん方、お美しい。最近は黒人女性もストレートヘアなのですね。

★★★★ いいねー
Syreeta/one to one (1977)
 スティーヴィーと結婚していた経歴のある女性、という事のほうが有名な彼女。その若き天才とのデュエットでも佳曲を残していたりしますが、これはリオン・ウエアの全面プロデュースによる3rdアルバム。ウーン。70'sフリーソウルですねー。「I want you」が好きな人ならこれもイケること間違いなし。チャック・レイニー、ジェームズ・ギャドソン、デビッド・T.ウォーカーらの王道バッキングとメロウ大王プロデュースに支えられた皆様ご安心の名盤です。

★★★ クリスマスは
TAKE 6/he is christmas (1991)
 TAKE6の真髄は、このようなアカペラアルバムだと思います。きれいなコーラスワークです。見事!聴き慣れたクリスマスソングをほとんどバックトラックなしでアカペラしちゃってくれてます。唯一のオリジナルであるタイトル曲がいいですね。

★★★★ 素敵です
TAKE 6/join the band (1994)
 アンブロージアの「biggest part of me」、そしてEW&Fのスキャット間奏曲(密かな名曲!)をTAKE6版でカヴァーしてくれている所が聴き所。この1分少々の小曲を良いと思っていたのは私だけではなかったのですね。他にはスティーヴィー・ワンダーもゲスト参加(歌っているゾ)しているナンバーもあり、かなりポイント高いアルバムです。

★★★★ ナイス選曲
TAKE 6/beautiful world (2002)
 一発目はいきなりドゥービーの曲で始まるほとんどカヴァー集とも言える本作。アルバム・タイトル曲はDonald Fagenの「I・G・Y」(実は副題が[what a beautiful world]でしたネ)、スティーヴィーの大名作「songs in the key of life」の幕をあけるべく配置されたあの曲、「love's in need love today」、ビル・ウイザースの「lovely day」などなじみの深い曲ばかり。と、思ったらプロデュースはマーカス・ミラーでした。さらに面白いのが、ダニー・ハサウェイの「someday we'll all be free」。ご存知実娘のレイラ・ハサウェイがここでもマーカス・コネクションによってゲスト参加してますが、時を経て、TAKE6のアルバムでさらに親父さんの歌を甦らせたわけです。それなりに聴けるんだけど個性のないアーティストが多い中、存在感のあるコーラスワークがホッとするTAKE 6。おすすめです。

★★★マイナーですが
TASHAN/for the sake of love (1993)
 「I want you」のカヴァーが入っていたので買ってみたのですが、他もなかなか。とても素直なsoulを聴くことができます。歌だけでなく楽器もこなすマルチプレイヤーのようですね。後半の「all I ever do」がこのアルバムのクライマックス。

★★★★ いいのにね
TAVARES/supercharged (1980)
 白人に力を借り続けたヴォーカル・グループとして頑固なブラック・フリークからは評価の低かったこのタヴァレス。ここではPAGESを送り出したボビー・コロンビーを中心に据え、なんと言ってもデビッド・フォスターがビル・チャンプリンの「独身貴族」からのナンバーを2曲カヴァーさせているところが聴き所(オリジナルよりもさらにアレンジがいいよー)となっています。私のようなブラック&ホワイトサウンドが好みの典型的いいかげん日本人としては本国で評価が悪かろうがなんだろうが、忘れる事のできないアルバムとして挙げておきましょう。

★★★★なにモン?
TONY TONI TON'E/sons of soul (1993)
 クセ者のソウルクリエイター3人組、トニーズ。とにかくアレンジがまず良い。ヴォーカルは好き嫌いの分かれる声質をしていますね。でも、センスは抜群ですよ!ストリングスの効いた「anniversary」が素敵な展開を聴かせてくれます。これはnewsoul好きなら必聴。

★★ やはりbrass!
TOWER OF POWER/back on the streets (1979)
 タワー・オヴ・パワーのアルバムを紹介するのがこれかい!みたいなワタクシお得意の邪道系コレクションです。本来のファンならばもっと初期の頃のアルバム、ということになるのでしょうけど、基本的にはTOPのようなキッツイ、アメリカン丸だしのブラス・ファンクバンドは苦手な方でして、どちらかというとシェリル・リンを参加させてポップ路線を強化したようなこの問題(失敗?)作的アルバムの方が心地良く聴けちゃったりなんかするわけです。このWEB全体を見ていただければその傾向がわかっていただけるかな?ゴメン!

★★★ まんまです
Vernon Burch/I'll be your sunshine (1975)
 1stソロアルバムにして早くもと言うかそれを信念にしたかのごときスティーヴィー・ワンダー・フォロワー丸出しで、“ain't gonna tell nobody”のようなファンクから、ガラッと一転メロウな“dreamin”に移る流れと転調するメロディー、多彩なカラーが楽しめる音作りはまさにそのもの。ギターの腕よりもなかなか歌ゴコロのあるヴォーカルとソングライティングは若干10代のものとは恐れ入ります。うーん、追っているなあ。“give love a try”が泣ける!

★★★★ そっくりだ
Vernon Burch/when I get back home (1977)
 columbiaにレーベルが移り多少アカ抜けた感がありますが、その節回しからアレンジ、ヴォーカルまでスティーヴィーっぷりはさらに強力に。そしてバックはついに本家でもサポートしていたNathan WattsやGreg Phillingaines(これはモロです)らが登場。しかしながら21歳の若者がセルフ・プロデュースした音とは思えないほど内容は充実。御大の影響は受けつつも元々持っていた音楽センスをさらに昇華させたニューソウルがそこにはあります。素晴らしいなぁ。

★★★★ 華もあります
Vernon Burch/love-a-thon (1978)
 続いてグレッグ・フィリンゲインズの全面的サポートを得て作られた3rd。もちろんここでもスティーヴィーぶりは全開。13歳でデルフォニックスのバックを努め、バーケイズなどを渡り歩いた彼、師が天才ならこちらは若き秀才か。曲作りのセンスの良さはもちろん、その巧みなアレンジはニクイの一言。楽器奏者らしく手をかけてひと技ふた技かけてますね。タイトルトラックや、“baptized in your love”のような強力ファンクも収録され、メロウだけではない彼の変化を感じる事もできます。

★★ ついにディスコ
Vernon Burch/get up (1979)
 プロデューサーにセッションドラマーの重鎮ジェームス・ギャドソンを迎え、これまでは自らが中心として行ってきたアレンジもリチャード・エバンスやTomTom84らの起用と気合の入った一作。スティーヴィー・フォロワーとしての彼は影を潜めより万人にアプローチするダンス&ソウル・アルバムとなりました。のっけからカリンバ・プロダクション発?と勘違いしてしまいそうな“never can find the way”で幕を開け、どちらかと言うと渋いギター使いだった彼もここではアル・マッケイになっているのが面白い。

★★★ほー、良いね。
Victor Haynes/optimistic (1994)
 from UKって感じの打ちこみ系ブラックコンテンポラリー。セルフ・プロデュース作です。曲調はなかなかスイート。スカスカすき間のあるバックトラックにメロディアスな歌がうまく乗っています。この手の好きな方なら是非。アルバムタイトル曲がなんといっても◎ですね。

★★
 キワドイ企画
Wanda Walden/searchin' for love (1981)
 ナラダの妹?とても珍しいアルバムです。PRODUCEもしっかりとナラダがサポートしていて、タイトル曲ではデュエットなんかもしちゃったりして。サウンド自体はナラダ風POPでいいのですが、肝心の彼女のヴォーカルとルックス(髪型をなんとかせい!)が今イチだったので、たった一枚で消えて行ってしまいました。

★★★ アダルトです
Will Downing/sensual journey (2002)
 一曲目がいかにもなNCソウル・スタイルだったので、ああ、またこのパターンかと思いましたが、続く2曲目からが安心のアダルト・コンテンポラリーに。GRPに移籍したのですからこうじゃなくちゃ。自身と共にリー・リトナーが2曲プロデュース。大人のヴォーカルアルバムと言うと聞こえは良いが。逆に退屈なものが多いのも確か。しかしこのウイル・ダウニングは作る曲が何と言っても良い。6曲目の「maybe」なんて静かなイントロからコーラスが入ってきた時はゾクゾクしました。バックもマーカス・ミラー、マイケル・ホワイト、そしてロニー・フォスターなんて懐かしい人も。さらにカシーフ参加が一曲、ヒューバート・ロウズのフルートなど歌以外の聴き所も満載。

★★  癒され系です
THE WINANS/introducing the winans (1981)
 ゴスペル/CCMを中心としたブラック・ミュージック界で幅広く活動を行っているワイナンズ一家の4人兄弟によるデビュー・アルバム。内容はそのコーラスワークを活かしたコンテンポラリー・ゴスペルと言えるお洒落で大人の音楽。グッと落ち着きのあるスロー“the question is”で始まるも、続く“self”で明るくハネるPOPナンバーになるがそれでも共通項はやはりアダルト。地味ながらホッとする耳当たりの音が癒されますね。最近注目のマリオ・ワイナンズはこのメンバー、マーヴィンの息子。

★★★ ご安心を
THE WINANS/long time comin' (1983) 
 リアルタイムでは3〜4年ほど遅れていたであろうサウンドも、今ではホッとする極上のアダルトコンテンポラリーになるところがCCMのありがたいところ。いかにもゴスペルアーティスト!とモロに出たJESASなんてナンバーもありますが本作はさらにアダコン色を深め、芳醇な佳曲ぞろいの良盤となっています(“don't be deceived”なんて、ボズが歌っていてもおかしくないほど)。コンピューター化の一途をたどっていた音楽界でスタジオプレーヤーが変わらずその存在感を示すことのできた貴重な音源でもありますね。これもご安心の一枚。

★★ 変わらず上質
THE WINANS/tomorrow (1984)
 生演奏もののコンテンポラリー・ミュージックの形を保ちつつ、スッキリとした音色になってゴスペルと言うより上等なポップ・アルバムとなった本作。彼らのコーラス・ワークもじっくりと楽しむことができます。一部打ち込みのビートを見せるところはさすがにポップスの世界で80年代の潮流に逆らえなかった様子がうかがえますが、曲自体はノリも良くアルバムのアクセント付けに効いているのでは。AOR好きにもニヤリとするアレンジがチラチラ出てくるのも嬉しい。

★★ 安心の歌盤
THE WINANS/let my people go (1985)
 クインシー・ジョーンズ主宰のqwest recordsからのリリースとなった本作はやはりこのレーベルらしい華やかさがありながら、時代流される事なくじっくりとアダルトな音楽を聴かせてくれるものでした。マーヴィン他みんな歌う歌う!お気に入りはうまく'80s blackの要素を取り入れながらコーラスワークが素敵な“perfect love”やありがちではあるがこの手の音にはついついヨワいシリアス・ファンクな“very real way”。安心のコンテンポラリー・ゴスペル佳作でしょうねこれは。

★★  音の幅広し
Wornell Jones (1979)
 日本でのセッションやレオン・ラッセルとの活動歴があるベース&ヴォーカリストの唯一ソロとして世に出た一枚。黒人ながらロック調の曲も含むバラエティに富んだ内容でなかなか幅のある音楽性を見せる。POPな部分を前面に出しながら、“must have been love”のようなシリアス・ナンバーも佳曲だ。アンディー・ニューマークのdsやレイモンド・ゴメスの参加など、黒人ベーシストのブラック・アルバムと思ってかかるとちょっと痛い目にあうかな。

★★★★ザッパーなら
ZAPP/zapp II (1982)
 もう、一言、良い!いい!えぇ!e〜!トーク・ボックスを駆使して当時は新種のエレクトリック・ファンク、P−FUNKでザップ!ザップ!と嵐を巻き起こしましたが、11分にも及ぶ一発目の「dance floor」でもわかる通り、メロディアスなヴォーカル・ハーモニーも重視して、単なるファンクでなく音楽的に楽しめるところが彼らの良いところですね。でも、とにかく理屈抜きで腰を動かしちゃうのがいいかも。ロジャ〜!!

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